2018年6月18日月曜日

ドレスコーズ「dresscodes plays the dresscodes」final 新木場スタジオコーストライヴレポ






ドレスコーズの「dresscodes plays the dresscodes」ツアー、そのファイナルである新木場スタジオコースト公演を見た。

曇り模様の天候のなか、最近の夏のような天候も一段落し、若干の肌寒さを感じながら、その時を待ち詫びていた。

入場すると、厳かなオペラが流れていた。
ステージ上のテーブルには薔薇の花が置かれ、スポットライトが当たっていた。

15分ほど開演時間が押して、ステージメンバーが表れる。


福島健一 (ギター、サックス、?)
堀嵜ヒロキ (ドラム)
板倉真一 (キーボード、コーラス)
有島コレスケ (ベース、コーラス)

~(dresscodes)Beggars Quintet~


福島健一はもう1つ役割があるが、それは後程。
アルバム「三文オペラ」のレコーディングメンバーである。

タイトルのみで、コンセプトなども目にしないようにして臨んでいたので、ここから始まるショーで、何が起こるのか全く分からない。

"もりたあと(殺人物語)"をメンバーの演奏が始まる。しばらくして、ヘッドマイクをした志磨遼平が登場する。


ナタリーより引用


本を手に、唄い出す。

"シネマ・シネマ・シネマ"
あまりに意外な一曲目である。

観客側も同様で、歌い出しに一瞬息を呑み、すぐに反応を示した。「三文オペラ」のテイストで行くのであれば、もしかしたらじっくり聴かせるライヴになるのでは、と少し予想していた。

しかし、曲に入ると印象はまったく違っていた。

もちろん、アレンジは原曲とはかなり異なる。
志磨遼平やステージメンバーの風体も演劇的だ。

ロックンロールでも、オペラでも、演劇でも、ミュージカルでもない。しかし、そのすべてでもある。
これぞ、まさに総合芸術と呼べるものではないか。

それほど志磨遼平のフロントマンとしての才が詰め込まれていた。手の動き、時折挟むダンス、こんな"ショー"見たことない。

「今夜皆様にお見せしますは、ある大泥棒の生涯。その名は『マック・ザ・ナイフ』」



ナタリーより引用


"どろぼう"、"Puritan Dub"とドレスコーズの楽曲が続く。タイトルからもドレスコーズの再解釈のやうなライヴになるのでは、と勘繰っていた。

しかし、後に続いたのは毛皮のマリーズ時代の楽曲「マイ・ネーム・イズ・ロマンス」より"ガンマン、生きて帰れ"であった。拳銃を片手にステージを動きまわりながら志磨遼平は唄う。

暗転した場内に赤い照明が照らし、銃声の音が轟く。ステージメンバーは皆ヘルメットを被っている。

「戦争が始まった。マックは名前を変え、戦場へと向かった」

「三文オペラ」より"カノン(大砲の歌)"。
有島コレスケとのコーラスの掛け合いがとても面白い。

それから有島コレスケによるベースラインが身体を揺らす"SUPER ENFANT TERRIBLE"。薔薇の花束をマシンガンに見立てる。それはまるで、ガンジーの言葉「GIVE THE FLOWER INSTEAD OF VIOLENCE」を皮肉っているようにも見えた。

「マックは戦地である女性と出会った。その名は」

"Mary Lou"
薔薇の花束を抱き唄い始めた瞬間に、場内は息を呑んだ。まさかこんな流れがくるとは。感情たっぷりに唄い上げる姿に、先ほどまで揺れていた場内は水を打ったように聴き入っていた。


ナタリーより引用



再び暗転。
スポットライトが当たると、志磨遼平は口紅を手に、口もとを紅く染めていった。

メリー・ルーに扮したまま"ラストワルツ"~"towaie"~"さよならベイビー・ブルー"を途切れず披露する。

"ラストワルツ"で1人ワルツを踊る姿、「towaie」と繰り返しながらマックを想う姿、"さよならベイビー・ブルー"が予感させる別れ。「平凡」のアルバム曲はなかなかこのコンセプトに難しそうだなと思っていたが、この"towaie"はあまりに美しく、見事に溶け込み調和していた。

女形として唄う志磨遼平に、かつて吉井和哉が扮したマリーの姿を重ねてしまった。戦争というテーマも相まっていたからかもしれない。

"ハートブレイクマン"において、歌詞の《野バラはどんな風に こう…愛し合うのかしらん?、ねェ?》というフレーズ。ステージ上の薔薇たちは美しいが、それは地から切り離された花たちでもある。

地からの離脱は、生からの離脱でもある。束ねられた花たちは寄り添っているが、それは先が長くないことも意味しているようにも見えた。だからこそ《それじゃ サヨナラ》があまりにも切なく響く。

2人の別れとなる"恋するロデオ"。元曲は軽快なリズムに乗せる別れ。だが、この夜のそれは、別の曲かのようにあまりに悲しい響きとなっていた。薔薇の花をむしり、宙に還す様は、血が降り注いでいるようだった。




ナタリーより引用










"あん・はっぴいえんど"
見終わったいま、この曲が唄っていたものすべてが、この後の展開を暗示していたことが分かる。或いは、穿った見方をすれば、この歌詞からマック・ザ・ナイフのストーリーが誕生したかのように。


別れと決意の歌、"スーパー、スーパーサッド"。ここでアルバム「1」の曲が続くこと、そして「dresscodes plays the dresscodes」というタイトルがどうしても重なり、もしかしたらマック・ザ・ナイフをモチーフとして描いていたのは、本当はこの男、志磨遼平の生き様だったのではないだろうか。






《夢から覚めた今もまだ 僕の目は覚めないままだ》そう始まる"欲望"。祝福のようなコーラスのようなは、夢の続き。幸せな夢にいつまでも浸っていようとしても、朝がきて目が覚めてしまうように、突如終わりは訪れる。

福島健一が銃を構え、鳴り響く銃声、倒れるマック・ザ・ナイフ。そう、福島健一のもうひとつの役割、それは賞金稼ぎ

暗転。

エピローグのように、奏でられたのは"ダンデライオン"。有島コレスケによるアコギのアルペジオが美しい。受話器を手に唄う志磨遼平。



ナタリーより引用


果たしてその姿はマック・ザ・ナイフが死の間際に見た走馬灯なのだろうか、それともマックを見送ったメリー・ルーの姿だったのだろうか。

静かに舞台は幕を下ろし、志磨遼平に戻り、ステージメンバーが並んでカーテンコールとなった。こうして本編が終わった。

メンバーが再登場。
(dresscodes)Beggars Quintetのメンバー紹介がされる。あらためてドレスコーズに関わると本業以外の仕事(銃で人を撃ったり、傘を持たされたり)を無茶ぶりされるんだなぁと思ってしまう。そもそも福島健一は本業以外のギターをやっていたのだが(まったくそう見えないくらい素敵なギターだった)。

アンコール1曲目は"Ghost"。死したマックの魂を呼び起こすような選曲が、憎いほど鮮やかだ。

この夜は特別ゲストとしてアルバム「三文オペラ」で見事なヴォーカルを披露した小島麻由美が登場。登場をやり直したりと、出だしからキュートな姿を見せ"おしゃべり!おしゃべり!"を披露した。

「皆さんもそうだと思いますが、僕は小島さんの大ファンで、こうして一緒のステージに立てる日がくるなんて、感無量です」と志磨遼平。インタビュー等でも語っていたが、初めて東京で見たライヴが小島麻由美だったという。

「もう1曲、小島さんと」

その言葉から披露された"ヒモと娼婦のタンゴ"。志磨遼平と小島麻由美によるダブルヴォーカルの息がピッタリで楽しい。

短いながらも素敵な時間を残した小島麻由美を見送り「最後の曲です」と告げる。

暗くなった場内で志磨遼平1人にスポットライトが当たり、唄う。

《私は 人生複雑骨折 ドラマ型統合失調症》

あまりの歓声に唄もよく聴き取れないほどだ。


《まるで人生のような音楽 音楽のような人生》


そうして幕を閉じた舞台。場内にはエンディングとして"おわりに"が流れる。

ミラーボールによる照明が星のようになり「ぼくたちの なう」を照らし、美しい余韻を心に灯した。


ライヴに行くたびに、音楽とは本当に素晴らしいものだと実感する。音楽が人生にくれたものは、あまりに大きくて。

生きて、死ぬための人生、そこの間に音楽があって。音楽には終わりがない。志磨遼平が2018年の日本に「三文オペラ」を甦らせたように、また新しい誰かの心に種となって植えつけられ、受け継がれてゆく。

花が枯れても、また次の春に花を咲かせるように。

ビューティフルに ビューティフルに。



SET LIST

01. シネマ・シネマ・シネマ
02. どろぼう
03. Puritan Dub
04. ガンマン、生きて帰れ
05. カノン(大砲の歌)
06. SUPER ENFANT TERRIBLE
07. Mary Lou
08. ラストワルツ
09. towaie
10. さよならベイビー・ブルー
11. ハートブレイクマン
12. 恋するロデオ
13. あん・はっぴいえんど
14. スーパー、スーパーサッド
15. 欲望
16. ダンデライオン

EN-1. Ghost
EN-2. おしゃべり!おしゃべり!(w/小島麻由美)
EN-3. ヒモと娼婦のタンゴ(w/小島麻由美)
EN-4. ビューティフル



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