買ってまいりました。
ハルカトミユキの2ndフルアルバム「LOVELESS / ARTLESS」
ということでレビューを書いていきましょう。
ハルカトミユキ「LOVELESS / ARTLESS」
1. 光れ
発売前にショートバージョンの動画が公開されて聴いてはいましたが、フルで聴くとまた印象変わりました。
特にCメロが素晴らしいです。
アルバム10曲入りですが、この曲はかなり陽の要素が強いです。
強いて言えば"世界"のように強く引っ張ってくれるような曲。だからこそアルバムのリードトラックになったのかな。
コメントによると最初はマイナーコードだったようだけど、完成された"光れ"を聴くとどんなだったのか想像つかない。
ピアノがとても印象的に使われてます。
去年の12ヶ月連続シングルリリースでは"春の雨"から「STOP」がテーマであったと以前言っていました。「信号は赤に変わって」に表れてるのかな。しかしそこからさらに前に進むため、今のハルカトミユキを表すための曲になっていると思います。
2. DRAG & HUG
先行としてリリースされた時にがっつり書いたので、そちらを参照ください。
【参考記事】
ハルカトミユキの新曲"DRAG&HUG"が素晴らしくカッコイイ
アルバムを通して聴いた中でもかなり力のある曲です。
曲調としては以前のハルカトミユキのようなオルタナティブな感じもするのですがやっぱり今の2人のモードがしっかり反映されている曲となってる。
3. 奇跡を祈ることはもうしない
こちらも過去記事参照ください。
【参考記事】
奇跡を祈ることはもうしない歌詞解釈~ハルカトミユキの新たな決意
この曲に対してのハルカさんのコメント
過去の例に則っていれば、成功が約束された時代なんて、終わった。
「ひとまとめにして箱に詰め込んで、レッテルを貼っておけばいい。理解出来ないものは異端扱いして、'そういう世代'だと括ってしまえばいい。そうすれば扱いやすい。」一部の人間に都合のいい風潮なんて、もう通用しないのに、いつまでもそういう声が絶えないから、群れることはやめた。
「ひとまとめにして箱に詰め込んで、レッテルを貼っておけばいい。理解出来ないものは異端扱いして、'そういう世代'だと括ってしまえばいい。そうすれば扱いやすい。」一部の人間に都合のいい風潮なんて、もう通用しないのに、いつまでもそういう声が絶えないから、群れることはやめた。
というのは世代的近いに僕もとても共感できるものです。
「わかるわかるー」みたいな単純な共感じゃなくて、もっと深い部分での。
4. Pain
とてもハルカトミユキらしい曲。
心の琴線をそっとなぞられるようなゾクゾクとした感触。
流れで聴くとスケール感のある"奇跡を祈ることはもうしない"で放心していると、出だしのドラムでいきなり現実に引き戻されたようになる。
とても真っ直ぐな人間の歌だ。
だからこそ過去の記憶に絡み取られている。
ハロー 今、君だけ
悪者にすれば気がすむほど
僕は器用じゃない
悪者にすれば気がすむほど
僕は器用じゃない
簡単に君が吐いた言葉を
真に受けたの いけないの?
真に受けたの いけないの?
この曲に混在している喪失は誰しもが一度は経験するようなものではないだろうか。
だからこそ受け手によって様々に形を変えて響いていく。
5. Are you ready?
次の"見る前に踊れ"に繋がる短いINTERLUDEを担ってる曲。
とても洋楽テイストな匂いがする。
そもそも英語の歌詞というのもハルカトミユキには珍しい。
だけどミユキさんの曲は洋楽からの影響かなり強いので英語詞との相性いいと思う。
聴いた時にライヴのオープニングSEにしても映えるだろうなと思った。そのまま"見る前に踊れ"繋がる形でやって欲しいなぁ。
6. 見る前に踊れ
"Are you ready?"からそのまま雪崩れ込んでいく。この流れがとてもカッコイイ。
とてもライヴを意識したアレンジで、早く生で聴きたい。
イントロやサビのシンセがCHVRCHESぽいと思ったらミユキさんのコメントでも意識してるとあった。
僕もCHVRCHES大好きです。
時代性を表してる歌詞もあるけど、なんか"ワールドワイドウエブは死んでる"に通じる世界観のような感じがした。
7. トーキョー・ユートピア
ミユキさんのシンセリフが印象的。
焦燥感のある曲。それがキラキラしたシンセとの対比となって、東京という街を上手く表してる。
散りばめられたキーワードはRPGのもの。
東京という街の現実なんだけど、どこか非現実な世界観ととても合ってる歌詞。それは"プラスチック・メトロ"でも描かれていた世界観かな。
サカナクションの"ユリイカ"やavengers in sci-fiの"Tokyo Techtonix"とも響きあいそうな曲。
8. 永遠の手前
まずタイトルリストを見たときに絶対好きだと思った。そして、イントロのギターリフ聴いた瞬間にそれが確信に変わった。
こういう曲に弱い。
とても古い曲とのこと。
絶望の中で一筋光が指すような歌詞は確かに昔のハルカトミユキらしさを感じる。
しかし、以前と違ってさらに磨き込まれた精度でもって突き刺さってくるような曲になっている。
曲調がどこか90年代のような印象を受ける。
ちょっと懐かしいような感覚。
9. you
このアルバムで唯一アコースティック主体の曲。
アルバムの中で最も優しい曲調でありなが、歌声は優しくも強い。
この強さというのは今のハルカトミユキだからこそ出せるものだと思う。
強さと儚さのバランスが絶妙で、決して前向きな歌詞ではないはずなのに、聴き終わると希望が感じれるような曲になっていると思う。
また、この曲は一発録りのようなので、それもまたこの曲の強さと儚さに繋がっているのかなと思う。
すごく余談になってしまうんですが、サビの入りの「you」の歌い方がとてもYUIの曲のようで、YUI大好きだった自分はなんかとても変なノスタルジーに勝手に浸ってしまった。
10. 夜明けの月
アルバムのラストナンバー。
そして僕の中ではベストトラック。
作曲は今作のプロデューサーの野村陽一郎さんが担当している。
壮大なミディアムバラードである。
アルバムを聴いてきて、今のハルカトミユキをしっかり受け止めていつつあった。
しかし、最後にこんなかつてないほどストレートなラブソングをぶつけてこられるとは。
サビに入った瞬間にグッと広がった世界に光が降り注いだようだった。それは歌詞にもある月の光かもしれない。
たくさんの試行錯誤と紆余曲折を経てきた、そんな経験をしてきたハルカトミユキだからこそストレートな曲がこれほどこの曲が光っているのだと思う。
この1曲で完全に「やられた」と思った。
そしてハルカトミユキを好きでいて良かったと思った。
・アルバムを通しての感想
久しぶりのフルアルバム。もちろん去年はたくさん音源はリリースされてはいたが、あらためてアルバムというフォーマットで音楽を聴く喜びを感じれるようなアルバムだった。
去年で得た経験が強く生きていて、今のハルカトミユキをしっかり感じる。
全ては"DRAG & HUG"の
過去はいつも美化されるだけ
やり直すのはごめんだ
やり直すのはごめんだ
という言葉に表れていると思う。意識的に過去の繰り返しを避けている部分も自然と過去の焼き増しではなくもっとブラッシュアップされて純度の高い澄んだような音楽だ。
野音でも演奏されるであろう、このアルバムの曲たち、どう響くのか楽しみで仕方ない。
そして、本当にこのアルバムが1人でも多くの人に届けばいいと願い、僕の感想を終えよう。
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