2017年7月27日木曜日

B'z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」歌詞解釈~稲葉浩志はシュワちゃんだ







B'zのヒット曲のひとつである"愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない"。
1993年にリリースされオリコンのシングルランキング4週連続一位、ダブルミリオンというモンスターソングである。

先日久しぶりにこの曲を聴いていたら「こんなとんでもない狂気の曲だったのか」と気づかされた。

ということで、あらためてこの名曲の歌詞を解釈していき、稲葉浩志の人間力の高さを見てみよう。


※文中は敬称略


B'z "愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない"歌詞解釈




愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない








長いタイトルの筆頭としてよく名は挙がる名曲である。

確かに長いがあらためて聴くとタイトルはこれ以外に考えつかない、まずそれがこの曲の凄さだ。

サビの頭にはタイトルのフレーズがそのまま入る形で、インパクトは絶大である。

愛のままに
わがままに

確かに素晴らしいし、誰しも憧れるものではないだろうか。しかし、稲葉浩志はその後のフレーズとして

僕は君だけを傷つけない

を持ってくる。

僕は君だけを傷つけない

なんてことだ。逆説的に君以外は傷つけても構わない。ナイフみたいにとがっては、触れるものみな傷つけるつもりなのだ。
愛のままに、わがままにしていたいから。

この男は果たして器用なのか不器用なのか。




一途な想い




この曲の例えようのないゾワリとする感じ、それはこれが相思相愛の曲ではないからだろう。

もしこれが相思相愛の純愛であるならば、この居心地の悪さは解消されたはずだ。

歌詞から汲み取ると僕と君は昔からの付き合いなのだろう。君はおそらく失恋して「もう信じられない」と落ち込んでいる。
そこにこの男は「君と僕は相性いいはずだよ」「僕とずっといっしょにいる方が 気持ちよくなれるから」なんて思っている。

それが最高潮に達するとき、それこそが最後のラインだ。


今だから 好きなんだから あきらめながらは生きないで
他人の血が流れても 一途な想いをふりかざそう


この二行の破壊力。

「あきらめながらは生きないで」は一見優しい言葉には見えるが、本当は君を想っての言葉ではない。
なぜなら「だって君には僕がいるでしょ」という僕の狂気にも似た想いからきているからだ。

不安材料腰にぶらさげた男のくせに、だ。

「他人の血が流れても」これを狂気と呼ばずなんなのか。




稲葉浩志という説得力




普通に歌詞だけみれば、再三書いてるとおり狂気である。通報されてもおかしくない。

しかし、そんな曲がなぜこれほど多くの人を魅了したのか。それは稲葉浩志が歌うからなのである。

たとえばこれを槇原敬之が歌ったらと想像して欲しい。そっと110番の番号を押したくなるだろう。
※マッキーの歌も好きですよ

稲葉浩志が歌う、それだけでこの狂ったような想いは、圧倒的な説得力を帯び始めるのだ。

あの声で歌われると、本当にこの二人は太陽が凍りついても大丈夫なのではと思わされてしまうのだ。

これはどんな強引な展開の映画であっても、アーノルド・シュワルツェネッガーが出てるからな、という謎の説得力でねじ伏せて納得しまうことに通じる。
「ま、シュワちゃんだしな」と思わせてしまうみたいに、「ま、稲葉だしな」と思わせてしまうのだ。

もちろん貶してるわけではなく、誰にも真似できない領域であり、それこそがアーティストが持つ力である。




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