2017年8月15日火曜日

【ライヴレポ】ROCK IN JAPAN FES 2017 DAY.4 後編 ポルノグラフィティ・ハルカトミユキ






前編はこちら。

【ライヴレポ】ROCK IN JAPAN FES 2017 DAY.4 前編 あゆみくりかまき、9mm、スキマスイッチ



ロックインジャパン2017もいよいよ終盤となってきた。

スキマスイッチが終わり、友人とGRASS STAGE脇で合流。
ひたちなか市場みなと屋へ行き各自補給。

僕はさっきカレー食べたばかりなので日本酒を飲んでいた。

遠くできゃりーぱみゅぱみゅのパフォーマンスが聞こえてくる。ちゃんと聴いたことのない僕でも分かるほどベストヒットといえる内容で、サビが大体分かる。

各々の休息の後、GRASS STAGEへ移動。

遂に、遂にポルノグラフィティである。




前置き(読まなくていいので飛ばす方は次の見出しへ)





今回の参戦に際しての僕の心境の移り変わりを書いておきたい。

小見出しに書いたとおり、読まなくても大丈夫なので読み飛ばしていただきたい。
だが、書いておかないとなぜ僕が十数年来の大ファンのポルノグラフィティを途中で出ることにしたのか」ということへの言い訳が残せないので。

さて、まずは出演者発表である。
ポルノグラフィティとハルカトミユキが出演すると判った瞬間、僕は世界で一番幸せな人間なのではないかと思っていた。

いま日本で最も好きなアーティストを1日で見れる、そんな日が来たのだ。

ハルカトミユキは以前にも出たことはあるが、ポルノはロッキンとはほぼ無縁のアーティスト生活を送っていた中での初参戦である。

歴史的な瞬間なのだ。奇跡に立ち会ったのだ。


そんな有頂天の中で幸福を噛み締めていた僕に地獄が待っていたのだ。タイムテーブルの発表である。




被っている。どう見ても被っている。
これを見た瞬間、僕は世界で一番幸せな男から、世界で一番不幸な男へと転落したのだ。

夏フェスの最大の醍醐味はタイムテーブルで自分のスケジュールを決めている時間にあると思っている。今までも様々なアーティスト被りは経験してきた。しかし、今回のは昔のそれとは次元が違うのだ。

たとえば、子どもを持つ親御さんは想像して頂きたい、娘の人生初の学芸会と息子の初の運動会の日程が被った、どちらかを選ばなければいけないとしたらどうするだろうか。

とにかく悩んだ、苦しんだ。どちらにしよう。日々の生活の中でふとした瞬間にすぐに襲いかかってくる。

どちらにしよう。「よし、あっちにしよう」と思っていても、数日後に「やっぱり、こっちか」なんてことを何度繰り返したか。しかし、心が大きく動くツイートがあった。それがミユキさんのツイートである。





このツイートでほぼ決意に近いものが生まれた。その上にポルノの全国ツアーが決まったことで単独を見られるという喜びが加わったので、僕の夏はハルカトミユキに捧げるという決意をしたのだ。

どうでもいい話ですね。



ポルノグラフィティ






クイックレポートより



ということで、ポルノグラフィティを途中で抜けることを決意したのだ。なので、このレポも途中までなので悪しからず。


セットリスト

ミュージック・アワー(リハ)

M1 今宵、月が見えずとも
M2 メリッサ
M3 アゲハ蝶
M4 THE DAY
M5 渦
M6 Mugen
M7 オー!リバル
M8 ハネウマライダー
M9 アポロ

※僕は"Mugen"まで見ました


かなりの人で埋まったGRASS STAGE。

リハではメンバーは登場せずに、サポートメンバーとオケのみでの"ミュージック・アワー"。
それでももちろん集まったポルノファンは盛り上がる。合唱に、サビの変な踊りもバッチリ。「どれくらいポルノファンいるんだろう?」という疑問が一気に解消された瞬間であった。

しかしながら、一発で身体が反応していたエリート病人(褒め言葉)の割合は3割ほど。つまり残りの人のほとんどがポルノグラフィティを初体験ということだ。

定刻となり、GRASS STAGEのスクリーンに「NEXT ARTIST」が映る。
それに続いて映し出された「ポルノグラフィティ」の文字にもう既に感動している。(映像だけど)何度も見てきたステージにポルノグラフィティが立つ瞬間が来たのだ。

中央スクリーンにはこの日のために創られたであろう映像が流れる。
移動の関係で横側から見ていたので残念ながら映像は全て見えなかったが、とてもスタイリッシュな映像であった。

それに合わせてサポートの演奏が始まり、まずは新藤晴一が登場ギターを構えると続いて岡野昭仁が登場。
その光景を見た瞬間に思わず顔が綻んだ岡野昭仁の表情がとても印象的だった。何度か深々とお辞儀をした岡野昭仁。その姿に「こんなに集まってくれてありがとう」という言葉のない気持ちがひしひしと伝わってくる。

「ポルノグラフィティです!」そう言い放ちいよいよステージが始まった。流れたイントロは"今宵、月が見えずとも"だ。全く予想していなかった選曲である。
※事前に友人たちと予想していた時は"アポロ"や"THE DAY"という予想だった

新藤晴一は今年購入したヴィンテージのテレキャスターである。



クイックレポートより


ポルノのロック面を押し出す選曲で、観客は拳を振り上げる。ポルノファンはわかるが普段であればサビはクラップなのだ。しかし、それよりも拳を突き上げる満員の観客の光景が完璧と言っていいほどハマっていた。決まった型ではない自然発生の衝動だからこそ胸を熱くするのだ。


2曲目、野崎森男のベースが鳴り響き"メリッサ"へ。さすがの知名度で、イントロの歓声が大きい。
"今宵、月が見えずとも"でもそうであった岡野昭仁のロングトーンがどこまでも伸びていく、まるでGRASS STAGEの後ろの端まで1人ひとり手渡しで声を届けるようだ。

野崎森男のベースが、いつにも増してクリーン寄りだったというのが印象的だった。

「あらためましてポルノグラフィティです!ロックインジャパン初めての出演です!

それから流れ出すリズム「みんなで手拍子をしてください」とツースリーのリズムを刻む。何週かやった後、"アゲハ蝶"のイントロが流れる。

今まで何度も"アゲハ蝶"をライヴで聴いてきた。だが今回の"アゲハ蝶"は格別であった。
「みなさん良かったら歌ってください。メロディは2つあります」そう言って始まったラララの合唱。先ほども書いたとおり、会場の半数以上はポルノファンではないのだ。


しかし一発目からGRASS STAGEに響き渡ったその歌声は、あまりにも美しかった。
フェスには様々な人間が集う。ポルノファンはもとより、次のRADのファン、興味本位で見に来た人もいるだろう。ありとあらゆる人が集まった。そんな中でも間違いないこと、それはみんな音楽が大好きだからここにいるということだ。


人それぞれが持つ声が色とりどりの糸となり、絡まり合って一枚の反物になる。あの合唱はまさにそんな美しさであった。


スクリーンに映る観客の光景は忘れられない景色であった。

昭仁「みんなありがとう。さっきも言った通り僕らはロックインジャパンに初めて出させていただきました。
僕らは18年音楽をやってきましたが、まだまだこんな見たことなかった景色を見せてもらえて、本当に嬉しいです。この光景は一生忘れません。晴一さんはどうですか?」

そう話す岡野昭仁に新藤晴一は。

晴一「これはもう、こちらも楽しいけど、客席も絶対楽しいもんね。ワシも観客席行って"楽園ベイベー"歌いたいもん」


昭仁「僕らも気合いが入っていて、カメラマンさんこれ撮れますか?(とカメラに手首を向ける)。気合い入れ過ぎてこれ(出演者用のリストバンド)キツく絞めすぎてしまいました。これ全然隙間がなくて全く動きません。もう手首から上が死にそうです。
『わー!』って何よ、人の不幸を笑うなー。
でも今日は手首から上が死んでも構わんというくらいの気持ちでやります。

そんな今日を楽しむという気持ちを込めて演奏します」


レスポールを構えた新藤晴一が鳴らすイントロは"THE DAY"、夏の野外にこれほど合う曲はない。今回もtasukuさんが参加しているので、やはりギターの厚みが出ている。

気温の暑さに負けぬ熱に「ヒートアップ」という言葉がまさに当てはまる。



クイックレポートより



ドラムがリズムを刻む。「まさか」というリズムだ。リズムにギターとピアノが官能的に絡む。
そのままホーンのオケが加わり"渦"のイントロへ繋がる。あまりにも意外な選曲に、さっきまでのヒートアップが嘘のように、水を打ったような観客。

ヒヤリとさせる出だしから徐々に帯びていく熱。
「人は儚いものに なぜかこんな惹かれ続けてしまう」ライヴとはまさにそんな時間だ。


儚く消えていってしまう音、それをいつまでも心に響かせて明日に繋げていくことがライヴ、生きていくということだ。

新藤晴一のフェイザーを効かせながら、ピックアップの方まで指を滑らせて出したサウンドはまさに渦に吸い込まれていく水のようでもあり、聴いている観客の心のようだ。


「また皆さんに歌ってもらいます」という昭仁さんの言葉。あの掛け声だ。
時間的に僕には最後の曲だなと分かっていたので、悔いのないように声を張る。

"Mugen"
RIJということで、男の割合がとても多く、世代的にもギリギリ日韓W杯を覚えている人が多いのかもしれない。
男の本能を刺激する曲だ。

左右の花道を走りながら歌う岡野昭仁、その歌声は全く衰えることはない(歌詞は間違えた)

ポルノグラフィティがロックインジャパンで歌う、最初はとてもアウェーなのではという想いもあった。しかし全くそんなことはない。

誰しもがポルノグラフィティの音楽を楽しんでいる。ポルノのファンにとってこんなに嬉しい、誇らしい瞬間はなかった。

背中越しに鳴る"オー!リバル"のイントロに名残惜しさを引きずりながら、僕にとって最後のアーティストへと向かう。



ハルカトミユキ






クイックレポートより


「今年はハルカトミユキに捧げる」という謎の決意と共に足早にHILLSIDE STAGEへ。

すでにリハの演奏が始まっている。"DRAG&HUG"である。途中から滑り込み、見始めた。
間に合ったと安堵していたが、後でこの前に大好きで仕方ない"Fairy Trash Tale"を実は演奏していたと知りだいぶ落ち込んだ。聴きたかったよぉ。


セットリスト

Fairy Trash Tale(リハ)
DRAG&HUG(リハ)

M1 終わりの始まり
M2 バッドエンドの続きを
M3 ニュートンの林檎
M4 ドライアイス
M5 Pain
M6 世界
M7 宝物



開演時間となる。
悔しかった。あまりにも人が少ないのだ。

確かに裏ではまだポルノがやってるし(遠くで"ハネウマライダー"が聴こえてきた)、他の裏も強い。それにしても、もっと多くの人に届いて欲しかった、それくらい素晴らしいステージだった。

時間になりメンバーが登場。
グレッチを構えたハルカさんが歌い出す、"終わりの始まり"だ。

淡々と語るような歌い出し、そのフレーズの一つひとつが刺さっていく。

サウンドがロックだからとか、反抗的だからロックだとか、そんなことではない。いや、ロックとかそんな括りをしてしまうことすらくだらないと思わされる。

ひしひしとした感情をぶつけるように、歌い演奏をするハルカトミユキ。ミユキさんがこの曲を創る上で意識したという「真ん中でギターを持って歌うハルカ」という映像、それがまさに僕の前に広がっていた。



クイックレポートより


この時点でやはり彼女たちに心を掴まれたのだ。

リフが掻き鳴らされ"バッドエンドの続きを"と"ニュートンの林檎"が立て続けに演奏される。
序盤の起爆剤と、後半の爆薬のような曲の連発に、思わず拳を振り上げる。


「希望の歌を」

というMCから"ドライアイス"へ。このMCは最近定番となっているが、燃え尽きた灰の中から見つけたような一握りの希望、儚く美しい、それでいて残酷な希望だ。

何度聴いても心が震える曲だ。彼女達に惹かれるキッカケとなった、大切な曲。
生きていくということは希望に生かされるということだ。

キッドさんの強烈なドラムから"Pain"へ。やると思ってなかったので、最初のドラムに思わず息を飲む。


「ずるいよ ずるいよ」


そう繰り返すサビ、切々とした願いであり、祈りのような言葉、ハルカトミユキの世界に魅了される。
途中でギターの弦が切れるハプニングもあったが、それがまたこの曲の一端を表しているようで、それでもギターを鳴らす姿に感動した。


「みんなの夏の思い出に」


という言葉から"世界"へ。

最後メンバー2人だけが残り"宝物"を演奏した。アンコールという形ではないが、アンコールに近い印象である。



クイックレポートより



この"宝物"に、僕の夏の全てが集約したかのようであった。
ピアノの弾き語り、限りなくシンプルな演奏のなか歌うハルカさんの声が透き通るように身体に沁み込んでいく。

ひたすらに悩んでいた日々、人からしたらくだらない悩みなのだろう。しかし僕にとっては、重大な悩みだった。
そんな迷いと苦悩の日々がこの曲で全て肯定された気がした。


時がくるまで
気づかないような宝物がある



僕のした決断に後悔はなかった。少なくとも今はそう思っている。
いや、どちらを選んでも後悔はないのかもしれないし、後悔していたのかもしれない。

それでもこの夏、ハルカトミユキを見た僕は幸せだった。間違ってなかった。


幸せを噛み締め、余韻を持ち帰って、僕の夏は終わった。
RADを見に行った友人たちを待ちながら、ジンギスカン丼を食べ(美味)、ビールを飲み干し、森越しの花火を眺めていた。




正直夜は結構寒かった。


初めてのRIJだったが、意外と回りやすいし、とても楽しいフェスだった。長年の培った経験値の積み重ねを感じた。

またこんな夏を経験できる日がくるといいな。





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