2020年2月28日金曜日

スキマスイッチの心に沁みる歌詞フレーズ 10選








コロナウイルスの影響で、音楽業界もライヴ中止または延期となり、フェスなどのイベントも同様である。

僕も行く予定のイベントが、開催するか正直わからなかったりで、どうしても後ろ向きな気持ちになってしまう。

そんな時に音楽を聴いていて、スキマスイッチの楽曲たちが、とても心に沁みた。

なので、スキマスイッチの歌詞について、考えてみようと思った次第である。






1. 螺旋




ああ募る愛情は君をすり抜けて僕を
もう つまらない過去にする
それならいっそ君の中に僕の螺旋を残せばよかった
今になって思い出してまた目に浮かぶのは、ほら、涙




「君の中に僕の螺旋を残せばよかった」という歌詞が衝撃的だ。
もちろん、君の中に僕の記憶が(螺旋のように)巡るように、なればよかったという取り方もできるけれど、「残せばよかった」と言い切るからには、やはり君に僕のDNA(=螺旋)を残せばよかったということだろう。

どちらにしても、それだけ強く君を想ってしまう主人公の気持ちが表れていて、その境遇は忘れられない恋を経験した人には特に響くのではないだろうか。

ちなみに君が強く残していったものとして、「君が録画したまんまで ほったらかしてったもんだから」というフレーズに対しての「ビデオのように思い出なんかも 重ね録り出来たらいいよな」というフレーズが対になっている。

「ビデオの重ね録りって何?」という世代がもういるであろう現実が一番怖かったりする。



2. キレイだ








冷静に照らし合わせみれば君と僕は正反対で
数字だとしたら6と9のようなもんだな
キュウに一人にされた居間では
食べ散らかしたインスタントの空っぽ容器と
ロクでもない僕が残った



w-inds.に提供した曲であり、セルフカバーもしている"キレイだ"。

歌だけ聴いていればわからない、歌詞の表記も合わせることで浮かび上がるダブルミーニングたち。

正反対を数字にたとえた上で、「9に(急に)」という重ねかたが見事だ。それに対して「ロクでもない」、つまり「6でもない(ろくでもない)」というフレーズが興味深い。

僕が「6」であったならば、「6でもない」というフレーズは、もう君にとっては正反対にさえなれないという意味にもとれる。

最後の最後まで後悔にケジメをつけられない僕に対して君はそんなつもりも「気0(キレイ)」なのかもしれない。



3. アカツキの詩








守ろうとした 手のひらで 握り潰してしまうよ
ただ 君さえいればいいのに こらえ切れず こぼしていた
夜が少し、動き出していた



個人的にスキマスイッチで1、2を争うほど大好きな楽曲。

こちらもさりげなく、「守ろうとした手の)手からこぼれる」、「ただ君さえいればいいのにと」口からこぼれる」というダブルミーニングが入っている。

そうした時に、曲の最後にくる「夜が 少し、動き出していた」というフレーズは、「それでも夜は明ける」とも取れるし、「それでも自分を残して世界は回ってしまう」というようにも聴こえる。

けれど、印象としてはやはり前者の意味合いが強いだろうか。

それとダメにしてしまったサボテンに注ぎ過ぎてしまった愛情を重ねるのは、ポルノグラフィティ好きにとっては"サボテン"をどうしても重ねてしまう。



4.電話キ




「最近あまり字を書かなくなりました。
あのビルは、まだそびえていますか?」



「最近あまり字を書かなくなりました。」というフレーズに対して、「あのビルは、まだそびえていますか?」と続くところにハッとさせられる。

字数は置いておいて、ちょっと短歌的な感覚の歌詞に思えてしまう。

タイトルが「電話キ」と、「器」ではなく「キ」になっているのはなぜだろうなと考えていた。間違いなくひとつ前に書いたような強引なこじつけではないことは明らかだ。

シングル「さいごのひ」のカップリングだけれど、スキマスイッチとしてはかなり古い曲で、インディーズ時代からある曲だという。

東京に出てきて暮らす主人公だが、「とりとめのない物が僕の暮らしを彩っているらしい」「…必要のあるものが僕の暮らしを支えているらしい」という言葉が出て来て、主人公の身の周りで起こっていることなのに、主人公はどこか宙ぶらりんだ。

そんな主人公がただひとつたしかに抱くのが「君にも電話で教えてあげよう」。

つまり、主人公は君がいる生活こそが、人生に彩りを与えていて、せめてそれを共有しようと、君に電話をしてしまうのだ。

そんなとりとめのない気持ちが、この歌詞には込められているように感じる。



5. 光る




それでも歌うことに
理屈など、ない



この「それでも」はその前のフレーズ「みんなきっと/何かを決めるとき/言い訳をさがしてる」を受けている。

大人になるほど「やらない理由」を探してしまう。
経験というやつは厄介で、案外、簡単にそれを見つけてしまう。

いきなり何目線だという話だが、もし僕がこのフレーズを書いてたとしたら「理由など、ない」としてしまうだろう。僕でなくてもオーソドックスな歌詞の流れでいけば、そうなることが多いと思われる。No reasonということだ。

音楽ということに真摯に向き合った歌詞で、それを届けるのは最後のフレーズ「誰かじゃない、君へ」となる。

この「君」とはつまり、「この歌を見つけてくれた君」であり、聴いてきたファンたちはもちろん、これからスキマスイッチの音楽と出逢う君へも歌われている。









6. 猫になれ




君に呪いをかけて…そうだなぁ、猫になればいい
だけど二人の仲は今より悪くならないように



喧嘩した二人の曲。

たとえばスピッツには"猫になりたい"という曲があるが、スキマスイッチは君に「猫になれ」と呪いをかける。実のところ猫の理由は収録されたのがシングルの「ボクノート」(映画「ドラえもん のび太の恐竜2006」主題歌)だったので、猫つながりだったというオチだ。

さて、そんな呪いをかけた後、


僕にも呪いをかけて!それなら解り合えるかも
それで二匹の仲も今より良くなるかもしれない


となり、「…だけどせっかく人として生まれたなら」と続く。それからラストのラストのフレーズで、この二人が愛おしく見えてしまう。どうなるかは聴いてのお楽しみ。




7. 雫








背中にあった翼は 今やもう必要無い
洗い立ての太陽が僕らを優しく照らしている



「翼」のモチーフが何を意味しているか、によって様々な解釈ができると思う。

自分の中でもいくつかあるので、これ!という解釈はあまり持っていない。

ひとつには、「翼」は夢とか可能性に向かって飛び立つものかなと思う。たとえば、幼き頃になんでも夢みていられた様に、まさに翼があってどこでも飛んで行けるというものに思える。

しかし、様々なことで翼は擦り切れて傷ついていく。それでも主人公は「君」を想うことだけを胸に突き進む。


もうひとつ堕天使的なモチーフも妄想してしまったり、色々解釈の余地は広い。



8. 星のうつわ








こころからからだへ からだからこころへ
連なるいくつもの 受け継ぐ らせんの模様
繰り返されてくことが 永遠だと思えた時 目の前の景色すべてが
いま、宇宙になった



2014年にリリースされた22枚目のシングルで、映画「THE LAST -NARUTO THE MOVIE-」の主題歌となった"星のうつわ"。

タイトルのとおり、「星」「月」「宇宙」など天体のモチーフもありながら、「僕らはどうして どうして 鼓動の数に/限りがあるってのを知っていて ムダにしちゃうんだろう」というフレーズのように、描いたテーマは「命」そのものだ。

タイトルにある「うつわ」は生まれた命を受け止めるもの、つまりは胎盤のメタファーとなっていると思う。

生まれて消えて星になる。しかし、こころから生まれた愛という感情、からだとこころが繋がってまた命を繋げていく。
"螺旋"と同じでテーマかもしれないと思いながら、まったく受ける印象が違うから面白い。

「宇宙」という壮大なテーマでありながら、僕らまで繋がってきた命もまた、壮大な宇宙そのものなのだ。



9. スカーレット








"可能性"っていうものは 無限だとは思わない
駆け出すそのスピードに広がるイメージを
そしてまたスピードを
上げていく



歌詞において、ということであれば、僕が最も好きなのはこの曲かもしれない、というほど思い入れが強い歌詞だ。

極端に言ってしまえばどこを切り取っても好きなフレーズばかりなので、今度あらためて記事にしようと思う。

曲のテーマは「旅立ち」だ。
立ち止まってしまっていた主人公の気持ちが、様々な情景に重ねられていく。

そこから、「東京は今頃 青空が広がっているだろう」という最後のフレーズに繋がる展開が鮮やかだ。「広がっているだろう」というのは、その日の天気だけでないはずだ。




10. ミスターカイト








「僕らは例えるなら 時を待つカイトだ
向かい風を捉えたなら 大地を蹴り飛べ!
目を閉じちゃいけない 突き刺さる風で
例え涙が溢れ出ようとも
高く舞えば舞うほど 広がってく世界
ふと我にかえった瞬間に 恐怖心が襲うけど
飽くなき執念を 見定めろ目標を
そうすれば未来がその糸を引いてくれる
導いてくれる…」



僕がこの記事を書こうと思ったキッカケが実はこのフレーズである。

2016年のROCK IN JAPAN FESで聴いたときに、あまりに打ちのめされた。

語りに近いフォーク調で始まり、途中から一気にエレクトロサウンドへシフトする展開に驚く。そこでこの大サビとしてくるのが、このフレーズだ。この高揚感はライヴでより映える。

歌詞にも鉤括弧がついていて、なぜならこれはその前の「頭の奥で誰かの声がする」を受けているからだ。

主人公の心の叫びであるとともに、それがスキマスイッチによって奏でられることで、聴く者にとってその声は、まさにスキマスイッチから呼び掛けられる声となる。



こうして見ていくと、スキマスイッチは過去の自分と向き合う歌詞がとても多い。そのいくつかは強い後悔や悩みを抱え、それでも先へ進もうとする。

それを表すように「空」や「飛ぶ」ということへの言葉やモチーフもとても多い。

コロナウイルスによって、ライヴやイベントは中止や延期となっていっている。

ウイルスそのものより、それによってもたらされる経済的打撃の方が、もしかしたら大きくなってしまうかもしれない。

それでも、僕らはまだ未来へ進んでいかなければならない。



Without the wind in my face I could not have flown so high.
逆風なしでは、これほど高くは飛べなかっただろう。
~アーサー・アッシュ


※アーサー・アッシュ・・・黒人の男子選手として初めてグランドスラムを果たしたテニスプレーヤー


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