2025年6月19日木曜日

【ライヴレポ】THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 〜Sparkleの惑星 X〜Final @Kアリーナ横浜




昨年からのホールツアーは都合で行けなかったため、結果的には大ラスのみ、昨年春の東京ドーム以来のTHE YELLOW MONKEYとなった。

ファイナルブロックが決まってなんとか行けそうだったので、ようやく参戦できることとなった。

行けないと思っていたから、ファイナルブロック発表前に、ブロック1のセットリストを覗いて発狂死するかと思った(「jaguar hard pain 1944〜1994」信者)。

まさか、そこからブロックごとにアルバムを順に追っていって、ファイナルブロックはこんなコンセプトに着地するなんて想像できる訳ない。

ということで、ブロック1への悔恨の念も込めてツアーファイナルのレポを残しておく。これはこれで恐ろしかった……

例によってメモ書きからのレポなのでMCの順番の齟齬とか細かいニュアンスは違うと思うのでご了承ください。極力ニュアンスが伝わるようにと思います。

いつも通り敬称略。※エマさんはエマさん





会場は横浜のKアリーナ、なにかと凄いと噂には色々聞いていたが初めての会場だ。

先に書いておくと、音がとてもよかった。
そもそものTHE YELLOW MONKEYの演奏力とかPAスタッフの凄腕もあるけど、差し引いても音の分離がいいし、音の聴こえ方のバランスがとても良かったと思う。

アリーナの真ん中の良い位置だったから、というのもあると思う。ちなみに前から10列目くらい。
最近の座席系のライヴはろくな席が当たらなかったので、久しぶりに会心の席引きができた。

オンタイムスタートと強調されていたけど、結果的には5分ほど押して暗転。

ライヴのチケット代というものはこの暗転の瞬間のワクワクで全てペイされるので、ここからプラス収支である。


”考える煙”(SE)
やっぱりこれで始まってくれるよね、という嬉しさ。
格好良さも保ちつつ中盤からの展開がとてもいなたくて、THE YELLOW MONKEYっぽいと思う。曲名のセンスも。

このオープニングSEからガツッと始まるかと思いきや、響いたキーボードの伴奏で紗幕に影が映った吉井和哉が歌い出す。


”アヴェ・マリア”
後にテーマを知ればなるほどなんだけど、こんなオープニング想像だにしてなかった。
定番だけど紗幕に影が映る演出はエモーショナルだ。

そして歌声。
自分としては昨年の東京ドーム以来になったけど、やはりこの声を聴いた瞬間、もう非日常の世界に引き込まれてしまう。


”SPARK”
「ようこそ」
まさにスパークで視界が弾け飛ぶように紗幕が落ち、一気にボルテージを引き上げる。
何度聴いても”SPARK”の爆発力は半端ではない。

観客席の盛り上がりは劈くようにKアリーナに響いた「are you ready to spark?」が証明している。

というか、エマさんサングラス……?????
あなた九龍城砦からきました?って格好良さ。







改めて考えると「Sparkle X」のツアーのファイナルが”SPARK”で始まるの熱い。


”Chelsea Girl”
イントロでふおぉーとなる。そう来るか。
後述のコンセプトを知らないとそうなる。いや知っててもこうなる。

ファイナルに来てるだけあって、サビのコーラスも周りの方々がイエモン猛者たちだったので頼もしい。


ロビン:横浜ー!すごいねこの会場!
ここはたぶん東京ドームの半分くらいだよね?
※これにアニーが頷いて応える

約半年間の旅をして沢山のオーディエンスからのエネルギーをもらって最高の状態で帰ってまいりました。
今日は俺たちが1番やりたいものを、THE YELLOW MONKEYのど真ん中を届けたいと思います!


”罠”
最新作の中で最もギラついたナンバー。
洋邦問わずロックバンドというものを数多く見てきたけれど、この年齢でここまで色気を出せるバンドは、果たしていくつあるだろうか。

古い曲も新しい曲も関係なく、今のTHE YELLOW MONKEYとして響かせるロックンロールは聴く人々を酔いしれさせる。

この時か忘れたけど(もっと前だったかも)、エマさんがサングラスをちょい下げの上目遣いからのエマビーム。
あざとくてエグいセクシー。なんだこれ。

イケおじとかそういう次元じゃないんだよね、ジャケットにレスポールもったエマに勝るものはない。
男目に見てこれだから、周りの女性ファンの方々はリンゴ1個分くらい口あけて絶叫してた。


あの曲の導入が入り、ジャムセッション&コール&レスポンス。
その中でロビンが「時間には限りがあります」と言っていたのが印象的だった。
ちなみにこの時はSGを弾いていた。

幾度かの掛け合いを経て会場が沸騰しきった瞬間にエマのアルペジオが響く。


”Tactics”
何度聴いてもこの心地良さは、本当にワインを口に押し込まれたようにドロドロになってしまう。

今まであまり意識したことがなかったんだけど、”Tactics(戦術)”というタイトルでありながら、感覚で振り回されてしまうという歌詞が、なんともエスプリが利いているようにも感じる。


”VERMILION HANDS”
イントロでひょえーって声が出る。ずっとこんな。

何度聴いても摩訶不思議な歌詞なんだけど、このメロディと演奏で聴くと自然に身体が動いてしまう。
どうでもいい話をすると、自分はホラーとか好きな人間なんだけど「不器用な恋人に爪を切られた」という一文が、そんじょそこらのホラーよりリアルでゾッとする。

コンセプトをわかってない身としては、もう音に委ねてただ踊り狂おうとスイッチを入れて、ただ音楽に身を任せた。

この辺りの曲の反応をみても、やっぱり周りは猛者ばかりだ。こういう空気は本当に気持ちいい。


ロビン:ツアーが昨年から始まりまして、始まったのは何月から?9月?10月?
エマ:10月
ロビン:あ、勝手に喋った。罰金。あとで裏で500円を缶に入れて


ロビン:昨年の10月からツアーを回ってまして。ブロック1は「jaguar hard pain 1944〜1994」と「Sparkle X」のコラボレーションの内容でした。そこならブロック2は「smile」、ブロック3は「FOUR SEASONS」と変化をしていきました。
そしてファイナルブロックはどうなるのか。Xを見ながら「(その予想)違うぞ、間違ってるぞ」とほくそ笑んでおりました

ファイナルブロックはTHE YELLOW MONKEYにとって重要な年である1996年のツアー「野生の証明」と、「Sparkle X」の曲のコラボレーションでやります。

新しいKアリーナという会場で、今の僕らが演奏するとどうなるか楽しんでください!


あ、書いてて気づいたけど”Tactics”の最初の掛け合いで「野生にかえって!」と強調してたのはそのためか。

参考までに、セットリストを引用する。
※映像化されてるやつ





【TOUR ’96 FOR SEASON “野性の証明” at NHKホール (1996.7.21)】
01. SPARK
02. Chelsea Girl
03. See-Saw Girl
04. I Love You Baby
05. Tactics
06. Love Sauce
07. 天国旅行
08. Four Seasons
09. 熱帯夜
10. ROCK STAR
11. Sweet & Sweet
12. 赤裸々GO!GO!GO!
13. 嘆くなり我が夜のFantasy
14. 空の青と本当の気持ち
15. 太陽が燃えている
16. Love Communication
17. MOONLIGHT DRIVE
18. SUCK OF LIFE
19. JAM


なにこれ、鬼?セットリスト凄いな。

僕はこのライヴを見た事がなかった。

見てたら”アヴェ・マリア”からの”SPARK”で発狂してただろうな。
セットリストを見ればわかるが、なるほど、かなり流れにそっている。なら”Love Sauce”もやってくれてよかったんだよ???

コンセプトは理解しつつも「野生の証明」を未履修な身としては次に何が起こるか分からないドキドキは変わらない。

脱線したが、MC続き。


ロビン:あちらの治安の悪いサングラスをかけた……あ、もう取ったんですね。
彼がTHE YELLOW MONKEYに加入して初めて持ってきた曲です


”This Is For You”
大好きな曲なので、もうやってくれただけで嬉しい。特に治安の悪いサングラス掛けてた人の弾くギターソロが大好きなの。
ロビンがギブソンのアコギ弾いてるのあまり見ない気がするので、結構嬉しかった。

君の体に何度も立てた爪は、果たして切られすぎた爪なのだろか。


”Beaver”
アルバムの中でも派手な曲ではないけど、個人的にはメロディラインとかが本当に好きな曲。こういう曲が好きになるって、自分も心底歳を取ったなって思う。

全体的にはギラギラとしたライヴの中で”This Is For You”から”Beaver”の流れは心地よく、ゆったりしたムードが漂っていた。
途中で歌詞を間違えてしまい「間違っちゃった」とロビンが笑ってみせる場面はその雰囲気を表していただろう。

サビの母音の踏み方が前半は「beaver(i a)」、後半は「日も(i o)」になっていて、感覚的な話になるけど後半の少し落ち着いたような、どこか漂う寂しげな雰囲気に繋がっていると思う。


”Make Over”
アニーの軽快なドラムに合わせてクラップが響く。
アルバムの中では最も爽やかなエマ楽曲である。

曲全体で繰り返される「Pura Vida」はスペイン語で「純粋な人生」の意で、純粋に音楽愛に溢れたライヴ会場で聴くと格別だ。


そして、ライヴはここから怒涛の後半戦へ。








吉井和哉が白のストラトキャスターを鳴らす。クリーンなトーンでポロポロと爪弾く段階で「もしかして、アレ?」と心がザワつく。
美しいストラトの音色に歪みが加わった瞬間に確信に変わる。






そのリフが鳴ったとき、ライヴの階層がまた一段深く沈んだ感覚になった。

もう戻れない、ここから逃れられない。


”天国旅行”
原曲でさえ8分半近くある曲であるし、ライヴだとたぶん12~13分くらいあるのに、聴く度に引き込まれて長さなどまるで感じない曲。

この曲が終わるときって、漠然と掛け替えのない何かも終わってしまう感覚になるから、終わりがいつも寂しさを感じてしまう。

曲そのものは生死を描いた様でありながら、ソロ行為をしているようにも見えるようにも受け取れるものだ。
このバランス感覚がアルバム「SICKS」にも通ずるTHE YELLOW MONKEYのバンドとしての根底にあるアティチュードだと思う。

この規模の会場で、これだけ良い音で聴けて幸せだ。


”Four Seasons”
本当に、リアルで「わ……わぁ……」って声出た。こんな流れズルい。
こう見ると野生の証明というコンセプトに「人間らしい君と」という歌詞がとてもマッチしてる。

一段どころでなく深く深く潜っていくような感覚になっていくなかで、後半の「In changing time’n four seasons I’m crying」から一気に世界が開けていくような感覚になる。

この”天国旅行”~”Four Seasons”の流れは野生の証明でもあったみたいなのだけど、未履修のため知らなかった。けれど、当時とはまた違った意味合いを持つ流れになっていると思う。

特に”Four Seasons”の「アンコールはない 死ねばそれで終わり」というフレーズ。

ここ最近でもスライ・ストーンやブライアン・ウィルソンがこの世を去った。
レジェンドたちが残した音楽は後世にも残る。
しかしながら彼らがいてくれる世界はもうないのだ。

永遠がないからこそ、人は何かを創るのかもしれない。

だから、この夜を迎えられた喜びを噛みしめてしまう。


ロビンの「暗闇を見せ合おう」というMCから。


”ソナタの暗闇”
この曲好きで、ずっと耳から離れない。
どの演奏もだけどベースが特にカッコイイ。

「ソナタ」ってそのままなら音楽用語のことに思えるけど、「暗闇を見せ合おう」というMCを受けて、あなたという意味の「其方(そなた)」って意味もあるんじゃないかと思えた。

そうするとまるで暗闇が”Paint It Black”のようにもとらえられる。闇は底なし。


鶴谷崇が奏でた”月光”に場内がザワつく。
腰掛けたロビンが艶めかしい雰囲気で語り出す。


ロビン:月が、綺麗だね
満月は男も女も狂わせる
今日が満月だったか? って思ったでしょう?
地球から見れば満月でなくとも、太陽から見ればいつも満月なんです、とアニーが言ってました。
僕らには賢いドラムがいるから便利なのさ


自分はある曲が来ないか警戒していた。嫌だという意味の警戒ではない。
心臓が止まらないような心構えという意味だ。
いや、焦るな。まだ月ってだけだ。


ロビン:満月の夜の、ドライブを


あーもう確定だよ、助けて。さっきからクライマックスしかやって来ない。


ロビン:第三京浜を。あと、あのグルグルしてるとこなんだっけ
エマ:青葉?
ロビン:あんたのドライブコース言うんじゃないエマ:大黒?(ボソッ)
ロビン:独り言をオンマイクで言わないでください。さぁ、ここにはスピード違反はありません。みんなで満月のドライブへ行きましょう!


”MOONLIGHT DRIVE”
ようやく聴けた。
大好きな曲なんだけど、まだライヴで聴けていなかった曲だ。前フリ無かったら発狂してたかもしれない。発狂で済んで良かった。

念願というか悲願に近い曲だったので、間違いなく一番理性が吹き飛んだ。満月は人を狂わせるから仕方ない。

メンバーは花道にそれぞれ散り、花道でエマとすれ違おうとしたロビンが「左側通行!」とエマの左側を抜けたのに笑ってしまう。

そして、これで自分の悲願の聴きたい曲リストは”Honaloochie Boogie”がトップに。カバーだしハードル高いな……


”ラプソディ”
もうライヴを盛り上げるために生まれたような曲。想像していた以上の盛り上がり。
オパオパ騒ぐKアリーナ狂気過ぎる。

ロビンの謎ダンスに会場みんなニッコニコになってた。


ライヴは本編フィナーレへ。


ロビン:2022年の秋にTHE YELLOW MONKEYの次に向けてアルバムを創り始めようとしてました。そんな時に、ドラマのタイアップのお話をいただいた矢先に、自分の喉にブラックスターがあると判って。ショックもありましたが、でもドラマの内容とも重なって、闘志も燃えました。

「ニュートリノ」という言葉は、実は知らなかったんですけど、目に見えない粒子みたいなもので、周波数という意味もあるみたいで。
それには祈りとか願いみたいなものにもあるんだと思います。それに周波数というのは音楽には欠かせない言葉です。

そこから歌詞を書いていって、ニュートリノってホテルの名前っぽいなと思ったんです。
そうなったときに身体は魂の入れ物、ホテルみたいだなと思いました。生まれた時に魂が身体にチェックインして、死ぬ時にチェックアウトするみたいに。
そのホテルは人によって違って、廃墟みたいなものかもしれないし、リゾートみたいなところかもしれないし、居心地が良い場所かもしれない。それはみんなの魂が決めてるんじゃないかと。

そんなテーマですけど、曲はとても楽しい曲なのでみんなで最後に踊って楽しんでください!


ロビンの言葉に感嘆とした心地になりつつ「俺のホテルたぶん東横インだな」とか余計なこと考えてた。いつも遠征の時はお世話になっております。


”ホテルニュートリノ”
この曲が発表されてイエモンがスカ要素の新曲?と驚いたものだ。
曲だけを聴くと純粋に楽しいけれど、歌詞には悲哀が混じっていて、それでも前を向いていて。

その中で「人生の7割は予告編で/残りの命 数えた時に本編が始まる」という歌詞は印象的だったけれど、MCでロビン本人が語った一連の出来事が重なって、より力強さを増すことになった。

ツアー序盤ではまだ本調子ではなかったという。だがこの夜、吉井和哉はたしかにこの曲を歌い上げた。それがどれだけ嬉しいことか。

僕らの人生のドミノはもう倒れている。生まれたその瞬間から。
倒れながらも粒子を放ち、いくつもの倒れたドミノが絵を描くように何かを残していく。

この夜はその1つのピースだ。

この会場に満ちた粒子を糧に、僕らはまた人生を生きるのだ。



【アンコール】

ロビン:1つ前の神戸で初披露した新曲をやろうと思います。神戸でやってリハーサルばっちりなんで!
「ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット」というおどろおどろしい名前のタイトルのアニメの主題歌をやらせていただくことになりました。なんかゾンビになった猫に人間が襲われると猫になってしまうという作品みたいです。
(エマを指さして)あちらの、ほぼ猫のような彼が曲を書きました。


ふられたエマはニャンニャンポーズをすると
ロビンに「あざとい!」とつっこまれる。


ロビン:そしてお題をもらうと、お題に寄り添ったことを書く吉井和哉が歌詞を書きました。
THE YELLOW MONKEY史上、最も凶暴で血みどろなサビの歌詞が難解なワードがありますが、君たちなら大丈夫でしょう。


”CAT CITY”
スクリーンには歌詞が表示された。
サビの「ネコニャンパリ」って歌詞見た瞬間「キュウソネコカミの新曲か何かか??」と思ってしまった。けど、全体を通して聴くとちゃんとTHE YELLOW MONKEYになっている不思議な曲。

「ネ申」を「ねもうす」と読ませるところとか、「アレルギーでも首に巻きつけたい」みたいなフレーズで思わず笑ってしまった。

あとBメロでヒーセとエマが「ニャーン」ってコーラスするのあざと過ぎる。

すごくクセになる曲なので発売が楽しみだ。



”SUCK OF LIFE”
待ってましたの時間。
ロビンの歌い出しからイントロの入りまでの溜めが聴く度に長くなるような。

そしてロビンとエマの絡みの濃さが、もはや”行為”に匹敵してる。今日収録してるんだぞ?
ロビンはエマの足に腕を巻き付けるし、最後には首元に抱きついてからの‪𝑲𝑰𝑺𝑺‬。レンゲがスープに立つ濃厚さ。

周りのお姉様方がやっぱり失神しそうになってた。


メンバー紹介
ロビンがアニーの時だけ「ドラム、アニー!お疲れ様です」って言ってたのがなんか面白かった。
(鶴谷崇の時も「ありがとう」的なこと言ってた)

この時の紹介で改めて思ったけど、エマさん絶対若返ってるって。こんな還暦いていいのか。

そして最後はヒーセが「完全復活!ストロングマン!ヴォーカル、ロビン!」とキメてくれた。最高。


ロビン:ツアーが始まった頃は、まだ声が出し切れないことがありましたが、ツアーを重ねてみんなの周波数を受け取って元気になることができました。
まだツアー終わりたくないから、すぐにまたやりたいです。やったら来てくれますか?
俺たちまだまだ元気なんで、これからもよろしくお願いします!最後に1996年の最重要ロックンロールを届けます。


”JAM”
折しも、この前日にインドで旅客機の墜落事故が起きた。241名が亡くなるという悲惨な事故となった。

その時にTwitter(X)で”Jam”の話題を見かけることがあった。それが例え、決して望ましくない論調であっても。

ここまで長くなったし自分の”JAMに対して解釈は”過去に書いた記事に譲る。



記事としては「外国で飛行機が~」のくだりは曲のテーマの本質では無いと言いたい内容だ。

それでもなお、モヤモヤを抱えたまま僕はこのイントロを迎えていたことは確かだ。歯痒さとも呼べるかもしれない。

音楽は孤独にも寄り添い、暗闇にも鳴り響く。

そんなごちゃごちゃした心境で曲を聴いた結論は、過去の記事と同じであった。
主人公は、ただ明日を待っているだけなのだ。

この曲で語られることは、全て主人公のフィルターを通している。

これから最悪な事を書くのでご容赦いただきたい。

僕は悲惨な飛行機事故のニュースを見ながら、悲しみながら、それでもその明日という日にあるライヴを、また明日を、待っていた。

これは決して共感と呼べる類のものではない。

世界でどんな事が起きても、僕は結局自分というフィルターを通してしか世界を見ていなかったのである。

曲に意義を背負わせていたのは、他ならぬ僕自身だったのだ。
この曲の本質が失われてしまってほしくなかった。この曲が面白半分で取り沙汰されてほしくなかった。全部自分勝手な想いだった。

それでも、ライヴというこの場所には、ただLIFEが溢れていて。みんな、ちゃんとそれを受け取っていた。
だからこそ、僕らはこの場所をLIVEと呼ぶのである。

この夜響いた”JAM”は間違いなく、ただ純粋なロックンロールであった。曲に主張はない、ただ意義があるだけなのだ。
だからこそ、僕は涙が止まらなかった。

まさに、万感の想いだった。


メンバーからの挨拶の時、花道を駆けるアニーが「右から失礼」とばかりに右側通行でエマとすれ違う。
ちょうどロビンが「左側通行!」って言ってたところの付近だったので笑ってしまった。

あとエマさんがギター渡しながらローディーの方と握手していたの、俺でなければ見逃しちゃうね。


そういえば”悲しきASIAN BOY”がなかったライヴは、自分は初めてだったかもしれない。

燃え尽きてしまって、後になって規制退場の間で、たまたま始まる前に話していた隣の方と感想を話し合えば良かったと気づいた。
もうこの感想のことをずっと考えてしまっていた。すみません、またどこかの会場で会いましょう。

終了後、帰宅しながら公式からセットリストのプレイリストが公開されたので聴いていた。

そうやって聴いてみて、改めてそれぞれの楽器の音が太く強固なものになっていると感じる。
その音が1つに束なるバンドとしての強固な強さも。

今回のファイナルブロックは1996年というTHE YELLOW MONKEYにとって最盛期の1つである時代のツアーを踏まえたものだった。

しかしながら、それは決して焼き増しではない。
回顧ではない、ただ今この瞬間に音楽を鳴らす喜びに満ちた夜だった。

再集結後のTHE YELLOW MONKEYは「TYM」がテーマになっている。

時は戻らない。そして時の中で人は終わりを迎える。

数十年の人生でその中の2時間半を、この時間でいられたことが本当に嬉しい。
そして何よりも、ありがたかった。

Kアリーナで受け取った周波数を細胞に刻み込み。

これを書きながら、1人の暗い部屋でまた明日を待っている。


【セットリスト】
00.考える煙
01.アヴェ・マリア
02. SPARK
03. Chelsea Girl
04, 罠
05. Tactics
06. VERMILION HANDS
07. This Is For You
08. Beaver
09. Make Over
10. 天国旅行
11. Four Seasons
12. ソナタの暗闇
13. MOONLIGHT DRIVE
14. ラプソディ
15. ホテルニュートリノ 

EN-1. CAT CITY
EN-2. SUCK OF LIFE
EN-3. JAM



NHK 「SONGS」第493回 THE YELLOW MONKEY の"Horizon"がダメ、本当にダメ



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