「僕のヒーローアカデミア」のアニメのファイナルシーズンとしてOPに再抜擢された。
曲自体は単体の記事で触れているので、今回はカップリング中心のシングル全体の総括としたい。
ハッキリ言って久しぶりのこうした形態のシングルなので、僕は浮かれている。配信は利点もあるけど、やはり僕はこういうシングルを欲しているのだ。
その辺りの理由を含め、このシングルを味わっていこう。
カップリング論
このシングルはポルノグラフィティの56作目のシングルとなる。
CDとしてんフィジカルリリースとしては3作前の53rd「解放区」以来である。
ただ、「解放区」については少し特殊で52rdの配信シングルである"アビが鳴く"と、ライヴで披露されていた"OLD
VILLAGER"、それとTHE FIRST
TAEの音源ということで、完全初出しのカップリングがない作品であった。
配信が増えたこともあり、初出しカップリングを含むシングルとしては2001年の51st「テーマソング」以来である。
※ただし、これも内1曲はライヴで初出しされている"REUNION"を含むので、カップリング2曲がCD初聴きとなる体感は2019年の「VS」以来である。
なぜこんなことをクドクド書いているかといえば、ポルノグラフィティの名曲はカップリングにあるからである。
たとえばファンからとてつもない支持を集めている曲でいえば2回連続でファン投票1位に輝いた"夕陽と星空と僕"、人気の高い"Sheep
〜song of teenage love soldier〜"(USEN 推し活リクエスト「ポルノグラフィティ
推し曲リクエスト」TOP10
第1位)や、人類の至宝"ルーズ"がある。
他にも、まぁファンダムとしては「カップリングだけでツアーやってほしい」と思っている人がいるくらい、ポルノグラフィティのカップリングは重要なエレメントなのだ。
ちなみにこの声は自分の声であり、勝手にファンの気持ちを代弁している。たぶん東京ドーム埋められるくらいはいると思う。
なぜカップリングがここまで響くのかと、今回考えてみたんだけど、一つにはカップリングは最も自由度が高いからという点があるだろう。
シングル曲はやはりタイアップやシングル曲として背負っているものがある。
一方でカップリングって、シングルとは違う側面を表すための存在だと思うんです。だから遊び心が多かったり、変わったジャンルの音楽性を取り入れたりと自由が効きやすい。自由すぎて"稲妻サンダー99"は正直困惑したが。
特にポルノグラフィティのファンて「(ラテン系などの)パブリックイメージだけではない」ということを常に世に訴えかけたいと思っている奇人熱い人たちの集まりじゃないですか。
だから、カップリングってそういう思想を示しやすい曲が集まりやすいと思うんです。
自分でいえばミディアムテンポとかバラードみたいな、所謂一般的なポルノグラフィティのイメージでは弱い部分が好きなジャンルである。だからやっぱり"ルーズ"とか"天気職人"みたいなのをもっと知って欲しいわけですよ。
自由度でいえばアルバム曲もまぁそうなんだけど、カップリングってシングルという特性上、より名刺の1枚になるようなA面曲と違う側面を出そうとしていると感じる。
まぁシングルCDがかつてよりも色を薄れさせてしまっているけれど、それでもポルノグラフィティはまだこのフィールドで戦っていてほしい。そのためには僕らがしっかりCDを買っていくことが大切だ。
突き詰めればファン心理としてはもっと純粋(単純)に「推しの新曲はあるほど良い」ということだ。
だから、カップリング初出しであってほしいし、アルバムは新録曲があればあるほど良いのだ。だから僕はオリジナルアルバムにカップリングを含めるのはあまり好まない。
これ、ポルノグラフィティのファンからすると当たり前の心理としては普遍的なものだと思うじゃないですか。
でも、悲しいことに音楽業界においては一概にそう言えないのが現実なのだ。
キャリアを重ねるほど、新曲よりも「昔のヒット曲」を求められてしまうようになることがある。フェスやライヴで感じることが、正直数え入れないほど経験してきた。
特に久しぶりの来日みたいな海外ミュージシャンに顕著に感じることが多い。しかも興味本位で見ているフェス客ではなくて、かなりのファンの中であってもそれが起こりうるのだ。
1つのライヴの中で、新曲と昔のヒット曲を演奏した時に新曲への反応が薄い感じね。
まぁ自分は比較的そういうのはないんだけど、某海外バンドをサマソニで見て、世間的には売れまくったアルバム以降の曲がピンと来なくて立ち尽くしていた経験もあるので、気持ちはわからないでもない。
ちょっと脱線したけど、そういう風潮も起きる中でポルノグラフィティはファンダムの中でも新曲を求められていると感じる。これって26年以上キャリアがあるミュージシャンとしては、たぶん少数派の部類だと思うんだよ。しかも活動を継続的に続けている中でね。
だってシングルやアルバムの枚数でいえばポルノグラフィティってMr.Childrenより枚数出してるんだよ。
それなのにまだまだ新しいポルノグラフィティに魅了されてしまう。
ここからはそんなカップリングについて触れていきたい。
風波
作曲:岡野昭仁
編曲:皆川真人、tasuku、PORNOGRFFITTI
歌詞の発音からいくと読みは「かざなみ」ではなく「かぜなみ」なのかな。
近年キーボーディストとしてサポートをつとめる皆川真人がアレンジャーとして初参加。
イントロのピアノからもう鷲掴みで「あぁ来た、名曲」と感無量であった。俺ぜったい好きなやつだもの。
Bメロがない構成で、ドラマチックなバラードでありながら切ない余韻を残す。この辺りは重すぎなくさせる絶妙な塩梅だと思う。
センター~フロントっぽいサウンドを奏でるギターがまた切なさを強調させる。
歌詞についても、新藤晴一はラヴソングをまだ書いていきたいと語っているとおり、比較的平易な言葉で切ない恋を紡ぎ出す。
またしても新藤晴一の言葉にやられてしまったなと思わされたのは、このフレーズ。
色褪せない写真は嫌いだ だって思い出はセピア色に滲んでいくくらいがちょうどいい 傷つけあった時間も愛おしいくらい
というフレーズ、優勝。
この曲って精神的には”クラウド”に通じていると思う。だから最後のサビのフレーズもまた堪らない。
インタビューで語られていたけど、アレンジの皆川真人がレコーディングで「この手紙は何年くらい経ったもの?」って質問を新藤晴一にしていたって話が印象的で。
自分もこの曲について考えると、そのことはとても気になる(インタビューでは何年くらいかは語られないけど)
そもそも「レコーディングでそういう文学的な話が出ることがあまりない」ってことらしいので、そういうもんなんだって。
いや、ここで新藤晴一としての答えは要らないと思う(本人の中には考えはあるとしてもね)。だからこそ、聴き手が自由にそこに想いを重ねることができるのだから。
他にもCメロが良すぎるとか正直、ちょっと語りたいことがありすぎるので、これはこれで単独記事で歌詞について書きたいと思う。
名曲。
Shake hands
作曲:新藤晴一
作詞:新藤晴一
編曲:宗本康平、ポルノグラフィティ
ギャンギャンと鳴り響くギターとホーンがリッチさを感じさせる。
印象としてはすごくエアロスミスとかストーンズっぽいなと感じた。あとなんか昔のジャニーズにありそうな曲というか。あんまり深い理由はない。
それにしてもこれが「ワズビル」ツアーのロマポル告知のときの曲だって最初に気づいた人は凄いと思う。
この動画、元々嬉しさで泣けるのに、今は因島の経緯を知っているからまた別の意味で泣けてしまうんだよな……
そう考えると、風波も少し前からあった曲らしいし、カップリングは2曲とも満を持して発表されたのだろう。
”Shake
hands”もインタビューを読む限り、かなり意識的にカップリングとしての役割を狙い、実際それを果たしていると思う。
とにかく聴いてただ愉しくなれる音楽が、時に人には必要なのだ。こんなのライヴで聴いたら頭真っ白でDANCEですよ。
こういう曲の重要性もあって。
特に最近では”言伝
―ことづて―”とか、聴く時にはどうしてもしっかり受け止めたいと身構えてしまう。
メッセージ性が強い曲も大切だけれど、人が音楽に求める娯楽性もまた大切なエレメントだ。
僕らのメンタルには時にジャンクフードも必要なのである。
詞曲は違えど同じ宗本康兵アレンジの”東京デスティニー”と近しい部分を感じる。
でもなんか歌謡曲的なイナたさもありつつ、サビの妙なキャッチーは90年代感あるよね。
2番のサビとか、実は結構不思議な歌詞で、歌詞で「手違いで」って出てくるのフレッシュ。
たまに話に出す(今は解散してしまった)For Tracy
Hydeというバンドの”麦の海に沈む果実”という曲があって。
そこで「血迷えば幸せと見まごいそうなそれは、いちど沈めば取り戻せはしないから。」とちうフレーズがあって、ここの「血迷えば」って言葉がかなり好きで、その感覚に近い。
こういう歌詞ではあまり見ないフレーズをさりげなく使われると弱い。
年末のロマポルは「"THE DAY"から始まるだろうな」って漠然と思っていたけど、これから始まってもいいよね。もしくはホーン隊も呼んで盛り上げてくれてもいい。
最後に、少しだけ特典映像について。
そして特典映像はMVとアーティストビジュアルの撮影メイキング。
これ自体はとても最高なんだけど、メイキングを見せるならMV本編も入れて欲しかったなと思うところ。
個人的に1番「おぉ!」と思ったのはジャケットの風見鶏モチーフの作成と撮影の映像。今までこういうのってなかったから、好きな人間にとってすごく嬉しい。
ポルノグラフィティのファンの中だと、本人たちの映像だけ見たいって層は結構いるっぽいんだけど、セットの設営とかそういうのいっぱい見たい人間なので、こういうスタッフワークを今後も見せて欲しい。
ということで、久しぶりのシングルCDだったけど、やっぱりカップリングあるシングルは高揚感が違うので、今後も配信だけでなくリリースしていってほしい。



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