遅ればせながらJohn Mayerの新作「The Search For Everything」を購入した。
おかえりジョン・メイヤー。
そんなことを言いたくなるようなアルバムだった。
ということで、簡単にレビュー(感想)をば。
John Mayer「The Search For Everything」レビュー
ギター弾きまくりのジョン・メイヤー
もちろん3年半ぶりということで久しぶりのアルバムでもある。そして、ここ数作のカントリー路線から一転、ジョン・メイヤー「らしい」サウンドが満載となった1枚である。
僕のいうジョン・メイヤー「らしい」というのは、ストラトとマーチンで縦横無尽に弾きまくるというギターキッズを興奮させるものである。
近年のアルバム「Born and Raised」と「Paradise Valley」の2枚はギターよりもソングライターとして、ヴォーカリストのジョン・メイヤーにスポットを当てた作品であった。それは自身に降りかかった喉の肉芽腫の病気療養が影響していただろう。
ソングライディングの腕前は相変わらずの凄腕であるが、ギターということで、目線だけで見れば「らしさ」は少し鳴りを潜めていた。
もちろんどちらも完成度は高いし、良いアルバムだと思う。あくまでギター目線だけでいえばという話である。
そして、本作「The Search For Everything」である。前置きが長くなった。
このアルバムにはジョン・メイヤーの魅力全てが詰まっている。ソングライディング、歌声、甘いギタートーン、そして縦横無尽に弾きまくるギターソロ。
ケイティ・ペリーとの破局を経て、今回ジョン・メイヤーは"失恋"のアルバムを書いた。
しかし、どうだろう。このアルバムを聴き終わりまず感じるのは「なんて美しいアルバムなんだろう」という気持ちであった。
メロディがとにかく優しくて美しいのだ。
悲しみだけでない、寂しさや諦め、それでも忘れられない恋が歌声に込められている。
それと同じくらいその感情がギターに詰まっているのだ。
"Changing"のギターソロで思わず泣きそうになってしまった。
これだ。これを僕は待ってた。
しかし、これは"回帰"などではない。
"昇華"なのだ。
昔のジョン・メイヤーの魅力に近年のソングライディングや歌声の深化がプラスされている。
云わば「いいとこ取り」である。
"Roll It On Home"などは前作に入っていてもおかしくないテイストだ。
「Battle Studies」の最新版という印象。
久しぶりにスティーヴ・ジョーダンとピノ・パラディーノが参加しているということから感じるのだろうか。
ところでジャケット裏が「VOL.1」となっているのは何で?
全曲感想
1. Still Feel Like Your Man
歌い出し完全にフランク・オーシャンやん、と思ってしまった。どうせアルバムに入るだろうということで配信されたEPはスルーしていたので驚いた。
ソウルフル、R&Bテイストの曲にコーラスワークが映える。サビのギターカッティングも良い。
2. Emoji of a Wave
美しいアコギのアルペジオから始まるナンバー。
これもコーラスが美しい。
ドラムのないアコースティックな曲なので、ライヴ中盤に聴きたいような曲である。
3. Helpless
ストーンズみたいなイントロから「きた!」と叫んでしまうようなギターが鳴る。
この曲に上に書いたようなジョン・メイヤー「らしさ」が全部入ってるように思う。
オカズの入れ方、ギターソロ、気持ちいい。魅力全乗せという曲。
「もし俺が役にたたないなら教えてくれ」なんて叫ぶ歌なのに。
4. Love On The Weekend
アルバムのリード曲となっている曲。
これだけ購入前にチラッと聴いていた。実は「あー次のアルバムはこういう路線か?」と若干不安になった。やっぱりブルース弾くジョン・メイヤーが好きだったから。
でもアルバム通して聴くと全然そんなことなく、この曲もあくまでも様々な面の1面でしかなかった。そして通しで聴いた時にはとても上手く馴染んで良い曲と素直に思えるようになった。
5. In The Blood
タイトルの血は家系における"血筋"のことを指している。
前作までのカントリー路線からきている曲。弾き語りでも十分聞き応えあるようなシンプルな曲だけど、脈打つようなドラムが入ることで良いアクセントとなっている。
6. Changing
上記の通りギターソロが素晴らしい。ギタリストって結局ペンタが1番気持ち良いんだよなと沁々感じながら聞き惚れた。
僕は完全にこれがベストトラックです。
歴代でも上位に入れたいくらい好き。
7. Theme From 'The Search For Everything
インタールードの役割を果たすタイトル曲。
美しいアコギから始まる。
8. Moving On And Getting Over
インタールードを挟んでまた少しアルバムのテイストが変わる。
"Changing"で「変わるんだ!」と力強く歌っていたが、ここでまた寂しさがぶり返したような感じ。
「乗り越えるんだ」という歌だけど、全編を通して女々しさを感じる歌詞(アルバム全体にも言えるが)。
それは柔らかい歌声やファルセットから感じるのかもしれない。ギターソロもどこか、か細い。
9. Never On The Day You Leave
ピアノ主体のバラード。
中盤の曲はどれもさりげなくギターが入っていて、どれも空間系のエフェクターが効いていて残響音が強い。それが未練のようにもとれる。
10. Rosie
イントロのギター好き。
聴いていて「Heavier Things」の頃のジョン・メイヤーを思い出した。
ジョン・メイヤーってこういう曲調が一番歌声と合っているなと思う。
11. Roll It On Home
カントリー曲。
歌詞の中ではJourneyの"Don't Stop Believin' "が登場する。
あらためて思ったんだけど、ジョン・メイヤーがストラトが似合うのは、こういう曲でカラッとしたトーンのギターも入るんだけど、テレキャスほどカラッとしたトーンがストラトでは出ないから、ちょっとだけ湿り気が出る。それがジョン・メイヤーの明るい曲だけど、完全には振り切れないというようなバランス感覚と合ってると思う。
12. You're Gonna Live Forever In Me
口笛が印象的なナンバー。
ピアノ、ストリングスに乗せて柔らかな歌で終わる。もちろん最後まで未練たっぷりである。
アルバム全体でこれでもかと失恋について歌って、これたぶん全部日本語の歌詞で聴いていたら鬱陶しくなる。日本人で良かった。
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