ポルノグラフィティが今年9月に開催される「しまなみロマンスポルノ’18 ~Deep Breath~」で発生した収益及び、オリジナルグッズ販売による収益を全て災害復興のための支援金として寄付することを発表した。
広島県出身のアーティストとして、地元の甚大な被害に声を上げたポルノグラフィティ、その発表の意味をあらためてここに記したい。
しまなみロマンスポルノ’18 ~Deep Breath~
ここであらためて9月に開催される「しまなみロマンスポルノ’18 ~Deep Breath~」について再確認しよう。
元々のコンセプトは開催が発表された際のものを引用しよう。
2年ぶりの野外ロマンスポルノ!
さらに今回はメンバーの地元・広島での初ロマンスポルノ!
ということで、盛り上がらないわけがないこの企画!!
ポルノグラフィティ20周年イヤーのキックオフを、
広島で! 野外で! そしてLIVEで!
そう、本来はポルノグラフィティの20周年に向けたキックオフライヴだったのである。
それが広島での凱旋ライヴ、野外、初日がデビュー日という完璧なるお膳立てで開催されることとなった。
間違いなくお祭り騒ぎとなること必至のライヴとなるはずだった。
そして発表されたのがシングル「ブレス」。
ライヴのサブタイトルが「~Deep Breath~」であることや、今までもロマポル直前で発表になったシングルがライヴコンセプトに重要な骨格を為すこと、それを考えると「ありのまま 君のままでいいんじゃない」というメッセージからもかなり前向きなライヴになることが想像された。
豪雨被害の影響
チケット当落が発表になり、Amuse Fesも終了し、次のライヴがしまなみロマンスポルノになったことで、ファンの心もかなり9月に向かっていた。
「ブレス」のシングルが発表になったこともあり、期待が高まるばかりであった。
そんな矢先、7月初めに西日本で豪雨による甚大な災害が発生した。
7月23日時点で死者219名、行方不明者12名、被災地では猛暑も加わり、未だ事態の終息は見えない。
ポルノグラフィティの公式Twitterアカウントでも7月12日に開催についての検討が発表された。
今回の西日本を中心とした豪雨による災害により、被災された皆様にお見舞い申し上げます。“しまなみロマンスポルノ'18”はメンバー含め、開催したいという思いのもと、今後の状況を踏まえながら検討して参ります。変更等が生じましたら改めてご案内致します。一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます— ポルノグラフィティ 公式 (@pg_koushiki) 2018年7月12日
開催地である「広島県立びんご運動公園」でも断水による被害があったことから、7月17日まで営業を停止していた。
その状況にファンは誰しも「開催は無理しないで欲しい」という気持ちでいたと思う。
もちろんライヴを見たいという気持ちはあるが、それでも連日報道される内容に、ライヴよりもまず復興をという願いであった。
そうした状況下で発表されたのが、今回の声明である。
収益を全額寄付ということ
ライヴは素敵な空間である。
音楽を楽しむために、みんなが集まって日常を忘れさせてくれる夢の場所である。
それでもライヴは、慈善事業ではない。
特にポルノグラフィティほどのアーティストにとっては、野外での大規模な2daysとなれば、相当のお金が掛かる。
よく「チケット代は費用とトントンで、グッズの収益で儲けている」という。
しかし、これは実際には事実ではない。
本当にそうであるならば、このCDが売れない時代に全国ツアーを行うメリットがないからだ。
グッズの収益だけで儲けなければならないなら、プロモーターは飯が食えないはずだ。
チケット代とトントンの費用を掛けているというのは、かなり多めに見積もった額を総額した結果なのだ。
(サカナクションは分からないが)
つまり、プロモーターが収益をしっかり上げ、アーティストにギャランティを支払うだけの余力があるのだ。
それは決して悪いことではない。
それがあって、プロモーターの方が動いてくれるからこそ、ライヴという幸せな空間が生まれるのだ。
それを踏まえて、あらためて発表を見て頂きたい。
【しまなみロマンスポルノ'18に開催につきまして】— ポルノグラフィティ 公式 (@pg_koushiki) 2018年7月26日
西日本豪雨災害を受けての会場の状況などを踏まえ、LIVEを開催するべきか検討を重ねましたが、ポルノグラフィティとして何ができるのかを熟考した結果、開催したいという想いに至りました。
詳細は、以下ご確認下さいhttps://t.co/k1FQ3EZdeP pic.twitter.com/m5y1hY68IX
「チャリティグッズを作って収益を寄付します」
「今回のギャラを全て寄付します」
「グッズの収益を全て寄付します」
仮にそれだけであっても、十分すぎる支援だろう。
しかし、今回は違う。
「本公演および本公演のオリジナルグッズの収益全額」は、今回の災害復興のための支援金として寄付させて頂きます。
例を挙げればプロモーターは宣伝を打たなければならない。
それはボランティアではない。それが収益に繋がるからだ。
収益こそが社会を動かしているからだ。
これだけ大規模なライヴとなれば、スタッフの数も移動費も宿泊費も掛かる。
ライヴとは、プロジェクトなのだ。
それなのに、収益は全て寄付するということ。
たとえば、これを読んでいるあなたが働いてお金を貰えるのは、会社やお店が収益を上げているからだ。
中には赤字というところもあるだろうが、それは給料などを払った上で赤字となっているので、該当しない。
そもそもライヴを行うという決断だって、凄いことなのだ。
この状況においては、もしかしたら批判の声が上がったっておかしくない。
それでもライヴを開催すること。あの最高の場所を用意してくれること。
それだけでも泣けるくらい嬉しい。
その大変なライヴで生まれた収益を全て寄付するという決断。
この凄さが伝わるだろうか。
ここまで書いてきて僕の力が及ばなすぎて伝わらない気がしてきたが、とにかくこれは凄いことなのだ。
メンバーのコメントからも広島への想いが溢れていて、それもまた泣けるものであった。
”何か”、”少しでも”僕らにできること。それは少しでもグッズを買ったりして収益を増やすこと。広島の街でしっかりお金を使って復興の手助けをすること。もし可能ならSNSで復興支援としての観光を呼びかけを発信してもいいかもしれない。
たとえ1人ひとりの力は小さくても、それが集まれば大きな力になる。
ライヴ会場で、1人の声では小さくても何万もの人の声が重なることで、圧倒的な歌声になるように。
災害、それに対する決断。
この発表がされた時に思ってしまった。
「ポルノグラフィティのファンでいることが誇らしい」
被災された方にとって、絶対に正しくない言葉であることは分かってる。
それでも岡野昭仁とは、新藤晴一とは、ポルノグラフィティとはそういう男たちなのだ。
「最高のライヴ」をすること、それが最大の貢献となる決断だ。
そしてそれを全面的に理解し支えているスタッフワーク、決断を認めてくれた尾道市、みんなロックだよ。
「雨など降らぬ」
悲しみの雨がもたらした被害。
失われたものは数知れず。
心の雨が止むならば。
視線を向けた先に待つ未来のために。
僕らは、それでも明日へ向かわなければならない。
僕たちが コントロールできることはほんの少し
ほとんどの出来事には関われないとしても
この星の裏側でも僕たちの足下でも
起こりうる出来事から逃げない 受信者(∠RECEIVER)でいたい
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