2019年2月27日水曜日

金田一37歳の事件簿 「歌島リゾート殺人事件」ネタバレ感想








「金田一少年の事件簿」が「金田一37歳の事件簿」となってカムバックした。

とりあえず最初の事件が終わったら、金田一ガチ勢として感想を書こうかと思い、今に至る。
※さらに迷った結果3巻まで出てしまった。


「金田一少年の事件簿」は僕の青春である。どう考えても人として間違っているとは思うが、世間でいまだに「名探偵行く先々で死体が現れる歩く死神※」が人気だし、探偵ものが好きと言ってもおかしくないだろう。
【No】英語禁止でポルノグラフィティを紹介する【English】参照

兎に角。そんな議論は不毛である。

まず、触りとして僕と金田一について触れておこう。



金田一37歳の事件簿 「歌島リゾート殺人事件」ネタバレ感想









金田一少年の事件簿という青春




少なくとも僕の世代は思春期真っ只中に堂本剛によるドラマ「金田一少年の事件簿」直撃を受けているので、好きな割合は多いのだ。

towaie、正直近年の不定期の連載の事件たちはどれも、イマイチのれないものばかりであった。買って、読んで、あーハイハイと流してしまうような。

特に「金田一少年の事件簿R」(リターンズ)として再開された時のものは、好きな事件はおろか、概要すら忘れかけているものも多々。

惹かれる理由はほぼ明確なのだけど、事件と登場人物たちが"薄い"のだ。最近では「金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」としてスピンオフが人気を泊しているが、それは過去の犯人や事件の濃さがあるからこそ成り立っているのである。









↑近年こんなに笑ったマンガはない


パロディがパロディ足るには、元々の作品が人々の記憶に残っていなければならない。それが後期の作品の犯人たちで成り立たせるのは難しいのではないだろうか。

そんなことを思いつつ読んでいたが「金田一少年の事件簿R」も連載終了となり、次に始まったのが「金田一37歳の事件簿」なのである。

そのコンセプトが発表された時から様々な疑問符が浮かぶが、それは本編を読んでも変わらなくった。まず誰しもが思う「なぜ37歳?」という疑問、それは原作者自ら言っているので、もう深読みもなにもない。








ドラマ化待ったなし。どうやら堂本剛本人は「忙しいから連ドラやりたくない」とか言ってるらしいが、そのヤル気のなさが今回の金田一にピッタリではないか。

しかしながら、何よりの問題といえば剣持警部を演じた古尾谷雅人が自ら命を経って亡くなっているので、難しいのではないだろうか。

こうなったら美雪は鈴木杏、剣持警部は内藤剛志と金田一少年でクロスオーバーしまくりのドラマはどうだろうか。高遠はもちろん、いや何でもないです。

ということで、前置きはさておき、本編の話に移ろう。




歌島リゾート殺人事件




スピンオフよりもスピンオフっぽい、それが「金田一37歳の事件簿」である。

少年マガジンから月刊イヴニングに移り、アダルト要素も取り入れられている。のわりに、宗像先輩とかのがどう考えても青年誌案件ではないか。






37歳になった金田一一は「音羽ブラックPR社」の中間管理職のサラリーマンである。名前の通りもちろん真っ黒のブラック企業。





美雪はCAとなり、世界中の空を飛び回っている。

そして金田一が語るのは「もう謎は解きたくない」という台詞。度々出てくるフレーズで、17歳から37歳までの間に起きたある事がキッカケで推理をしたくなってしまっている。その真相は、謎のままであり今後明かされていくのだろう。

そんな金田一に舞い込んだ仕事が、かつて幾度とない殺人が繰り返された離島「歌島」であった。

歌島といえば、もちろん「オペラ座館」である。かつて3度悲劇が起きた歌島で、今回も当然ながらこちらの歩く死神によって殺人事件が巻き起こる。





ということで事件が巻き起こる。正直不安になりながら1巻を読んだが、その感想としては「案外、悪く……ない?」というもの。ただ、歩くポンコツこと僕でさえトリックいくつか推察できてしまうというのはいかがなものか。

特に氷のトリックとかLEDは分かりやすいし、曇り窓越しに電球を見せて錯覚させるのは短編の「聖なる夜の殺人」でやったろ。


というかシャンデリアを落としたのではなく、被害者を床に置いたシャンデリアに投げて殺し、シャンデリアをひっくり返してシャンデリアが落ちたように見せかけたって。
いや、血の流れ調べたら、逆に流れてるのが判るのではないか。

トリックについては何かと杜撰な感じはするが、それでも、仕切り直しの1話目ということで意気込みがあったのかもしれない。

「謎を解きたくない」と言いながらも、結局そうせざるをえない状況に追い込まれる金田一。
そのため、結局推理パートはあまり変わらない。

その明確な変化が見えたのが解決編に入ってからである。

基本的に今までは主要人物たちを集めてから推理していた。しかし、今回は呼び出しても誰も集まらない、しかも唯一来た人間が犯人という状況に。

そのため、黒塗り犯人がとにかく感情出すわ、喋るわ、心中ガンガンさらけ出すわ。明らかに犯人の事件簿の影響受けてる、よね?





動機について








個人的に一番良いなと思ったのが犯人である麻生早苗の動機である。



保険金殺人の常習犯
婚活に参加したのはその保険金殺人のめぼしい人物を探すため
桜沢を殺したのはお目当ての男(ターゲット)を取られそうになったため
鈴木は以前の保険金殺人の被害者だったから


なんと身勝手!


金田一において、動機の設定は重要なものである。多くの場合は大切な人を奪われたことに対する復讐である。

終盤の見所ではあるが、どうしてもそれに固執してしまう部分もあって。それこそ初期の学園七不思議の的場などのように、自分の保身のために殺戮を繰り返す犯人がいるのもまた必然である。

しかしながら、近年ではほとんどが復讐であり、ひとつひとつを見ればその境遇が胸に刺さるような犯人たちの動機が、どこか薄さを感じてしまう。

現実の世界でこれだけ身勝手な理由からの犯罪が横行しているなか、動機の面で「人を殺すほどの殺意」というものに、悪い意味で麻痺してしまっているのかもしれない。

だからこそ、これほど清々しい身勝手な動機にリアリティを感じたのだ。








↑犯人のテンションが完全に「サイコメトラーEIJI」のそれ


しかし、しかし。

だからこそ、高遠か……と思えてしまうのだ。






ここは明確にしなければならないと思うのだが、作者の想いほど、読者は高遠を求めているのだろうか。
決してそうではないと思う。


後半で何事も高遠を関わらせたりすることが増えた。それが何をもたらしたか。それは高遠というキャラクターがどんどん魅力を失わせていくことになっている。

なぜかといえば、復讐を狙う犯人に高遠がアドバイスをする。それを金田一一が解くという流れが続くと、高遠の計画がもはやダメなのではという気持ちになってしまうのだ。そこに対しての言い訳として「計画は完璧だったが、実行した犯人がミスしたから暴かれた」というスタンスでいた。

しかし、末期の「金田一少年の事件簿」を読んでも、それで押し通すのは無理ではないかと思うしかないだろう。


色々書いてきたが、37歳になり様々な変化も訪れる。それはこれから先のシリーズを見て考えていこう。


※といいつつ3巻まで読み、次の「タワマンマダム殺人事件」が言いたい事ありすぎるので、事件ごとに書こうと思う。






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