2019年8月25日日曜日

綾辻行人×清原紘再び漫画『十角館の殺人』1、2話ネタバレ感想








この世で一番好きなミステリ小説は何かと訊かれれば、僕は綾辻行人『十角館の殺人』と答える。

「映像化不可能」と云われ続けてきた作品が、遂に漫画になった。

そんな作品についてこれから感想を書いておきたい。






漫画『十角館の殺人』1、2話ネタバレ感想
原作:綾辻行人 漫画:清原紘









作品について




僕が生まれた1987年に発表された本作は「新本格」の幕開けとも呼ばれる。時代を築いた重要な作品である。

孤島に建てられた謎の洋館「十角館」で起きるアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』をなぞらえるような連続殺人。そして読む者に衝撃を与え、それまでの世界を一変させる「たった一行」の言葉。

それから数々の作品が出て所謂「どんでん返し」の小説も数知れず世にあるが、今ではその衝撃は色褪せない、まさに「金字塔」と呼ぶべき傑作である。
そんな作品はあるトリックの性質上「映像化不可能」と云われ続けてきた。

前置きが長くなったが、そんな本作がコミック化された。
居ても立ってもいられず、月刊アフタヌーンを買いに走ったのだ。

ということで、ここからは漫画版のネタバレ有りで感想を書きたい。
まだ事件も発生していないので、小説原作版のネタバレは避ける。



あらすじ

綾辻のデビュー作「十角館の殺人」をコミカライズした本作は、孤島に建つ十角形の奇妙な館・十角館を舞台にしたミステリー。孤島に訪れた大学のミステリ研究会に所属する男女7人は、電話も通じないこの館で1週間過ごすことになる。しかも館を設計した中村青司は、半年前に謎の焼死を遂げていて……。舞台が2018年になったり登場人物の設定が変更されたりとマンガならではの要素が盛り込まれており、初回となる今号には一挙2話が掲載された。












『十角館の殺人』コミック版ネタバレ感想 第1~2話









なぜ映像化不可能かを説明するとこの作品最大のトリックの肝を明かさなければならないので、ここでは伏せておく。
兎に角、生半可なやり方では映像化はできないので、個人的にはやって欲しくないとさえ思っていた。

しかし、それが発表されてあの人が漫画の作画をするという情報で変わった。

作画を担当したのは清原紘。同じく綾辻行人の小説『Another』をコミック化している。





こちらも文字ならではで映像化不可能と思われたが、清原紘による見事としか言い様のない作画によって、個人的には完璧と呼んで差し支えない仕上がりとなった。

なので、今回の『十角館の殺人』ももしかしたら、やってくれるかもしれない、そんな期待を抱けたのだ。

純粋に絵としても清原紘の絵は美しく、あの絵で館シリーズの世界観が描かれることに、ワクワクとした気持ちの方が強く、抑えられなかったほどだ。


さて、今回の漫画化において、原作から大きく改変されている点がふたつある。

・時代設定が1986年から2018年に
・江南が女の子に

1987年の作品なので、そのままだとアガサがソバージュヘアだったりするので、設定が2018年に変わりビジュアルも現代に合わせられている。

当然スマートフォンも登場することになるが、孤島の青島は電波が届かなく、通信手段もない設定である。


そして館シリーズのメインキャラクターの1人である江南孝明(かわみなみ たかあき)は江南あきらとして女の子に変更となっている。これは作中の男女バランスを取るためだろう。
というか館シリーズは実質島田潔がメインキャラクターなので、性別はさほど影響しないだろう。

実はもうひとつ中村千織の死の原因が今のところ原作とは異なっているが、それは今後語られていくと思うので、今は置いておく。

1話では十角館での大学生たちの物語、2話では江南あきらと島田潔の出逢いが描かれたところで終わるので、事件はまだまだこれからである。






島田潔が予想よりかなり変わり者の風貌が強いけど、これはこれで面白そうだ。島側のメンバーのビジュアルはエラリィが更にキザだったり、カーが『進撃の巨人』のライナーっぽくて鋼の巨人になりそうとか、ポウおっさんだなってなってたり、オルチィが地味眼鏡巨乳になっていたり、アガサがショップ店員みたいだったりと、色々楽しいし違和感もさほどない。






何より「すべて十角形で構築されている」という十角館の構造は、やはりビジュアルにするとインパクトがあり、人物キャラクターだけでなく建物そのものがメインキャラクターとも呼べる館シリーズとして、それだけでも価値があることだ。


そしていくつか漫画ならではの小ネタも仕込まれている。

『被害者プレート』を見てエラリィが語る「とある小説(ミステリ)のヒロインの台詞を思い出したよ『気をつけて──…もう始まってるかもしれない』」は云わずもがな『Another』の見崎鳴(みさき めい)の言葉である。

綾辻行人×清原紘ならではの遊び心ある脚色だ。

あと今のところ理由は定かではないが、江南の部屋にはドラマ「TRICK(トリック)」のポスターが貼ってある。
2018年に大学生の江南がトリックのポスターを貼っているということが、妙な違和感で気になる(そもそも「トリック」のポスター貼ってる人の時点で年齢性別関係なくあれだが)。

ということで、まだ物語は始まったばかりなのでこれからの展開に注目だが、誰もが思っているであろうメイントリックをどうやって可視化させるのか、その辺りにも注目して読んでいきたい。

コミックの発売を待とうかと思ったが、待ちきれない上に最後の方のネタバレ踏むとかでヤキモキしたくないので、追えればリアルタイムで追おうと思う。

今は何より、こうしてあの世界が漫画化され、読めているという事実が何よりも嬉しく、感慨深い気持ちだ。

これからの展開が楽しみで仕方ない。



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2 件のコメント:

  1. はじめまして。自分も十角舘の殺人が好きでわくわくしながら、アフタヌーンを買いました。
    あのトリックは再現できるのかどうか、それともオリジナル展開になるのか。
    江南の女性化ですが、これって一緒に住んでる妹が手紙を盗み見て成り済ましてる可能性もあると思うんです。「あきら」という名前は男女可能なので。引っ掛けの可能性もありますが。
    長文失礼しました。それでは。

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    1. コメントありがとうございます!
      あのトリックどう実現するのか、次の本土には注目ですね。
      たしかに、江南に漫画アレンジの仕掛けがあったら面白いですね。髪型とかも相まって『ヒカルの碁』の塔矢アキラが浮かびました。

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