2019年8月29日木曜日

m-FLOOD 僕らを未来へ連れていってくれる波






「波には色々あって。今回みたいにいろんなものを奪った波もあるけど、俺たちを未来へ連れていってくれる波もある」


それは2011年に開催された「つま恋ロマンスポルノ'11」の新藤晴一の言葉である。

2011年3月11日

全てが変わってしまった、あの日。





∠RECEIVER



2011年つま恋で行われたロマンスポルノは、震災の被害者の方々への黙祷から始まったライヴ。

希望を飛ばすような"君は100%"で始まった。

その時の「怖くはない 一人じゃない」という言葉の強さ。岡野昭仁の言葉と歌は、心情にハマった時に恐ろしいほど破壊力を増して心に突き刺さる。
誰もが心に抱えていた不安や恐怖を全て受け止めてくれるほど、その歌声は大きかった。

震災を受けて書かれた"ワンモアタイム"、願いを歌にのせた"アゲハ蝶"などもあったが、ライヴはファンには堪らないセットリストとアレンジたちでいつものような盛り上がりを見せた。

しかし、そんなライヴの最後にステージに残った岡野昭仁、新藤晴一は2人だけで"∠RECEIVER"を演奏した。

このことについては、事あるごとに書いているので割愛するが、ここでの2人の、そしてポルノグラフィティスタッフたちの決断は、今でも忘れがたい記憶となっている。

そこでの新藤晴一の言葉が、冒頭に載せた言葉である。

津波、波という言葉にナーバスになってしまう状況で、新藤晴一は、あえて「波」という言葉を用いた。そして、その言葉についてネガティブな意味が蔓延している中で、「全てを奪ってしまう波もあれば、僕らを未来へ連れていってくれるような波もある」と語った。

そう、この人はそういう人だ。

しまなみロマンスポルノでも、


甚大な被害があってから、わずか2カ月後に大規模なライヴを行うこと、中止、延期を含め、スタッフ、メンバーで考えてきました。

どちらの選択をするにせよ、ポジティヴな要素、ネガティヴな要素が同居していて、なかなか答えには辿りつけませんでした。

それならばと、よりポジティヴな要素が多い方、つまりミュージシャンとして音を奏でるという選択をしました。

そういう決断ができる人なのだ。



m-FLOOD






先日ROCK IN JAPAN FES 2019の帰り、友人の車で「OPEN MUSIC CABINET」のDVDを流していた。

運転中は画面が流れないので久しぶりに、音に集中して、それを聴いていた。

そうした時に、この曲が心に引っ掛かった。


次はその足で 大地を蹴ってコチラ側の世界 踏み出してこいよ
身を委ねて Music Flood


"m-FLOOD"である。

いま聴くと「ダンスどんなだったっけ?」となる※と同時に、そのヒリヒリとしつつも衝動的な曲の世界観に圧倒される。
※サビでツアー用のダンスが作られ、フラッディが見本を踊ってくれる動画が事前に配信されていた

そう、僕らを未来に連れてってくれる波こそ「m-FLOOD」、音楽の洪水がもたらすものではないか。



要求通りお前が望んでいる モノを全部 用意しているんだ
唸る Beat Hysteric な Guitar それに Rubber sole 聞かせてやるぜShout


それは僕らがライヴに足を運ぶ理由、そのもの。そこにある全部が、僕らの日常を開放してくれる。

10だけ数える NoかYes 決めるんだ
心の扉は自分でしか開けられはしないから


心の扉、それはきっと"LiAR"でも歌われる誰もが心に持っているダンジョン、いくつもの部屋に繋がる扉。

その鍵を持っているのは、他ならない自分自身だ。








未来へ連れていってくれる波




扉を開け放った時、感情は溢れ返り、強い慟哭となって僕らを襲う。その気持ちを端的に表したあの曲を引用しておこう。



声にならなくて 失速する僕を
切り裂く興奮で 呼び戻す君よ
今ここに居る 全部がここにある
細胞を震わせ ただこの瞬間を焼きつけて行け
~"LIVE ON LIVE"


"m-FLOOD"を聴いてから、そんな事を漠然と考えていた。

しかし、そこでもうひとつ気づいたことがあった。


「僕らは、本当に素敵なファンに愛されている」


それは、岡野昭仁の言葉。

しまなみロマンスポルノの一連の顛末。苦しい事態ばかりが襲った、ライヴという場所。

苦渋となった中止の決断、それがあってもファンたちはそれを受け止めた。中止のかわりに観光をしよう、払い戻しのチケット代も寄付して欲しい、そんな声を受け岡野昭仁は先の言葉を述べた。

そして「UNFADED」ツアーでも20年続けてこれた理由について「君たちがポルノを求めてくれるから」と語った。

ファンからすれば、与えられてばかりなのに、2人はどこまでも謙虚で真摯なまま。

そうした時に、ポルノグラフィティを今ここに連れてきた波は、僕らが起こしたのではないのかと思えた。

なぜなら、つま恋の空の下「僕らを未来へ連れていってくれる波もある」と語った新藤晴一の言葉のあと、波を起こしたのは他ならぬ、僕ら観客たちだったからだ。

あの時に起こしたウェーブ、それはポルノグラフィティを未来へ運んだのかもしれない。

そんな幸せの波はROCK IN JAPAN 2019で6万人の観客を魅了し、今度はまた僕らが、音楽の洪水を受け止める番だ。


10 9 8 7 6 答えろ 3 2 1 (Yes!)
次はその足で 大地を蹴ってコチラ側の世界踏み出してこいよ
身を委ねて Music Flood


「20th Anniversary Special LIVE NIPPONロマンスポルノ' 19〜神vs神〜」

指折り数えろ。

その日まで。

あと10日。



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