2021年7月9日金曜日

Netflix バイオハザード インフィニットダークネス ネタバレ感想






せっかく配信になったので、感想を残しておく。

先に書いてしまうと、所感としては「いつものバイオだな」ということだ。

映像は素晴らしいし、ファンならニヤッとするような小ネタもあって悪くない内容だけど、物足りなさも感じてしまう。

その辺りを中心に書いていこう。






バイオハザード インフィニットダークネス





最初に良かった点と気になった点を整理しよう。


【良かった点】
・映像が綺麗
・映画的な絵作り
・アクションシーンが充実
・ネズミゾンビなど新しいB.O.W.が見られた
・レオンがひたすらカッコイイ
・散りばめられた小ネタ


【気になった点】
・ストーリーに捻りがない
・ドラマシリーズなのに短い
・新キャラたちの扱いが雑
・クレア、必要だった?


こんな感じだ。

時系列でいくとアニメ映画1作目となる「バイオハザード ディジェネレーション」の1年後の2006年の舞台設定だ。





なのでレオンとクレアの再会はそこまで久しぶりというわけではない。2006年は史実でいくと「バイオハザード5」の「LOST IN NIGHTMARES」で描かれたクリスとジルがスペンサー邸に突入した年だ。

ちなみに「バイオハザード4」は2004年の設定だ。同じ思いの人も多かったと思うがサプライズでアシュリーが登場すると思っていたので、写真だけで終わってしまったのは嬉しいサービスながらも残念だ(アシュリーの性格からいって、ホワイトハウスにレオンが来ているのを知ったら来ないはずがない)。

良かった点については、そこまで補足はいらないだろう。
身もふたもないことを言ってしまうと、CGアニメのシリーズは製作陣が「とにかくレオンのカッコイイ姿を見せる」という1点に向かっているように感じるので、その点を踏まえば「インフィニットダークネス」は魅力的な作品といえるのではないだろうか。




映像についても、監督の羽住英一郎がこだわったカメラアングルなどによって、映像に説得力を与えている。
特にペナムスタンの戦場シーンは迫力があって良かったと思う。

4話でレオンの口癖の「泣けるぜ」が(無理矢理感あるけど)出てきたり、やっぱりヘリが墜落したり、レオンとクレアのやり取りは2人の関係性が出ていてよかったと思うが、女性に会うたび気軽に食事に誘おうとするレオンはエイダに殴られればいいと思う。

何よりファンたちにとって最大のご褒美(見どころ)はレオンの「配属初日に大遅刻」※という設定が残されていたことだろう。「バイオハザード RE:2」ではその設定がなくなっていたので、そこだけはかなり不満だった。あの設定はレオンの性格うまく出てると思うんだけどな。

※ラクーンの洋館事件で興味を持ち、ラクーン警察署に志願したレオンだが、配属前日に田舎の警察にいくことで当時の恋人と大喧嘩の末に別れてしまう。ヤケ酒をして爆睡、起きたら配属当日の昼。普通はとても慌てるはずなのに、新人警官レオンは「ま、こんだけ遅れたら今さら急いでもしゃーないやろ」と夕方になってようやく警察署へ向かう(結果的にそれが幸いして生き残る)

総じて、気軽に見れる作品としては十分楽しめる内容になっていると思うし、「バイオハザード界のイーサン・ハント」ことレオンファンなら見て損はないのではないだろうか。

けど、いくつか気になった点がある。



気になった点:ストーリー



まずストーリーだ。

正直なところレオンとクレアが再会、そこでバイオテロ、解決、黒幕はトライセルって、CG映画1作目の「バイオハザード ディジェネレーション」すぎるし、設定も1年前だから、凄く既視感がある。

よく言えば安定のということかもしれないが、せっかくゲームシリーズが「バイオハザード7」と「バイオハザード ヴィレッジ」で新しいことに挑戦するという意欲を見せた後では、映像作品は水戸黄門かなというくらい「いつものバイオ」という印象にとどまってしまった。

今回特に残念だったのがクレアの扱いだろう。



「バイオハザード ディジェネレーション」ではレオンたちと行動を共にして共闘という印象がまだあったが、今回クレアの活躍はほとんどない。ていうか誘拐されただけじゃねえか。終盤で辛うじてレオンとラスボスに立ち向かう場面はあるが、すぐに気絶してしまう。

ストーリーとしてラスボス(タイラントに変異したジェイソン)に2人でRPGぶち込むくらいのものが見たかった。というかジェイソン英雄のくせに弱い、弱すぎる。溶けてる場合じゃない、ネメシスさんを見習え。

ペナムスタンのバイオテロをレオンに伝えるという役目はジェイソンが担っているし、共闘はシェンメイの方が印象強い。正直にいって、クレアがストーリー上にいる必然性ではなく、「クレアも出したかったから」という製作陣の都合で存在しているという印象しか受けないのだ。





「バイオハザード」がストーリーよりもキャラクター重視の作品ということは重々承知だが、ならもっとクレアを活躍させるべきではなかっただろうか。








気になった点:新キャラ





なぜそうなったかというと、上記も書いた新キャラのジェイソンとシェンメイがいたからだ。






このキャラクター達を立たせるために活躍や人物像を描くのに尺を費やしたことで、結果的にはどっちつかずな印象になってしまった。

ジェイソンの「復讐」の目的はわかるけど、自分の姿を見せることで「恐怖」を見せつけることでウィルソンの悪行を知らしめるという主張はなんか漠然としてるし、シェンメイに至っては「嘘だろ?」と思うほど呆気なく退場してしまう。あの後、生き返って真のラスボスになると思ったのに。

これは上で書いた「ドラマシリーズなのに短い」に通じるんだけど、本編約25分×4話というのは、ドラマシリーズというには短すぎる。全部足しても映画1本分の尺だ。

映画とドラマは何が違うのかというと、ドラマでは何話もかけてストーリーやキャラクターを深めていくことができることが大きい。だからこそ群像劇であってもしっかりと各キャラクターが描かれ、視聴者は様々なキャラクターとともに一緒の時間を過ごすという感覚になることができる。

「バイオハザード」においては、シリーズものとしてゲームだけでなく様々なコンテンツでキャラクターたちを見守ってきた。これも一種のドラマの効果と同じ現象だ。だから、レオンやクレアについては、ドラマであってもキャラクターを深める必要はない。

新キャラたちをドラマの主要人物としてもっと描きたかったのであれば、もっと話数をかけてでも描くべきだし、これほど割り切った結末ならドラマじゃなくて映画で良かっただろう。

それにせっかく毎回引きで終わってもネットフリックスの一挙全話配信という方式で一気見できるから、すぐに次が見れてしまって、むしろこの時間で細かく分けるなら映画として一気に見せてくれと思ってしまった。その方が緊張感を保てたはずだ。

初めてのドラマシリーズということでちょっと楽しみにしていたけれど、完全に映画的な内容になってしまっていたのが残念だ。ある意味リベレーションズシリーズの方がドラマっぽいし、もろにドラマを意識した演出をしていたと思う。





気になった点:ウイルス




バイオテロの内容も、どうしてもどこか腑に落ちない。

黒幕のウィルソンが製薬会社のトライセルと関わっていて、目的はウイルスを使った不死の兵士の創造(どっかで聞いたような話だな…)ということが明かされる。

ウイルスについては、ホワイトハウス執務室の会話からTウイルスではないと思っていたんだけど、あらすじにもあるように感染してラスボスになるジェイソンは「タイラント」として扱われているからTウイルスなのだろう。

ペナムスタンでウイルス兵器の実験がされた(どっかで聞いたような話だな…)ことと、ホワイトハウスでのゾンビ事件が繋がるって展開だけど、ジェイソンやシェンメイの弟のジュンシーのことを考えると6年は機会を待ちすぎではないか。ずっと抑制剤を打ってたのか?

抑制剤はウィルソンが作ったと言ってるが、Tウイルスが基になっているウイルスだとすると、ジェイソンたちが打っていた「PG67 A/W」(「バイオハザード5」でウェスカーを弱体化させたあれ)なのだろうか。



PG67 A/Wに近しいものが2000年頃からあったというのはイマイチしっくりこない。

ゲームであればウイルスの情報は大体記録が残っていて読めば判るようになっているけど、映像作品だとそれができないので、ウイルスの特性とかが曖昧だ。

上海を絡めた意味も不明で、3ヵ国に渡るストーリーのわりには、あまりスケールが感じられない。

というかわかなかったのが3話で「ジェイソンはどこにいる?」とレオン が問いかけて、4話のアバンタイトルでいきなり地下施設へ向かっていて「まさか下にあるとはな」ってセリフ来るんだけど、どこ……?これ?結構本気でわからなくて、1話飛ばしたのかと思った。


ということで、感想を書いてきた。色々と良い要素があっただけに、色々な部分が惜しいという印象だ。
定番すぎるストーリー展開だけに、2021年に改めてやった作品としては物足りなさを感じてしまう。

シーズン2があるかわからないけど、もしやるとしたら個人的には後に大統領となるアダム・ベンフォードとレオンの関係を描いた作品があればいいなと思う。そうすれば「バイオハザード6」のレオン編がより深みを増すはずだ。




あとアシュリーかエイダお願いします。



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