2017年11月25日土曜日

【映画】「gifted/ギフテッド」ネタバレ感想







映画「gifted/ギフテッド」を観た。

「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ最新作である。
僕は後半おんおんと泣いてしまいまして、そんな映画の感想を書きたいと思う。



あらすじ







めいで7歳のメアリー(マッケンナ・グレイス)と片目の猫フレッドと共に、フロリダの小さな町で生活している独り身のフランク(クリス・エヴァンス)。平穏に過ごしていた彼らだったが、メアリーにある天才的な能力があることが判明する。フランクは彼女に普通の子供と同じように育ってほしいと願っていたが、彼の母エブリン(リンゼイ・ダンカン)は二人を引き離してメアリーに英才教育を受けさせようとする。



マッケンナ・ グレイスという才能




決して派手な映画ではない。
身も蓋もないことを言ってしまえば、予告通りのストーリーだし、そこから想像されるストーリーをほぼ外すことなく展開し着地する。

だが、僕はこの映画が愛しくて仕方がないのである。
もっと率直にいえば、こういう映画が好きで仕方ないのだ。

それにはいくつかの要素があるが、まず何においても、今作の魅力において最も重要な要素が数学の才能を持つ7歳の少女メアリーである。これを演じたマッケンナ・ グレイスが何よりもキュートだ。





数学の稀有な才能、ちょっとませた感じは、やりようによってはとても可愛げのない姿になってしまうが、マッケンナ・グレイスはそれらのシーンどこを切り取っても全て愛くるしい姿に見せてしまっているのだ。

しかも笑う時に前歯が全部抜けているのももうあざといくらい可愛いんだもう。

教室で嫌々「おはようございます。スティーブンソン先生」とボニーに挨拶するセリフ、これが少し後にある場所で繰り返される。これがもう可笑しくて可笑しくて。しかもそれをいう時のイタズラな表情が最高である。



よくこういう子役に対してのコメントでテンプレで「数多くの子役をオーディションしたが、この子が入ってきたときに『この子だ!』と思った」というシーンがインタビューとかであるじゃないですか。

マーク・ウェブのインタビューでも似たようなことを言っていたけど、映画を観た自分でも、マッケンナ・グレイス以外のメアリーは想像できない、というくらいベストであった。

「(500)日のサマー」(後に「キックアス」)を見てクロエ・グレース・モレッツが出てきたときも凄い子が出てきたなと思ったけど、こういう子がポンと出てくる映画業界はやはり凄いと思わざるを得ない。








言葉



クリス・エヴァンス演じるフランクとのコンビネーションも抜群で、クリス・エヴァンスは役者としてこれで新たな魅力を発揮させることができたのではないだろうか。

メアリーを叱る際のフランクの言葉はとても建設的で、2人の会話シーンがとても愉快だ。
一方で時にフランクは感情的な言葉も放つが、そこにもちゃんと後に冷静にフォローを入れたり、フランクの人柄が随所に表れている。

フランクがメアリーに教えた「年長者を正すな。小賢しいと思われる」という教えなど痛快である。

かといってフランクは聖人という訳でもなく、金曜の夜には毎週バーにいて、メアリーに「土曜の朝は家に入っちゃいけない」という"約束"をしている辺りとか、完全に独身のダメ男である。

かつて哲学の准教授であったフランクと数学的にとても論理的なメアリー。
その言葉と言葉のコミュニケーションが前半では目立つ。

特にあまりに美しい夕焼けのシルエットの中2人でじゃれ合いながら会話するシーンは、本作で一番好きなハイライトの1つだ。





しかし後半に差し掛かるにあたって、その言葉と言葉のコミュニケーションの壁を破る。


映画で泣いた場面が3つある。メアリーを里親に預けるシーンと、クライマックスのメアリーを迎えにきたフランクとのシーン。

そしてもう1つが実の父親のことを知りショックを受けたメアリーを立ち直らせるために、フランクが病院に連れていくシーンである。

そこの待合室で出産の報告を親族たちにする姿を見せるフランク。

メアリー「私の時は誰が報せたの?」
フランク「俺だ」

そのセリフからメアリー「もう少し見てく!」というセリフと共にまた別の家族のシーン、そこにいつしか混じって一緒に喜ぶメアリー。このシーン、もう泣けて泣けて。いま思い出してもうるっときてしまうほど好きなシーン。

この辺りは正直なところ個人的な事情で、前年に自分に姪っ子ができたということが大きいと思う。自分は出産日は仕事で立ち会えなくて、だからこそ余計に思い入れが深いのだろう。

このシーンがあったことでメアリーの「フランクは良い人だと思う、最初から私を愛してくれたから」ってセリフの説得力が増すんですよ。
一方で祖母(フランクの母)であるイヴリンは、メアリーが7歳になり、数学の才能を発揮しだしたことによってようやくメアリーを意識する。

そこに直接的な言葉はないがフランクがダイアンから受け継いだ言葉。

フランク「論文は死後発表して欲しいと」
イヴリン「死んで6年になるわ」
フランク「……自分のじゃない」

この一言の言葉の重みである。
ここに全てが詰まっていて、このセリフで胸にまたずしんと重いものが下りた。


家族の在り方



ちょっと長くなってきたのでそらそろ終わらせますか、最後に。

マーク・ウェブのインタビューで語られたこと。

「僕がこの映画で伝えたかったことのひとつは、家族は選べるということ。血の繋がった家族に失望させられることも多いけど、そういうときは自分で家族を作ればいいんだよ。例えばフランクとメアリーは叔父と姪で、母親代わりは近所の黒人女性。典型的な家族じゃなくても、そこに愛があれば家族だ。多様化する社会では新しい家族の形がどんどん増えていくはず。それを寛容に受け入れなくてはね」

これと似たコメントを見たなと思って、それが星野源が"Family Song"に当てたコメントである。

「例えば、友達や仕事仲間も”ファミリー”って言ったりするじゃないですか。広い意味で、これからの時代に向けての”ファミリー”なんです。あと例えば、両親が同性同士の家族だったりっていうのも、これからどんどん増えてくると思うんですよね。そういう家族も含めた、懐の大きい曲を作りたいな思って作りました」


2017年という年代に、こうして全く違う角度から同じことに焦点が当てられている。

「gifted/ギフテッド」はとても普遍的なストーリーであるものの、そのメッセージには今の時代の家族の在り方というものがしっかり込められているのだ。

「ベイビー・ドライバー」を見れてないので、言い切りたくはない気持ちもあるけど、現時点で間違いなく今年ベストの作品です。というかオールタイムベストに入れるくらい、大好き。

こんな映画に出会えるから、映画好きはやめられない。


【映画】「LION」あらすじ&ネタバレ感想 「感動もんだろ?」と思ってたら返り討ちにあった
【映画】「ラ・ラ・ランド」あらすじ&ネタバレ感想













このエントリーをはてなブックマークに追加
 

2017年11月22日水曜日

嘘喰いのエアポーカー編がなぜギャンブルマンガ最高峰か、それは主人公が死ぬからだ





ヤングジャンプ連載中のマンガ『嘘喰い』。

現在は最終章(たぶん)の屋形越えであるハンカチ落としをやっているが、その前段となったエアポーカーのことを語りたい。

僕はエアポーカーはギャンブルマンガ史上最高傑作であると思っていて、多くの人に届いて欲しいと思っている。

それくらい好きなストーリーなので、後半はネタバレ全開で語らせて欲しい。

まずはエアポーカーの簡単な説明とネタバレなしのオススメする理由です。



エアポーカーとは



(引用:集英社『嘘喰い』より)


水槽の中で行うゲーム。ベットするのは酸素の入ったビオス(プロトポロス世界における通貨)。

数字の掛かれた手札を互いに5枚ずつ所持し、そこからそれぞれ1枚を選択し卓上に提出。

その数字から勝敗を読み合いながらビオス(酸素)をベットする。

単純に数字の大小での勝負ではなく"あるルール"によって互いの数字が提出された"後で"勝敗が決定する。

何が勝敗を決めているのかというロジックの組み上げ、水中で数字の札と酸素を掛け合うだけでどのような心理戦を仕掛けるかというところが注目ポイントだ。

水中で言葉の駆け引きができない縛りの中でこれほど緊張感ある心理戦を見せられるというだけでも、このエア・ポーカーをひたすら推したい点だ。


(引用:集英社『嘘喰い』より)


ネタバレなしはここまで。


ここから先はネタバレ全開で語ります。



2017年11月19日日曜日

新藤晴一のカフェイン11レポ 2017.11.13放送分 長いツアーを乗り切るために必要なこと






※赤字が自分の感想です


ポルノグラフィティ新藤晴一のカフェイン11レポ 2017.11.13放送分



オープニングトーク



ツアー初日まであと4日。

これ書いてる現在ではスタートしてます。ネタバレ怖い。


ラジオ収録時ではリハの通しも完了。
いつもよりリハ期間が短いが、その分集中してリハが出来て細部まで順調に進められた。


1曲目"Montage"



自動運転技術



最近7〜8年ぶりにファミリーカーを買い替えたそう。
求めるテーマは安全性。今は新車には大抵付いているが、初めて体験。

フロントガラスにメーターとかナビが映る。
カメラが標識を読み取ってそこに表示されたりする。

高速に乗ると、クルーズコントロール(速度指定)とプラスで車間距離の指定も出来る。
20数年運転してきて、初めてハンドルに手を添えブレーキに足を置くくらいであとは自動的に運転してくれる。昭和生まれには結構ドキドキ。

いずれそれをAIが運転することになるのかね。

車を運転する時は緊張するが、それは多少解消される。
ラジオを切り替えたり、サングラスを出したりといったちょっとした動作を支援してくれる。

渋滞にハマった場合にも渋滞用の機能があり、止まるとエンジンが切れて前の車が動くとまた動き出すというシステム。
そうなるともはや座っているだけで渋滞を進むことができる。

いずれギターを練習しながら運転できるかもしれない。

というより渋滞を失くすシステムできませんかね。

いずれは事故というものが無くなる世界になるのでは。


2曲目"スパイス"



長いツアーを乗り切るために必要なこと




11月16日にボージョレヌーボが解禁。
まだ晴一さんもワインブームが続いている。

ツアー中の打ち上げは居酒屋が多いので、美味しいワインを飲んだりということはあまりない。


コーナー:月刊音話

メール:長いツアーを乗り切るために必要なことはなんですか。

晴一:まずは体力は必要だよね。あと酒を飲み過ぎないこと。
あと大切なのはセットリストに伸びしろを残しておくこと。初日にできたことを40回繰り返すだけではつまらなくなってしまう。もちろんツアーの核になる部分は残すが、ツアー中に広げられる余地になるものを残す。

昔のでいうと「この曲のここのXタイム(小節数を決めない)」
ツアー最終日を映像化することが多いので、その作業をする際に「ここのXタイムどうやったらこんな展開になるんだ」と思えるくらい複雑になっていったのが分かった。

「The dice are cast」はその遊び部分を増やしたって前に言ってたね。


3曲目"君の愛読書がケルアックだった件"










長いツアーを乗り切るために必要なこと




ソフトバンクホークスが日本一に。
横浜は勢いで進んだ感じ。それは中型の船に凄いエンジンを乗っけて行った感じ。それに比べてソフトバンクは大型のクルーザーのようだった。




なんだろう。これが頭に思い浮かんで仕方ない。


コーナー:晴一の辞書

メール:晴一さんにとって「インスタ映え」とはなんですか。友達はインスタ映えを意識して食べる前とかに写真をすぐ撮り、ちょっと萎えます。

晴一:こう書いてみます、インスタ映えとは「自分の楽しさを他人に確認するためのもの」である。
インスタ映えって美味しそうなものとかデコレーションされたものを写真でアップして「今これを食べている私って幸せよね」と他人に確認するためのもの。そこでもらった「いいね」で「やっぱり幸せだね」っていうのを確認するもの。

本来食べ物と自分の舌の間には何も介入しないものなのよ。その間に他人の意見を入れて評価しようとしている。

これスゲー腑に落ちた。


メール:ツアー初日に行きます。25回以上ライヴに言っているがツアー初日は初めてで楽しみです。

晴一:こう書いてみます、(ツアー)初日とは「答え合わせ」である。
なんといえばいいか。アルバム創る時から「こう聴いてもらえたらいいな」と思って創ったり、ツアーを組み立てている。そこにお客さんはいないので、それをツアーの初日で確認する。

経験を基に想像して創り上げていくが、初日で100点が出る事はない。
曲間の拍手を受けて長さや、その前のアレンジを変えたりする。

初日の平均点は45点くらい。それは演奏ではなく、答え合わせの点数。

演奏や伝えようとしたことを出来た日を専門用語でそれを「初日が出た」という。
3〜4公演目に「初日が出た」といえるとまぁまぁいい感じ。だからといって、初日が不完全なものではない。

メールくれた子みたいに長年ファンをやってくれていると「こういう解答用紙を出してきたのね」とかいう見方もあるだろうし、「ここちょっと考えすぎたわね」という見方もあるかもしれない。


今回の晴一の辞書とても響く内容。


4曲目"キング&クイーン"




コーナー:もっと面白い話ないん?

メール:ツアーのチャレンジグッズですが"LiAR"に因んでウソ発見器をグッズにするのはどうでしょうか。そもそもグッズで作れるかわかりませんが。

晴一:確かにウソ発見器はグッズではないよね。部屋に行って「あの無線みたいなのなに?」みたいなの言われて「あーあれウソ発見器。ポルノのグッズなの」みたいなのはないよね。

(スタッフが値段を調べて)千何百円?くらい。あ、パーティーグッズでか。いやもっとマジなやつ。旧ソビエトで使ってたようなメーターが振り切れそうなやつ。

そうか。この時点でまだぬか漬けセットは発表されてなかったのか。ツアー初日まさかの売り切れだったようです。


5曲目"LiAR"


フリートークの自動運転技術、上手く伝わったかな。要は今まで自分が当たり前にやってきたことが自動化されたことへの感動。
たとえを色々考えたんだけど、たとえば「チャックを開けなくてもおしっこできる」とか「焼肉を噛まずに食べられるとか」そういう当たり前にやってきたことがそうでなくなった感動。







では今週も閉店です。










このエントリーをはてなブックマークに追加
 

2017年11月16日木曜日

【全曲感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」





さて、ポルノグラフィティの11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」の全曲感想を書こうと思います。

「まだアルバムのこと書くのか」と声が聴こえてきそうですが、アルバムとしてよりも曲として見た方が分かりやすいアルバムなので、全曲感想を最初にやれば良かったと後から気づいただけです。

では、収録曲を見ていこう。


ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」全曲感想



1. THE DAY







ポルノグラフィティの新たな一歩としてとても重要な曲である。
2016年の横浜スタジアムライヴで最も重要な曲となり、アルバムでも新しいポルノグラフィティを示唆させる曲となっている。

「ろくでもない世界」と対峙し、明日を掴みきれん取ろうとする姿に、THE DAYをそれとなく過ごしてしまっている僕らは心を揺さぶられる。
そしてその姿はどこかポルノグラフィティの姿にも重なる。

疾走感あふれる楽曲にのる言葉、譜割りといい、ヴォーカルにとってはかなりの難易度な楽曲。この楽曲を歌い上げた岡野昭仁のヴォーカリストとしての力に驚くばかりである。



2. Working men blues



アルバムからの先行ナンバー。
歌と同じくらいギターが歌っている。そこにブルースが宿っていて、曲を更に引き立てている。

"働く"とはなにか。それは性別も年齢も関係ない。仕事だけが働く姿ではない。すべてのものへの賛辞に響いた。

そして、THE DAYを迎えた僕らは毎日を生きるため、今日も働き続けているのだ。

"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた


3. 君の愛読書がケルアックだった件



"メジャー"を彷彿とさせる曲調で"爽やかさ"を突き詰めた曲。
かといって突き抜け過ぎないくらいのバランスが、結局ケルアックを本棚に並べるだけの主人公の心情を表しているようだ。

そもそも泥臭さが魅力の2曲の後にくるので、そこで爽やかさが倍増しているようにも感じる。

僕、この曲の先にあるのが"空が青すぎて"な気がしてならないのですが。

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件


4. I believe



王道をいくバラード。

バラード好きの僕はイントロからノックアウトされてしまったが、4曲目という立ち位置だと若干重くて合っていないように感じた(この後の"LiAR"と逆のが良いのではと個人的には思う)

こういったメッセージ性の強い曲はヴォーカリストの書く歌詞ならでは。
Bメロの「仄かな灯りよ どこかへ誘え」のセンテンスを短く区切りながら下ってくメロディって、ヴォーカリストとして気持ちいいだろうなと想像してしまう。

いやはや、こういう曲に本当に弱い。



5. LiAR







"オー!リバル"の系譜から生まれたラテンナンバー。いや、どちらかというと"ジョバイロ"だろうか。

こうして聴くとあらためて強い曲だなと思わされる。ただ単にまたラテンナンバーをやったというのではなく、"オー!リバル"とはまた違うアプローチのアレンジで、全く違う印象を与える。

この曲についてはシングルの感想やら歌詞解釈やらで書き倒したのでそちらを参照いただきたい。

【感想 】ポルノグラフィティ「LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」
LiAR歌詞解釈~揺れてるばかりの記憶のあなた



6. Fade away



待ってました!と思わず膝を打ってしまう曲だ。
岡野昭仁という人間はもはや悟りの境地にでも行ってしまったものと思っていた。そこに、これである。

こんな岡野昭仁を待っていた!というファンは多いのではないだろうか。お待たせしました。ダーク岡野復活である。

どちらかというとメッセージ性が強い曲が多かったが、人間の抱える暗い部分を吐露させることができるのもヴォーカリストの特権なのだ。

核心を飲み込んだら 欺瞞と虚言の臓器で
消化して 姿を変えて街へ放つ

キレッキレである。最高だ。











7. クリスマスのHide&Seek



正直に言うと、最初にアルバムを聴いたなかでは一番印象に残らない曲だった。
しかし何周かアルバムを聴いたあとで、ふと口ずさんでいたのがこの曲であった。

二度目のクリスマスソング(厳密にいうと3曲目だが)だからと、やはり甘い曲にはしないところがポルノグラフィティである。
ひねくれてる。

ただ、どうしてもこういう特定イベントの曲はアルバムとして聴いていると引っ掛かってしまう部分はある。たとえば真夏に聴いたりしてしまうと微妙な気分に。
なので、この曲はカップリングでこそ輝いたのではないかと、畏れ多くも申したい。そもそも"Fade away"と"MICROWAVE"の間というのもちょっと食い合わせが良くない。



8. MICROWAVE



初聴でここまでぶっ飛ばされた曲は久しぶりだ。
「ポルノグラフィティとしてここまで出来るのか」ともう唸るしかないではないか。

トオミヨウのアレンジが絶妙である。ここまでリズムで攻めきる曲は珍しい。ある意味"I believe"と対極にあるともいえる。

まるで冷蔵庫 僕の頭 全部冷えきってて 干からびたものばかり
凍えたピザ 乾いたハム 涙 古い記憶 純情のようなもの

そのトラックにこの歌詞を乗せる新藤晴一よ。キレッキレである。最高だ。
この後の"夜間飛行"を聴くまでは「このアルバムで新藤晴一の最高傑作や」と本気で思った。

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"


9. 夜間飛行



聴き終わって深い溜め息をついて思わず「ありかとうございます」と呟いたことはありますか。僕はこれを聴いて呟きました。
何度も書きますけど、最後のサビのブレイクで入るじゃないですか、あの瞬間感動しすぎて心臓止まるかと思った。

好きな要素を書き出すとキリがない、というよりもどこを切り取っても好きな要素しかない。

間違いなく今作のマイベストチューン。

夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」



10. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ







ちょくちょく書いてますが、このアルバムは曲順がおかしいのではと僕は思うんですよ。なんか、決まった曲順なのにランダム再生をしているような気分になる。

だって"夜間飛行"で深い溜め息ついて感動してるところに「Hey Brother 気付いてるのかい?」ですもん。

鯛のポワレのあとにダブルチーズバーガーが出てくるようなもんじゃないですか。せめて"170828-29"が後に来た方が「FLY」繋がりで良いんじゃないかと言いたいものです。

すみません曲の話ですね。
いや、でもこれは"THE DAY"で自身にかなり高いハードルを強いて乗り越えた岡野昭仁というヴォーカリストが更なる境地に挑んで成功させた、アスリートな、というかひたすらドMな曲である。カッコイイ。


11. 170828-29



通称"ミサイル曲"。
先日書いたけど音楽には時代や世相を反映させるという役割がある。今や全国民総メディア化みたいな状態なので、音楽がその役割を担う部分は薄くなった。

しかし、音楽シーンでそれなりのキャリアとなったポルノグラフィティが今このタイミングでこういう曲を創ることの意義は間違いなく大きい。
そしてテクノロジー(兵器)と人間の在り方というテーマは"アポロ"から変わらない新藤晴一のシニカルさが爆発している。

ピンと伸ばした指でピースサインを作ろう
それが俺らの持つ武器だろ ピースピース

という歌詞、平和を願うようでちょっと意地悪なアイロニー(皮肉)が込められているようで、僕はちょっとゾクっとした感覚になる。


12. Montage



両A面シングルの宿命としてシングルとしてはあまり目立たないポジションになってしまったが、アルバムではしっかりその存在感を示している。

ここ最近の岡野昭仁の中で一番好きな歌詞である。
シングルの感想にも似たことは書いたが"君は100%"の「『明日』っていつも真新しくて真っ白なキャンバス」という部分に感じた違和感の完璧なアンサーがこの曲にあると思う。

それは過去~現在で破り捨てたり上塗りされてしまったものが、明日にはなくなることはない、それを繋ぎ合わせていくことで未来に繋がるというメッセージにある。


13. スパイス



カントリー調のリラックスした雰囲気の曲。立ち位置といい、どこか"曖昧なひとたち"を連想してしまう。要するにリア充ソングである。

おそらく新しいヴィンテージのテレキャスターだと思われるギターがカントリーと相性抜群。違ったら土下座します。

個人的に不思議だなと思うのがチョコミントって「めっちゃ好き!」か「歯みがき粉!」に好みが分かれると思っている。だから3段目を選ぶならチョコミントという感覚は、ありそうでないように感じる。
チョコミント好きな人って絶対真っ先に頼むじゃないですか。え?僕のことです。



14. キング&クイーン







"夜間飛行"はちょっと置いておいて、アルバムを初めて聴いたときに、最後にこの曲がきてとてつもなく感動した。
なぜなのか自分でも分からないのだが、シングルとは全く違う聴こえ方をして、泣いてしまいそうな感覚。

アルバムの全体感想でもちらっと触れたが、ストレートな曲より、どちらかといえばひねくれた曲の方が好きな人間なのだけど、大泉洋がストレートヘアになるくらいメーターを真っ直ぐ振り切ってくれると、快感である。そこには有無を云わさぬ説得力が宿る。

そして、岡野昭仁という人間の歌に込めた魂(懐かしい言葉でいうと魂ing)が、ここにきて一段と強くなった。

"THE DAY"や"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"の方がヴォーカルとしては大変なのだろうが、自分してはこの曲に最も強い進化を感じた。


↓アルバム全体の感想はこちら

【感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」2017.11.10













このエントリーをはてなブックマークに追加
 

2017年11月14日火曜日

「今の時代に新しい音楽を作ること」の意味とは 新藤晴一とハルカの言葉より






ここ最近ずっと「音楽」とはなんなのかと考えている。

それはある2アーティストの発言からである。そのテーマはタイトルに書いているので話を先に進めよう。

ポルノグラフィティ新藤晴一がアルバム「BUTTERFLY EFFECT」のタイトルに込めた思いを語る際に用いられた言葉がある。それが

「これだけ世に音楽が溢れているのに新たに曲を作ることの意味はなんだろう」

というものだ。

この言葉は音楽をやることの意味を問いかけるものである。

この発言から今の時代に音楽をすることとはという意義を今一度見つめ直していきたい。


「衝動」
「時代」


というテーマで書いてみたい。



衝動




新藤晴一のいうように、iTunesストアを覗けばあまりにも膨大な音楽が溢れかえっている。
全部聴くなら人生が何周も必要なほどだ。

そんな中でなぜ新しい音楽が必要なのだろうか。

ひとつにはそれが衝動であるからだ。

ハルカトミユキのハルカが先日の野音ライヴで「歌うこと、曲を作ることはそうしたいと思うだけで意味があるもの」という旨のことを言っていた。

これに近いものがあって、何かを表現したいという衝動は理屈では説明つかないものだ。

たとえば表現というには憚ってしまうが、僕がこうして文章を書いているのは、何かに心を動かされた時に、その気持ちを言葉として残しておきたいからである。

自分の話では一気にスケールダウンしてしまうので話を戻す。

時代だったり、世の中に何曲あるとか関係ない、ただ内に秘めたる想いを形にしたいと思うのはアーティストにとっては必然的に行わざるを得ない行動だ。

そうした衝動はとても強い力を持っていて、だからこそ僕らはそれに心を揺さぶられるのだ。

それは音楽だけではなくて、芸術なり映画なりアートと呼ばれるもの全てに共通する。

この先書いていくことも同様なのだが、キリがなくなってしまうので、あくまでも音楽に焦点を絞って続きを書いていく。









時代




音楽は時代を象徴するものだ。

昔のヒットソングを聴くと「あぁこんな時代だったな」と思うことがあるだろう。

そんなヒットソングの中には流行ったからこそ、その時代の音楽になったものもあり、時代を歌ったからこそ流行ったものもある。いわばムーヴメントというものだろう





そもそもロックだったりパンクなんて音楽は、時代や社会に対しての若者たちのアティチュードを示すための手段であった。

あまり細かく書いてしまうと書くのが面倒くさい読むのも大変だと思うので省略するが、音楽を歴史と紐付けて読み取っていくのも楽しみのひとつだろう。

分かりやすいものでいえば、プログレやグラムロックなど、ロックが肥大化し派手になりつつあった反動として、70年代後半にパンクが登場したとなどそういう類いのものである。
もの凄くやっつけ感のある書き方だが、勘弁していただきたい。

怒りであったり、若さゆえの衝動を音に変えて打ち鳴らすことが、反旗を翻すことであり、声明であった。


他には、たとえばポルノグラフィティには"2012Spark"という曲がある。





この曲は東日本の震災後、社会も政治もめちゃくちゃとなり、日本が破壊されてしまいそうになった時期の曲である。

ここでタイトルにあえて2012を入れることで、その時代を切り取ることを選んだのだ。

普遍的なポップソングを作るのであれば、本来であればこうした特定の時代を示す言葉は避ける傾向にある。どれだけ時代が過ぎても聴くことができるようにだ。

あえて西暦を入れることで、2012年という年を浮き彫りにしている。LEDなり、アプリなり、30年後にはもしかしたらロストテクノロジーとなっているかもしれない。

普遍的な音楽を残すことと同時に、その時代を切り取ることが音楽の役目のひとつなのだ。

たまにはそんなことを考えて音楽を聴くのはいかがでしょうか。


はい、面倒ですね。



【感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」2017.11.10

"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件
MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"
夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」
"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた












このエントリーをはてなブックマークに追加