ハナタレポンコツギタリストのブログ。 当初はギタリストの機材を調べるつもりで始めたのに、今ではすっかり歌詞解釈がメインとなってます。ポルノグラフィティ、ハルカトミユキ中心だけど、基本何でもあり。
2018年4月7日土曜日
2018年4月6日金曜日
「Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25」Blu-rayレビュー
Mr.Childrenのライヴ映像作品「DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25」がリリースされた。
先日このライヴで使用していた桜井和寿のギターについての記事を涎を垂らしながら書いたが、今回はあらためて映像作品として振り返ろう。
(「ヒカリノアトリエ」についてもいずれ書く、かも)
各楽曲についてはライヴレポで触れているので、今回映像作品を見返して感じたこと、日産スタジアム公演と違っていたこと等を中心に書いていきたい。
※シングルPVについてはまだ見きっていないので割愛させていただきます
なぜ1曲目が"CENTER OF UNIVERSE"だったのか
25周年。Mr.Childrenの活動とすると「あれ?まだ25周年だっけ? 」と最初に感じた。
なぜかというと同年にスピッツの30周年ツアーを縁あって見ていたからである。スピッツとミスチルはほぼ同年代という感覚だから、5年も開きがあるのだなと驚いた。
それはさておき、Mr.Children25周年である。
数々のヒストリー、 Mr.Childrenがその先に奏でた音楽は「Thanksgiving(感謝祭)」の名に相応しい華々しいステージとなった。
あらためてオープニングのシーケンスが秀逸である。今までのアートワークのコラージュ、バックバンドたちによる"Over"、"Dive"、"ヒカリノアトリエ"の演奏。25周年という決して短くない年月、Mr.Childrenの世界を広げる素晴らしいオープニングである。
そして1曲目に選ばれたのは"CENTER OF UNIVERSE"。
この始まりについて、お祭りムードのライヴとして意外な導入であると思っていた。人気はあるが、シングルではないし、"祝祭"の1曲目としては比較的大人しめな選曲だなと感じていたのだ。
しかし今回あらためて映像で見ると決してそんなことなくて、この選曲にはこんな意味があったのではないか、そんな考察をまず書きたい。
"CENTER OF UNIVERSE"において歌われる。
ここはそうCENTER OF UNIVERSE
そうだ。
今ここに、世界の全てがあるのだ。
どんな日常を過ごしていたとしても、ライヴの一時は、その全てを呑み込んで凌駕してしまう。音楽によって、日常を忘れさせてくれる、或いはまた一歩踏み出させてくれる。
だからこそ今この瞬間を音楽に身を委ねて楽しんで欲しい、というメッセージのようだ。
だからこそ「僕こそが中心です」というフレーズが全くエゴイスティックにならないのは、そんな大きな包容力を伴っているからだ。
たまたま今書いている別の記事でThe Beatlesの"Across The Universe"の歌詞について触れていた。
この曲においての「Universe」は世界のことでもあるし、同時に自分の内面世界までも内包している言葉ではないかと書いた。
「世界と自分」Mr.Childrenの音楽、桜井和寿という人間が常に歌っているテーマである。
自由競争こそ資本主義社会
いつだって金がものを言う
ブランド志向 学歴社会 離婚問題 芸能界
でも本当に価値ある物とは一体何だ?
国家 宗教 自由 それとも愛
一日中悩んだよ
でも結局それって理屈じゃない
理屈じゃないもの、それを表現することが音楽なのだ。
どんなくだらない話題が世の中を席巻しても、LIVEという空間はそれをエンターテイメントに変えてしまう魔法がある。
だからこそ"CENTER OF UNIVERSE"が1曲目というのは、これほど相応しいオープニングはないと思えたのだ。実はもうひとつ理由があるが、それは最後に。
前後してしまうが、ライヴ自体が凄まじいこともさることながら、それを切り取る映像美、それもまた素晴らしい。
会場の解放感や、抜けるような空、その雰囲気だけでも見応え十分となっている。特に映像の質感が良いので、ぜひBlu-ray盤をオススメしたい。
前半のポップネスな雰囲気と、後半のロック色強い展開の映像の違いなど、映像を追うだけでもMr.Childrenというバンドのあらゆる側面を楽しめるようになっていて、曲ごとにきちんと丁寧に作られていることが窺える。
そして映像作品の特徴のひとつは観客たちを映すショットだろう。
時折映る映像。25周年の日々の重さが観客たちの顔にも表れていて、それぞれの曲に、1人ひとり違う想いを乗せている姿、THE YELLOW MONKEYの映画「オトトキ」もそうだったが、最近本当にこういう映像に弱いのだ。
ステージメンバーも演奏しながらみんな本当に楽しそうだ。
僕はもう田原健一やナカケーが楽しそうな姿だけで泣けてしまうのだ。もしかしたら観客以上に自分たちが楽しんでいるのではというくらい表情豊かな姿が映っている。
特に"ヒカリノアトリエ"の前のMCにもあるように「Mr.Children、 ヒカリノアトリエで虹の絵を描く」のバンドメンバーたちの信頼の強さは今回もしっかり描かれている。
それにしても本当に、僕はたまたままだ全くデビューしたての頃からチャラン・ポ・ランタンを見てきたが、あの小春姐さんがこんなにMr.Childrenのステージで愛される存在になるなんて、世の中分からないものである。
夏
日産スタジアムでは演奏されなかった曲として最も印象的なのは"君がいた夏"だ。日産スタジアムではここは"CROSS ROAD"であった。
"CROSS ROAD"~"innocent world"~"Tomorrow never knows"という何百万枚売り上げんねんというリレーも凄かったが、この場であらためてデビュー曲が披露されたということもそれはそれで感慨深いものである。合間で当時のPVを挟む映像演出がまた良いアレンジであった。
「未完」ツアーの時の"CHILDREN'S WORLD"もそうだが、初期の曲を瑞々しさを放ちながらも貫禄ある演奏に持っていける力に、25年のキャリアを見せつけられているようだ。
このライヴが収録された9月9日、まさに夏の終わりのような日(最近は夏が長いが)に、この曲の持つ夏の終わり特有の寂しさが相まってエモーショナルな気持ちに拍車をかける。
夏が終わる、それは新しい季節の始まりでもあるのだ。
もう1曲、夏にまつわる大切な曲、"1999年、夏、沖縄"について。
沖縄という土地が持つ歴史、抱えている問題、それについて僕が何か言う権利はない。それぞれの主張、どちらが正しいかなんて僕が決めてはいけない。
それでも言えることは、過去2度訪れたことのある沖縄という場所、そこにいたその場所の気候のように暖かい人々とその土地の記憶である。
まさに歌詞にあるように自分も30歳を越え、この曲が今まで以上に、途方もないほど大きな存在となって自分に染み込んできた。同時に、リリース時と変わらず、この曲が"響いてしまう"こと、その重さを感じた。
ただひとつ、桜井さんに反論したい。僕は必死に働いた後のお酒よりも、最高のライヴの後のビールがこの世で一番美味しいお酒だということを。
(まぁ桜井和寿本人はライヴこそが仕事なんだけど)
もう1つ、夏の花といえば。
そう、あの曲。
このツアーで最も白眉だったもの、それは間違いなく"himawari"という曲の存在。
CD版で若干感じた物足りなさ(今はすっかり好きになったけど)を、ライヴでは全く違う、もはや別物ともいえる次元にまで昇華させた恐ろしい名曲。
熊本でも変わらず「この曲でみんなをやっつけにきました」と叫んだ桜井和寿。それは映像としても十二分に表れていて、今回もまた僕はやられてしまったのだった。
もちろん生で体感した"それ"の恐ろしさにも似た衝撃たるや、凄いものであったが。その片鱗をこの作品で確実に体感することができるだろう。
あ、夏の花といえば"HANABI"もそうか、なんて。
終わりなき旅
歴史の重みを感じるように、あまりに濃厚な3時間超えのライヴ。そんなライヴの最後は"終わりなき旅"。
バラエティ豊かなサポートメンバーとではなく、メンバー4人+SUNNYというシンプルな構成だ。
ライヴレポにも書いたが、そんなシンプルな構成なのに、このライヴで最も熱量が高い部類の演奏だ。言い切れないのは"himawari"が同レベルでの熱量を誇っているからである。
"足音 〜Be Strong"において、
疲れて歩けないんなら 立ち止まってしがみついていれば
地球は回っていって きっといい方向へ 僕らを運んでくれる
このフレーズって、今までそこまで意識してなかったのだけど。この度、あらためてこのフレーズが優しく心に刺さってきた。人生という"終わりなき旅"、それは歩み続けるだけではない。時にはその歩みを止めて時に身を委ねることも大切なのだ。
地球が回っているように、時間はどんな時であっても進んでいる。自分が進むことでも世界は変わる。同時に、動き続ける世界によっても自分は変わって行くことができる。
その1つの要素が音楽なのだ。
歩みを止めても、歩いていても、高い壁を乗り越えようとしている時も。そこに音楽がいつもあって、寄り添ってくれて、時には背中を押してくれた。
「感謝祭」の名のもとに、過去を振り替える沢山の曲たちを演奏してきたが、最後に感じるのは、そんな過去の先にある未来。
だからこそ、Mr.Childrenは過去のバンドには決してなっていないのだ。
胸に抱え込んだ迷いが プラスの力に変わるように
このフレーズに僕らはいつだって励まされてきた。今回それが更に力強さが増したような気がしていた。なぜかといえば、1曲目"CENTER OF UNIVERSE"の冒頭のフレーズは、
プラス思考が裏目に出ちゃったら 唄でも歌って気晴らし
なのである。この対の構造に遅まきながら気づいた瞬間、鳥肌とともに、更なる感動が心を吹き抜けた。
マイナスの心が少しでもプラスに変わるように、しかしそれが時には裏目に出てしまったなら、立ち止まったり歌を唄えばいい。立ち止まったとしても、世界は動き続けて、いつの間にかきっといい方向へ、僕らを導いてくれるかもしれない。
まるで円環のように、そこでいつまでも巡り続ける音楽、その興奮の坩堝。
そうだ。だからいつもそこにはMr.Childrenの音楽があったではないか。
まさに"終わりなき旅"がそこにあるのだ。
【関連記事】
【Thanksgiving 25】ミスチル桜井和寿使用機材(ギター)まとめ+おまけ
【ライヴレポ】Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25. セットリストと感想 前編
【ライヴレポ】Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25. セットリストと感想 後編
2018年4月4日水曜日
【Thanksgiving 25】ミスチル桜井和寿使用機材(ギター)まとめ+おまけ
※敬称略
※但し田原健一に関しては「田原氏」或いは「皇帝」と呼びたいのでそちらを使用する
先日発売されたMr.Childrenの「DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25」を見た。内容は云わずもがな、とんでもないセットリストと25周年に相応しい貫禄の演奏を見せつけられる圧巻の内容であった。
僕は"シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~"のイントロで音楽って楽しいなぁ、あぁ素晴らしいなと感動してもう泣いていた。
そこでよく目についたのが桜井和寿の使用機材である。田原氏のギターはもちろんのことだが、桜井和寿ギターはちょっと目を引くような、ちょっと変わったものが多い。
ということで、ギタリストの皇帝を差し置いて、桜井和寿の機材についてまとめて見てみよう。
Martin D-28
今回のほぼメインと言っても過言ではないアコースティックギター。特徴はなんといっても目を引くレスターフラットのピックガード。
レスターフラットはブルーグラス(Bluegrass music)系のミュージシャンです。
元々「深海」のレコーディングで訪れたニューヨークで57年製のD-28が目につき(やはりピックガードが目に入って気になったそう)、購入。
そのギターをとても気に入り、2000年にカスタムオーダーでこのギターに似せたものを制作してもらうほど。なお、現在使用しているのはこの2000年に制作したカスタムモデル。
レスターフラットモデルは結構根強く人気があるようで、ピックガードを売っていたり、K.Yairiなどでもコピーモデルを取り扱っている。
ストラップはMOODY STRAPSのものを使用している。赤字のロゴは珍しい(気がする)
アコギでは"1999年、夏、沖縄"では別のMartinギターを使用している。おそらくD-45かな。
Guitars・R・US テレキャスター Blue Flower
"終わりなき旅"や"足音 〜Be Strong"で使用。
こちらも代名詞といえるギター。このツアーではこのギターを模したうちわがグッズになるほどである。もちろん買いました。
ちなみにフェンダージャパン製のものは2016年に熊本の震災のチャリティにサイン入で出品している。
もちろん落札済でどこかの家の家宝となっていことだろう。落札額については明言されていないが数百万はくだらないだろう。
なんといっても目を引く鮮やかな、体調良くない時に見たら若干うっとなりそうなルックスである。
元々はフェンダーがテレキャスターに壁紙を張り付けてラッカーを吹いたのが始まり、とか。それをフェンダージャパンで復刻させたモデルが発売されている。10万円くらいなので、ミスチルをコピーしたい人は必見である。
……10万円"くらい"と普通に書いている自分に愕然とした。
フロントのピックアップがハムバッカーになってるのが特徴。
カポタスト Kyser(カイザー) KG6TD
なにげに今回の映像作品で一番目を引いたのが、このカポ。鮮やかなカラーリングがとても気になった。
桜井和寿は元々カイザーのカポタストを使用していたが、このカラーは最近使用し出したのだろうか。
模様が品毎に異なる1点ものになるみたいです。
他の色も素敵。
Crews Maniac Sound OSA-60 Bg Cadillac Green
おまけがてら少し遡っていくがREFLECTION関連のツアーで"Starting Over"で使用したいたのがCrewsのES-335モデル。
ビグズビーとキャデラックグリーンのルックスが良いですね。
Crewsのギターは国内メーカーの中でも人気ありますよね。
Crewsのギターではないですが、Crewsの方が立ちあげたRabbit isというブランドのギターがとても欲しいと思っています。以前にも少し書きましたが。
うさぎギター!?気になっている機材~Rabbit is
誰かください。
Versoul Buxom6 Jumbo "Gold Label"
Versoul(ヴァーソウル)という耳馴染みのないブランドのアコギ。しかしルックスを見れば「あのギターだ!」とピンとくる方も多いのではないだろうか。
その青いルックスは一度見たら目に焼き付いて離れない。
このブランドはフィンランドはヘルシンキの工房で制作されているギターである。そう言われてみると北欧特有の色使いには見えて来ないだろうか。お近くの国のIKEAのショールームが似合いそうなカラーリングである。
紹介を読んでみると、
Versoul Guitar全てのナット及びアコースティックギターのブリッジには、フィンランド産のトナカイの脛骨が使用されています。
!?
さすが北欧。
国内ではなかなか出回ってない逸品で、情報少な過ぎます。価格すらもあまり出てこない始末。しかし、僕は見知らぬ人のFacebookの投稿のコメント欄まで行き着き、参考価格を突き止めた。
その価格は86万円。
僕はそっとブラウザを閉じた。
【関連記事】
Mr.Childrenの一生聴き続けられる名曲10はこれだ!(飴玉の街ver.)
【ライヴレポ】Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25. セットリストと感想 前編
【ライヴレポ】Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25. セットリストと感想 後編
ミスチル桜井和寿の天才的な歌詞フレーズまとめ10選
Mr.Children「Starting Over」歌詞解釈~ミスチルというモンスター
2018年3月26日月曜日
【ライヴレポ】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 後編
※ツアー終了したので注意文を抜きました
15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”
@NHKホール 2018.2.1(Day.2) 後編
※文中敬称略
前編はこちら↓
【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 前編
「午前5時に反転したものは」
新藤晴一の声が響く。
「海底から見た魚は空を飛んでいて、雲の上から見た鳥は海を泳いでいる」
「2人が黙った時間を『沈黙』と呼び、1人静かにいる時間を『静寂』と呼ぶ」
散文詩のような言葉たち。
すべては覚えきれなかったけど、生中継もあったのでそちらに譲ろう(八王子公演まで見れないのでやってなかったらすみません)
「午前5時に反転したものは」
「夜の本当は朝のウソ」
岡野昭仁が再びステージ中央に戻る。ギターでリズムを刻みながら歌い出す。
"月飼い"
どこかで、本当にうっすらとだが、今回やりそうな予感がしていた。それはネタバレなしのファンの反応から、この辺りの曲をやったのではと、漠然と感じていたからだ。しかし、そんな薄ぼんやりとした感情でいてさえも、慟哭に胸が押し潰されてしまいそうだった。
何度も繰り返し強調されていた「午前5時」というキーワード。それは歌詞としては"THE DAY"や"グァバジュース"などに登場する。タイミング的にも"THE DAY"に行きそうな流れであった。
しかし"月飼い"である。これを踏まえた"午前五時"で頭に浮かんだのはマジックタイムである。夜が朝に溶け込む、その刹那の刻。シングル「シスター」のジャケットの空。夜と朝が静かに共存する刹那の時間。
サビでバンドが入ってくるアレンジも絶妙だ。
この曲は別れの曲だ。しかし、同時に決意の曲でもある。「最後の恋人」との別れ、それでも主人公は歩み出す。空に浮かぶ月から、水面の月に浮かぶ月に視点が移る。鏡のように月を写す水槽の水は主人公の心をも写し、「2つの月」を通して主人公の心情も鮮やかに転換するのだ。
惜しむらくは「最後の恋人」のフレーズだけは間違えないでいて欲しかった。このフレーズこそ"月飼い"において最も重要なフレーズなだけに。
"Part time love affair"
また静かに夜が落ちるように、一音一音がしっとりと心に響くようなイントロ。タイミング的にも披露して欲しいと思っていただけに、静かなイントロとは対称的に心の高ぶりは穏やかではない。
中盤の間奏がハーモニカに変わっていて、これもとても面白いアレンジだった。とても都会が似合う曲だ。
"Fade away"
「ガツンとくる」というのは正にこういう曲のことだろう。「BUTTERFLY EFFECT」の中で最も重さを持つ曲だが、これを生で体験してしまった今、CDの音源ですらもまだ物足りなさを感じてしまうほど、この曲はライヴで聴いてこそという曲だ。
ポルノに対するファンたちの意見とパブリックイメージは違っていて、こういう曲をシングルとして切るのは決断がいる、というようなことを言っていたが、今はこういう曲をポルノが切ってもしっかり受け入れられる世相ではないかと思う。こういう面があるということを、より多くの人に知って欲しいと願うばかりだ。
昭仁「今日は色々な色の曲をやってきたけど、前向きになれるように希望を感じる曲たちを聴いてもらいます」
"Rainbow"~"ギフト"
なんというリレー。久しぶりの"Rainbow" に感動。ついさっきまで「何が正しい?見えない未来」という閉塞感を歌ってたとは思えないほど、突き抜けるような青空になったようだ。そうだ、虹は雨の後に掛かるのではないか。
そして、自分の中でもとても大切な曲"ギフト"。
少しは自分にも期待してみたらどうって?
意外にうまく跳びだせるかも 想像よりもやれるかも
とてもシンプルなメッセージ。それがあのメロディに乗せ岡野昭仁の歌声で鳴り響くと、この瞬間に僕はいつも音楽の魔法を感じるのだ。聴くたびに泣きそうになるのだが、今回も案の定である。
昭仁「今日という日が特別な日になりますように」
"THE DAY"
横浜スタジアム、そして幕張のAmuse Fes、そしてROCK IN JAPANと大きな箱で聴いてきたこの曲。それがホールという箱で鳴らされると、恐ろしいほどの密度に圧縮されたパワーが襲い掛かってくる。ホールツアーの好きなところはここにある。大きな箱のダイナミックな演出も良いが、ホールツアーのじっくりと1曲1曲を味わえるところが好きなのだ。
何度聴いても高揚が沸き立つ。ここでも岡野昭仁の強烈なロングトーンが鳴り響く。
ギターソロ前には演奏の掛け合いが入るアレンジになってたりして、また新たな魅力と出逢えた。
"ハネウマライダー"
もはや語る必要ないだろう。いつもの、だ。ライヴでこれだけ聴いてるのに、何で何度聴いてもこんなに楽しいんだろう。そうだ「明日の忘れ物」を失くさないためだ。
昭仁「今日は本当にありがとう!次で最後の曲です」
"キング&クイーン"
最後はアルバムと同じく"キング&クイーン"。こういう爽やかな曲で本編が終わるのも良いですね。
このブログでは何度か書いてきたが、ここまでストレートにぶち抜けてくれたら、もはや快感という曲。ここまでひねくれた僕でさえも、これだけやってくれたら、もう有無を云わず好きになってしまう。ここ最近のシングルでもかなり好きな部類の曲とまでなった。
それはライヴでもやはり健在で、ギフトと同様におろおろと泣いてしまう類いのものである。ある曲を紹介したい。
do you realize - that happiness makes you cry
気づいてる?幸せに泣いてしまうってこと
The Flaming Lipsというオクラホマのバンドの"Do You Realize??"という曲なのだが、まさにこの歌詞にある通り。
あまりの幸福に、涙が止まらない、まさにそんな感じだ。純粋に音楽を愛する気持ち、それが滲み溢れる、そんな心地で本編を見終えた。
少し補足すると、本編で新藤晴一はヴィンテージのレスポールをかなりメインで使用していた。まだこのサウンドが聴けて感涙ものである。後半ではヴィンテージのテレキャスターを中心に時折、黒テレとレスポールを混ぜる形であった。
アンコール
アンコール1曲目では新曲"カメレオン・レンズ"が披露された。前日はまさに「月蝕の夜」だったこともあり、このポルノグラフィティの新機軸となりそうな、新曲をこんなに早く生で体感できた。
ライヴでの再現が難しいタイプの曲だが、全く遜色ないどころか、生で聴いてもとても魅力的であった。スクリーンに映った歌詞とともにじっくり聴き込みたいけど、身体は勝手に動いてしまう、そんな名曲である。
メンバー紹介
サポートメンバーをいつものように、紹介してからメンバー紹介へ。そこでのMCの記録を残しておく。
晴一「さすがシティ。チリバツだったね」
観客「( ゚д゚)ポカーン……」
昭仁「あなたの『チリバツ』で客席ひどいことになってますよ笑」
晴一「こうして18年やってきて、18年までくれば、じゃあ20年って軽く考えてしまう。でも200m走の最後の20mを足がもつれつつ走って、なんとかゴールではいけないのよ。
デビューしたころは、そこは可能性の大地で、どこを見ても可能性しかなかった。そこからいくつかを選んでここまでこれた。でも「もうやれることないんじゃないか?」と思ってしまうこともあって。でもさっきの新曲の"カメレオン・レンズ"みたいに新機軸になるような曲を、自分たちで探していかなければいけないし、長いツアーだけど1本1本可能性を見つけていきたい」
18年という月日も、日々の積み重ねの上に立っている。その1日1日もBUTTERFLY EFFECTにおける雨の一粒。小さな雨が18年というポルノグラフィティという大河に降り注いでいる。
何回も書いてきたが、僕が「BUTTERFLY EFFECT」に感じたまとまりのなさ、煩雑さというのは、裏を返せばポルノグラフィティはまだもがいている証なのだ。新しいポルノグラフィティを求めて。
そうしてアルバムを見たときに、それまでの「BUTTERFLY EFFECT」とは全く違って響いた。ポルノグラフィティにはもうすでに強力な武器がたくさんあって、やろうと思えばそれを使って活動を続けていくこともできる。しかし、2人はそこに驕ることなく、もがいてもがいて、また僕らをワンダーな気持ちにさせてくれるのだ。あらためてファンにとってこんな幸せなことはないのではないかと思えて仕方ない。
昭仁「僕らはとても優秀なスタッフがいて、サポートメンバーが支えてくれて、その上でパフォーマンスをすれば、良いものはできる。でも最後の1ピースはそれだけではできなくて、最後の1ピースは君たちの楽しむ姿でライヴは完成する」
その後のMCだ。
これだけ力量のあるスタッフが支えていれば、普通に演奏しても十分なライヴをすることは可能である。しかし、2人はそれに驕ることなくその土台の上で更に上に行こうともがいているのだ。そのがむしゃらさこそが「BUTTERFLY EFFECT」であったのなら、僕は考えをあらためなければならない。当たり前のようにいつも楽しいライヴが見れること、思えば数え切れないほど見てきたポルノのライヴでマンネリを感じたことは一度もない。それどころか、いつだって過去最高地点に到達しているライヴを見ていたのだ。
そしてライヴは最後の1曲。
MCの続きから書いていこう。
昭仁「そんな完成したものを、コーティングするには?」
観客「???( ゚д゚)ポカーン」
昭仁「コーティングするには、アホになるしかない!」
観客「( ゚д゚)ポカーン……お、おう!」
リアクションに困るとしか言えないMCからラスト1曲へ。もちろんこの曲である。
"ジレンマ"
ソロ回しでは宗本康兵が初代パッチ師匠直伝の首ブリッジを披露したり、
nang-changはテルミンを観客に弾かせてみたり(羨ましい)、
そしてトドメに新藤晴一は背中弾きを見せたり。
あぁなんて楽しい。
これだ。この終わってしまう悲しさと、底抜けの楽しさのせめぎ合い。またライヴが終わってしまう。でも岡野昭仁の「自信持っていけ!胸張って行け! 」の言葉で明日からも生きてゆける。
こうしてNHKホールのライヴは終わった。
※生声は忘れてしまいました。
アルバム曲では"MICROWAVE"、"I believe"、"スパイス"をやらなかったり、シングルでは"LiAR"をやってなかったりと後半に向けてまだ伸び代を残しているところが恐ろしい。後半でどれかやってるらしいが、ネタバレ見ないようにしているので分からない。八王子を楽しみにしよう。
外に出ると雨は雪に変わっていた。
雪の降る寒さでも冷えることのない熱き想いを胸に僕らは駅へ、明日へと足を早めた。
SET LIST
“BUTTERFLY EFFECT”
@NHKホール Day.2
01. 夜間飛行
02. Montage
03. 真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ
04. ワールド☆サタデーグラフティ
05. ダリア
06. ネオメロドラマティック
07. メリッサ
08. Working men blues
09. 170828-29
10. 君の愛読書がケルアックだった件
11. クリスマスのHide & Seek
12. カゲボウシ(弾き語り)
13. 月飼い
14. Part time love affair
15. Fade away
16. Rainbow
17. ギフト
18. THE DAY
19. ハネウマライダー
20. キング&クイーン
アンコール
21.カメレオン・レンズ
22.ジレンマ
【関連記事】
【全曲感想】ポルノグラフィティ 11thアルバム「BUTTERFLY EFFECT」
"君の愛読書がケルアックだった件"の歌詞が実はとんでもなくヤッバイ内容な件
MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"
夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」
"Working men blues"の替え歌の件についてちょっと本気出して考えてみた
【ライヴレポ】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 前編
※ツアー終了したので注意文抜きました
15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT”
@NHKホール 2018.2.1(Day.2) 前編
※文中敬称略
昨年の単独公演は台湾のみ、日本ではイベントやフェスのみだったため、2016年9月の横浜スタジアム公演「横浜ロマンスポルノ'16 ~THE WAY」以来の単独公演となったポルノグラフィティ。
そんなポルノグラフィティのアルバム「BUTTERFLY EFFECT」を引っ提げた15回目のツアーは始まった。
アルバム「BUTTERFLY EFFECT」に関しては、かなりの回数を聴いていても、どうしてもそのバラエティの豊かさによるまとまりのなさが気になってしまい、「アルバム」として見るとちょっと弱いかなと思う部分があった。1曲1曲は素晴らしいものばかりだけども。
なので、このツアーを見ることでアルバム「BUTTERFLY EFFECT」について、違う何かが掴めるのではないかという期待を胸に会場へ向かった。
幸いなことに、NHKホール二日目に当選し雨から雪へ変わった夜、月蝕の夜を抜けた晩に、その全貌を目の当たりにした。
ということで、ライヴレポを書いていくのだが、このブログをご存知の人は想像つくと思うが、今回も凄まじく長いものとなる予定である。僕に短くまとめろというのがそもそも無理な話なのだ。
1曲目については、とにかくあれこれと妄想の風呂敷を広げていた。
アルバムに則り"THE DAY"かなと漠然と思っていたが、最後まで何かなと迷っていた。迷ったところで仕方ないのだが。
今回ライヴに挑むにあたって、1週間前からポルノを聴かずにいて、飢餓感を植え付けてから臨もうという、ストイックなというよりも、マゾヒスティックな言行をしていた。
1週間ポルノを聴かない日々を乗り越え無事に会場に着いたが、最後に油断をしてしまった。相方さんがトイレに行っている間にのほほんとしていたら知らないうちに"夜間飛行"を口ずさんでいた。
なぜなら、グッズ売り場で大音量でアルバムが掛かっていたのだ。この瞬間、僕の1週間は無意味なものとなった。
というか、端から意味があったのか分からないが。
そんなこともありつつ、場内へ。スクリーンには飛行機が飛ぶ映像が。飛行機からふと先程の"夜間飛行"が頭に浮かぶ。そこで、少し「"夜間飛行"が1曲目でも素敵だな」と思っていた。
ライヴが始まり、まるで映画のような美しいクレジットが流れ、暗いままのステージにメンバー2人だけの姿がライトに淡く照らされ、ピアノの音色が鳴り響く。
なんと、"夜間飛行"だ。
確かに事前にそんなことを全く考えず、突然"夜間飛行"がきたら、それはそれで心臓が止まっていたかもしれない。
そんなこともありつつ、場内へ。スクリーンには飛行機が飛ぶ映像が。飛行機からふと先程の"夜間飛行"が頭に浮かぶ。そこで、少し「"夜間飛行"が1曲目でも素敵だな」と思っていた。
ライヴが始まり、まるで映画のような美しいクレジットが流れ、暗いままのステージにメンバー2人だけの姿がライトに淡く照らされ、ピアノの音色が鳴り響く。
なんと、"夜間飛行"だ。
確かに事前にそんなことを全く考えず、突然"夜間飛行"がきたら、それはそれで心臓が止まっていたかもしれない。
心の片隅で1曲目にきても、という覚悟ができていたので、生きて最後までライヴを楽しむことができた。
1曲目にこれほど繊細な曲を持ってくるということは、今まであまりなかったのではないだろうか。ミディアム~バラードの曲とすると74ersの"ヴォイス"くらいではないだろうか。生で見たことはないが。


ライヴDVD「Purple's」の副音声にてライヴに「入る」までの時間という話がある。「Purple's」の3曲目の"フィルムズ"で「入って」演奏をしないと熱も何もない演奏になってしまうという話だ。この「入った」状態でないと"夜間飛行"のような曲は聴かせることができない曲だろう。つまりは、1音1音に熱量を持たせるという演奏だ。それを1曲目に持ってくること、それだけでも挑戦だっただろう。
長いツアーだからこそか、18年というキャリアだからこそか、それをしっかりやってのけたのだ(若干歌詞が詰まった箇所はあったが)。それにしても、あぁなんて愛しい曲なんだろう。本当に大好きな曲だ。
意外な1曲目であるが、終わってみると「"夜間飛行"が1曲目以外考えられない」と思ってしまう不思議。
メンバーの顔が切り貼りされたコラージュ写真がスクリーンに映る。"Montage"だ。こうした音源では打ち込みが多用された曲をライヴでどうやって再現するのかというのは、アルバムツアーの楽しみでもある。
特に野崎真助のドラムは本当によくこれだけ叩きわけられるなと驚くほど、表現豊かな曲たちを支えている。
そこから"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"に続く。この曲は岡野昭仁というヴォーカリストが、自身の限界に挑むかのような曲で、かなりの挑戦であっただろう。結果的に生で聴いた"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"は会場を掌握するほどの歌声で、その手応えはとてつもなく大きかったことだろう。
あまりのカッコ良さに3曲目が終わって「どうしよう……ポルノめちゃくちゃカッコイイ……」と恋する乙女レベルの独り言をしてしまったほどである。
MC
昭仁「わしらがポルノグラフィティじゃ!」
といつもの一発。
晴一「やっぱり東京は凄い。シティだからか?シティなライヴでバイブスを感じて、チェケラ」
昭仁「おーカッコイイねー(棒)」
昭仁「アルバム『BUTTERFLY EFFECT』からはもちろん今日はポルノグラフィティの18年間の歴史を振り替えるような曲たちもやってこうと思います」
次に演奏されたのは"ワールド☆サタデーグラフティ"。幕張ロマンスポルノ以来なので6年ちょっとぶりに聴くことになる。最初の歌詞で「木曜なのに雪だね みんな帰りは大丈夫かい?」と替え歌。こうして文字にすると全くメロにハマらないはずなのだが、岡野昭仁はどう歌ったか若干思い出せないくらいに見事に歌メロに乗せていた。
岡野昭仁がギターリフを掻き鳴らして"ダリア"へ。これもまたマニアックな展開だ。序盤にしてカップリングを立て続けに披露するとは。どちらの曲もそれぞれの温度で身体の芯に熱を灯すような曲だ。
しっかり楽しませてくれる"ワールド☆サタデーグラフティ"と無条件に「これぞロック」と思わされる"ダリア"2曲のベクトルは違いながらもポルノグラフィティという枠において演奏を聴いていると、不思議と全く違和感なくスッと受け入れられてしまう。それこそがポルノグラフィティの魅力なのだろう。
カップリングの並びと対照的に"ネオメロドラマティック"~"メリッサ"とメジャーどころが続く。序盤にしてこれほどのバリエーションを見せるところがポルノグラフィティの恐ろしさだ。特に"メリッサ"のとんでもなく長いロングトーンを放った岡野昭仁の歌声には、十二分に温まった身体は否応なしに反応し、興奮は鳴り止まない。この盛り上がり方は本来ライヴ終盤で見るようなクラスのものだ。
そして僕はスーツでいることを後悔した(仕事帰り)
MC
昭仁「ありがとうございます。今聴いてもらった"ワールド☆サタデーグラフティ"は久しぶりにライヴでやったし、その後の"ダリア"はライヴで2~3回しかやったことない曲。それでもその後の"ネオメロドラマティック"とか"メリッサ"みたいな曲と同じくらい盛り上がっていて、みんな凄い!」
昭仁「ここで『BUTTERFLY EFFECT』とはどんな意味なのか晴一さんから説明してもらいます」
晴一「今から『BUTTERFLY EFFECT』の意味を説明するんですけど、長くなるので、もう知ってるよって人は、LINEでもしててください」
※以下は「BUTTERFLY EFFECT」についての説明。随所で言っている内容なので、こちらでは割愛。MC後にやたらと「ありがとう」を連発して頭を下げる岡野昭仁に笑ってしまう。
昭仁「今回のツアーは新たなサポートメンバーに参加してもらってます。"オー!リバル"とかのアレンジをしてもらった、ギターtasuku!」
tasuku「よろしくお願いしまーす」
昭仁「tasukuは広島の福山出身で、ワシらに比べると(広島のなかでは)都会出身なんよ」
tasuku「都会って、それ東京の人の前で言ったり怒られません?笑」
昭仁「じゃあなんなん?」
tasuku「田舎です」
昭仁「福山で田舎なら(因島の)ワシらのはどうなるんじゃ」
tasuku「笑」
昭仁「福山の人口は46万人で、ワシらのとこは2万人やぞ」
tasuku「田舎です笑」
昭仁「ものすごく上から言ってな笑」
そう。昨年に引き続きtasukuがサポートギターとして参加していることでギターに厚みが出て、新藤晴一もさらに自由にギターを弾いていたような印象であった。
昭仁「ここからはアルバム『BUTTERFLY EFFECT』の曲たちを聴いてもらおうと思います」
"Working men blues"。歌と同じくらい歌うギターが楽しい。ライヴで聴くと熱量がかなり高く、仕事後に聴くとなお心にくる。終わるとニュースの切り貼りされた音声が流れ"170828-29"へ。歌詞同様にピースを掲げる観客たち、写真を撮るときのような浮わついたピースではない。そこに信念のようなものが宿った光景であった。
スクリーンには映画予告風の映像が。舞台は高校。女子高生の女の子と、相手役はなぜかはっさくメガネである。あの曲をなぞるように、女の子はある本を読んでいる。たまたま落ちた本を拾い、表紙を見たはっさくメガネ。その本には『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアックの文字。そこから女の子の難病が発覚して、あれこれある"いかにも"な展開となる。ちなみに、女の子の病院にいる医者は、メガネをかけたアヒル口の例の人である(演出と脚本も)。最後に(嘘予告だけど)タイトルが呼ばれる"君の愛読書がケルアックだった件"。


ポルノグラフィティの面白いところは同じ曲でもCDとライヴで全く印象が異なるということだ。たとえば「THUMPx」はアルバムとしては通して聴くとポップな印象が強いが、そのアルバムを引き連れたツアー「SWITCH」は全くもってロック全開だったのを見れば分かるだろう。
しかし、ケルアックはライヴでも爽やかに軽やか。青いままの姿で僕らに届けられた。それがすごく気持ち良くて。濃くて重い曲が多かったので中盤の清涼剤となった。
ところで、なんとなく自分のなかでサビは縦のイメージだったけど、みんな横に手を振ってて面白いものだなぁと思った。
続く曲は"クリスマスのHide&Seek"。一番意外な選曲は間違いなくこれだったのではないだろうか。2月1日である。あまりの意外さにどよめきに近い歓声が上がった。けど、よく考えたら真冬に当たり前のように"ミュージック・アワー"やってるバンドだったわ。
正直なところアルバムのなかではそんなに聴き込んでいなかったが、ライヴで聴いてかなり印象が変わり、今ではとても好きな曲となった。
アウトロのアコギのリフが続き、終わるとスクリーンには森が映る。そこにいるのは岡野昭仁1人となった。
昭仁「うん。いま森におるよ。大切な人を探すうちに森に迷いこんだって設定に、5公演目くらいで固まったの」
昭仁「ここから数曲、1人で弾き語りで歌いたいと思います」
昭仁「20年間やってきて、ありがたいことに「個性的な良い声をしているね」とか「滑舌が良くて(ここで観客苦笑い)、歌詞『が』聞き取りやすいね」とか言って貰えたんです。それでワシみたいな調子こきは、すぐ調子に乗ってしまってそれできてしまっていた。それじゃいけないと思ってボイトレに通いはじめた。そこで4年前に、ようやくそこでまたあらためて歌うことの楽しさに目覚めたんよ。
去年Amuse FesでPerfumeの"ポリリズム"を唄ったら("ポリリズム"を少し弾き語りで歌ってみせる)、大先輩で尊敬してるスガシカオさんが情報番組の映像を見たみたいで、「岡野くん!"ポリリズム"全然歌えてないよ!青筋立てて歌っちゃダメ!」と言われ、「引いた」歌い方を習得しようと思った。青筋立てて歌うのがワシの良さなんじゃけど、引いた歌い方を聴いてみてください。
あらためてポリリズムを歌う。
(少し柔らかくなるが、かなり岡野昭仁成分が濃い気が)
「(前列を指して)まだ青筋立ててるとか言っちゃダメ。まだヴォーカリストとして成長しなければいけないと思います」
そんな歌い方を意識して、この曲を聴いてもらおうと思います"カゲボウシ"。


折しも「カメレオン・レンズ」のカップリングにはこの前日の弾き語りが収録された。思えばポルノグラフィティのステージで岡野昭仁ただ1人で歌ったというのは、自分のなかでは記憶にない。
より歌に注力された"カゲボウシ"はあまりに美しく優しかった。"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"のようなタイプの曲もその凄さは分かりやすく見せつけられるが、MCのとおり「引いた」歌声というのは、今まであまりなかったものである。
何より驚いたのは"数曲"と言ったのに弾き語りは"カゲボウシ"しかなかったことである。まさか"ポリリズム"もカウントに入っていたのだ。
ここまでの流れでも分かるように、今回のツアー、ライヴは岡野昭仁オンステージというほど、岡野昭仁色の強いステージである。普段ギターにメロメロになってる僕ですら岡野昭仁から目が離せないほど、そのヴォーカリストとしての存在感に圧倒された。
しかし、ポルノグラフィティはやはり2人でポルノグラフィティであった。
後編に続く。
後編
【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 後編


ツイート
1曲目にこれほど繊細な曲を持ってくるということは、今まであまりなかったのではないだろうか。ミディアム~バラードの曲とすると74ersの"ヴォイス"くらいではないだろうか。生で見たことはないが。
ライヴDVD「Purple's」の副音声にてライヴに「入る」までの時間という話がある。「Purple's」の3曲目の"フィルムズ"で「入って」演奏をしないと熱も何もない演奏になってしまうという話だ。この「入った」状態でないと"夜間飛行"のような曲は聴かせることができない曲だろう。つまりは、1音1音に熱量を持たせるという演奏だ。それを1曲目に持ってくること、それだけでも挑戦だっただろう。
長いツアーだからこそか、18年というキャリアだからこそか、それをしっかりやってのけたのだ(若干歌詞が詰まった箇所はあったが)。それにしても、あぁなんて愛しい曲なんだろう。本当に大好きな曲だ。
意外な1曲目であるが、終わってみると「"夜間飛行"が1曲目以外考えられない」と思ってしまう不思議。
メンバーの顔が切り貼りされたコラージュ写真がスクリーンに映る。"Montage"だ。こうした音源では打ち込みが多用された曲をライヴでどうやって再現するのかというのは、アルバムツアーの楽しみでもある。
特に野崎真助のドラムは本当によくこれだけ叩きわけられるなと驚くほど、表現豊かな曲たちを支えている。
そこから"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"に続く。この曲は岡野昭仁というヴォーカリストが、自身の限界に挑むかのような曲で、かなりの挑戦であっただろう。結果的に生で聴いた"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"は会場を掌握するほどの歌声で、その手応えはとてつもなく大きかったことだろう。
あまりのカッコ良さに3曲目が終わって「どうしよう……ポルノめちゃくちゃカッコイイ……」と恋する乙女レベルの独り言をしてしまったほどである。
MC
昭仁「わしらがポルノグラフィティじゃ!」
といつもの一発。
晴一「やっぱり東京は凄い。シティだからか?シティなライヴでバイブスを感じて、チェケラ」
昭仁「おーカッコイイねー(棒)」
昭仁「アルバム『BUTTERFLY EFFECT』からはもちろん今日はポルノグラフィティの18年間の歴史を振り替えるような曲たちもやってこうと思います」
次に演奏されたのは"ワールド☆サタデーグラフティ"。幕張ロマンスポルノ以来なので6年ちょっとぶりに聴くことになる。最初の歌詞で「木曜なのに雪だね みんな帰りは大丈夫かい?」と替え歌。こうして文字にすると全くメロにハマらないはずなのだが、岡野昭仁はどう歌ったか若干思い出せないくらいに見事に歌メロに乗せていた。
岡野昭仁がギターリフを掻き鳴らして"ダリア"へ。これもまたマニアックな展開だ。序盤にしてカップリングを立て続けに披露するとは。どちらの曲もそれぞれの温度で身体の芯に熱を灯すような曲だ。
しっかり楽しませてくれる"ワールド☆サタデーグラフティ"と無条件に「これぞロック」と思わされる"ダリア"2曲のベクトルは違いながらもポルノグラフィティという枠において演奏を聴いていると、不思議と全く違和感なくスッと受け入れられてしまう。それこそがポルノグラフィティの魅力なのだろう。
カップリングの並びと対照的に"ネオメロドラマティック"~"メリッサ"とメジャーどころが続く。序盤にしてこれほどのバリエーションを見せるところがポルノグラフィティの恐ろしさだ。特に"メリッサ"のとんでもなく長いロングトーンを放った岡野昭仁の歌声には、十二分に温まった身体は否応なしに反応し、興奮は鳴り止まない。この盛り上がり方は本来ライヴ終盤で見るようなクラスのものだ。
そして僕はスーツでいることを後悔した(仕事帰り)
MC
昭仁「ありがとうございます。今聴いてもらった"ワールド☆サタデーグラフティ"は久しぶりにライヴでやったし、その後の"ダリア"はライヴで2~3回しかやったことない曲。それでもその後の"ネオメロドラマティック"とか"メリッサ"みたいな曲と同じくらい盛り上がっていて、みんな凄い!」
昭仁「ここで『BUTTERFLY EFFECT』とはどんな意味なのか晴一さんから説明してもらいます」
晴一「今から『BUTTERFLY EFFECT』の意味を説明するんですけど、長くなるので、もう知ってるよって人は、LINEでもしててください」
※以下は「BUTTERFLY EFFECT」についての説明。随所で言っている内容なので、こちらでは割愛。MC後にやたらと「ありがとう」を連発して頭を下げる岡野昭仁に笑ってしまう。
昭仁「今回のツアーは新たなサポートメンバーに参加してもらってます。"オー!リバル"とかのアレンジをしてもらった、ギターtasuku!」
tasuku「よろしくお願いしまーす」
昭仁「tasukuは広島の福山出身で、ワシらに比べると(広島のなかでは)都会出身なんよ」
tasuku「都会って、それ東京の人の前で言ったり怒られません?笑」
昭仁「じゃあなんなん?」
tasuku「田舎です」
昭仁「福山で田舎なら(因島の)ワシらのはどうなるんじゃ」
tasuku「笑」
昭仁「福山の人口は46万人で、ワシらのとこは2万人やぞ」
tasuku「田舎です笑」
昭仁「ものすごく上から言ってな笑」
そう。昨年に引き続きtasukuがサポートギターとして参加していることでギターに厚みが出て、新藤晴一もさらに自由にギターを弾いていたような印象であった。
昭仁「ここからはアルバム『BUTTERFLY EFFECT』の曲たちを聴いてもらおうと思います」
"Working men blues"。歌と同じくらい歌うギターが楽しい。ライヴで聴くと熱量がかなり高く、仕事後に聴くとなお心にくる。終わるとニュースの切り貼りされた音声が流れ"170828-29"へ。歌詞同様にピースを掲げる観客たち、写真を撮るときのような浮わついたピースではない。そこに信念のようなものが宿った光景であった。
スクリーンには映画予告風の映像が。舞台は高校。女子高生の女の子と、相手役はなぜかはっさくメガネである。あの曲をなぞるように、女の子はある本を読んでいる。たまたま落ちた本を拾い、表紙を見たはっさくメガネ。その本には『オン・ザ・ロード』ジャック・ケルアックの文字。そこから女の子の難病が発覚して、あれこれある"いかにも"な展開となる。ちなみに、女の子の病院にいる医者は、メガネをかけたアヒル口の例の人である(演出と脚本も)。最後に(嘘予告だけど)タイトルが呼ばれる"君の愛読書がケルアックだった件"。
ポルノグラフィティの面白いところは同じ曲でもCDとライヴで全く印象が異なるということだ。たとえば「THUMPx」はアルバムとしては通して聴くとポップな印象が強いが、そのアルバムを引き連れたツアー「SWITCH」は全くもってロック全開だったのを見れば分かるだろう。
しかし、ケルアックはライヴでも爽やかに軽やか。青いままの姿で僕らに届けられた。それがすごく気持ち良くて。濃くて重い曲が多かったので中盤の清涼剤となった。
ところで、なんとなく自分のなかでサビは縦のイメージだったけど、みんな横に手を振ってて面白いものだなぁと思った。
続く曲は"クリスマスのHide&Seek"。一番意外な選曲は間違いなくこれだったのではないだろうか。2月1日である。あまりの意外さにどよめきに近い歓声が上がった。けど、よく考えたら真冬に当たり前のように"ミュージック・アワー"やってるバンドだったわ。
正直なところアルバムのなかではそんなに聴き込んでいなかったが、ライヴで聴いてかなり印象が変わり、今ではとても好きな曲となった。
アウトロのアコギのリフが続き、終わるとスクリーンには森が映る。そこにいるのは岡野昭仁1人となった。
昭仁「うん。いま森におるよ。大切な人を探すうちに森に迷いこんだって設定に、5公演目くらいで固まったの」
昭仁「ここから数曲、1人で弾き語りで歌いたいと思います」
昭仁「20年間やってきて、ありがたいことに「個性的な良い声をしているね」とか「滑舌が良くて(ここで観客苦笑い)、歌詞『が』聞き取りやすいね」とか言って貰えたんです。それでワシみたいな調子こきは、すぐ調子に乗ってしまってそれできてしまっていた。それじゃいけないと思ってボイトレに通いはじめた。そこで4年前に、ようやくそこでまたあらためて歌うことの楽しさに目覚めたんよ。
去年Amuse FesでPerfumeの"ポリリズム"を唄ったら("ポリリズム"を少し弾き語りで歌ってみせる)、大先輩で尊敬してるスガシカオさんが情報番組の映像を見たみたいで、「岡野くん!"ポリリズム"全然歌えてないよ!青筋立てて歌っちゃダメ!」と言われ、「引いた」歌い方を習得しようと思った。青筋立てて歌うのがワシの良さなんじゃけど、引いた歌い方を聴いてみてください。
あらためてポリリズムを歌う。
(少し柔らかくなるが、かなり岡野昭仁成分が濃い気が)
「(前列を指して)まだ青筋立ててるとか言っちゃダメ。まだヴォーカリストとして成長しなければいけないと思います」
そんな歌い方を意識して、この曲を聴いてもらおうと思います"カゲボウシ"。
折しも「カメレオン・レンズ」のカップリングにはこの前日の弾き語りが収録された。思えばポルノグラフィティのステージで岡野昭仁ただ1人で歌ったというのは、自分のなかでは記憶にない。
より歌に注力された"カゲボウシ"はあまりに美しく優しかった。"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"のようなタイプの曲もその凄さは分かりやすく見せつけられるが、MCのとおり「引いた」歌声というのは、今まであまりなかったものである。
何より驚いたのは"数曲"と言ったのに弾き語りは"カゲボウシ"しかなかったことである。まさか"ポリリズム"もカウントに入っていたのだ。
ここまでの流れでも分かるように、今回のツアー、ライヴは岡野昭仁オンステージというほど、岡野昭仁色の強いステージである。普段ギターにメロメロになってる僕ですら岡野昭仁から目が離せないほど、そのヴォーカリストとしての存在感に圧倒された。
しかし、ポルノグラフィティはやはり2人でポルノグラフィティであった。
後編に続く。
後編
【ネタバレ有】15thライヴサーキット “BUTTERFLY EFFECT” @NHKホール Day.2 後編
登録:
投稿 (Atom)











