2020年1月4日土曜日

【ライヴレポ】THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR @ナゴヤドーム 2019.12.28







名古屋の空は晴れ渡っていた。


2019年が終わろうとしていた。

また幾度とない、忘れられない夜を何度も体験できた1年だった。

そんな2019年最後のライヴとなったのは、THE YELLOW MONKEYのナゴヤドーム公演だった。

ポルノグラフィティ以外では初めての遠征となった。


THE YELLOW MONKEY
30th Anniversary DOME TOUR
@ナゴヤドーム 2019.12.28







ポルノグラフィティファンの自分にとって、今年の9月8日原とても特別な日になった。デビュー20周年を迎えた、その日である。

そして2019年12月28日は、THE YELLOW MONKEYにとって30周年を迎えた日となった。

ポルノグラフィティの20周年に続き、これだけ周年を祝える機会がドームで続いた上に、どちらの推しギタリストも、時代錯誤ともいえるフライングVをがっつりと使用していて、とても興味深い。

ナゴヤドームへ。
色々あって、かなりギリギリになってしまい、バタバタと入場、席についた瞬間にオープニングが流れ出すほどギリギリのタイミングであった。

デビュー日から更新されていく日付。積み重ねてきた歴史を辿り、遂に今日その日になった時、割れんばかりの歓声の先にメンバーは登場した。


1. SECOND CRY
菊地英昭の奏でるアルペジオに息を呑む。そんな会場にまた一段大きな歓声が轟く。吉井和哉がセンターステージに現れたのだ。

僕はTHE YELLOW MONKEYの曲では1、2を争うほど好きな楽曲が"SECOND CRY"なのだ。楽曲そのものの衝撃だけでも受け止めることに精一杯なのに、間近のセンターステージで唄う吉井和哉の後ろ姿に、圧倒されてしまった。

そう、自分の席からセンターステージを見ると、見えるのは後ろ姿なのだ。けれども、だからこそこのライヴでいくつもの瞬間に出逢えることになった。



2. ROCK STAR
3. SPARK
序盤でアッパーなロックナンバーが畳み掛けられる。
ドームという巨大な空間に全く負けないスケールの音楽が鳴り響く。


君もロックン・ロール・スター
魅力的なロックン・ロール・スター Come on!


ロックスターへの憧れを唄う"ROCK STAR"だけれど、改めて歌詞を見ていくと興味深い。

考察し始めると長くなってしまうので、またいつか改めて触れるが、歌詞に唄われる君とは僕ら観客であるとともに、そんなロックスターに憧れていた自分でもあるように感じた。

"SPARK"で弾け飛んでいく音。"ROCK STAR"に唄われる「頭はさからえない」そんな存在こそ、この飛び散る音の閃光なのだ。


吉井:ドームツアー初日へようこそ!そして今日はTHE YELLOW MONKEYの30歳のバースデーです。みんなパンパンに膨らんで弾けて帰りましょう!


そんな言葉とともにこの曲へ。


4. Balloon Balloon
サービスモニターのやたらサイケデリックな色彩の映像が印象的だった。この前にあったアリーナツアー「Greatful Spoonful」のテーマとも密接に繋がる歌詞たち。そして。


愛をまやかしというのなら この世界は生きてるだけの場所
足元に散らばった文字で 最後はなにを伝えるのだろう

野原を駆け出す子供みたいに
未来だけ見て進んでいたよ


50台半ばという年齢で、まだ未来へ走り続けている。いや、誰しもが未来へ向かっている。けれど、いつかは訪れる最後、そこから目をそらさない。これはきっと、30年という月日が唄わせたフレーズ。



5. A HENな飴玉
6. 追憶のマーメイド
サイケな気分そのままに、" A HENな飴玉"へ。5曲目にして、会場全体に瘴気が漂っているかのごとく酔いしれてしまう。


モジュレーションのエフェクターの"揺れ"はこういう時のためにあるのだと思う。自分の意など介さないままに、ただ踊らされてしまう。

そこからの"追憶のマーメイド"。


「ねぇ あたしは誰よりもあなたを愛してる」と
僕より残酷な歌を歌う


想いを伝えるのは、残酷なことだ。
人は出来るなら、温い温度のなかを揺蕩っていたい。微睡んでいたい。それこそが最も気持ちがいいのだから。

伝えることは変化をもたらすこと。今までのままではいられなくしてしまうこと。言ったからには、世界は否応なしに動き出す。

しかし、僕らはそうでなくては進めない。だからこそ進める、それが人生なのだ。


菊地英昭のギターが鳴る。薄ぼんやりと、それが何に繋がるのか頭には過っていた。感覚的なものかもしれない、切迫した空気がそうさせたのかもしれない。
奏でられるギター。最初はクリーントーンのアルペジオを奏で、中盤では歪みが加わる。菊地英二のそれまでより一層力の入ったスネアが、身体を打つ。

スクリーンには音とともに朱い花弁のような、鮮血のような飛沫が舞っていく。音色の激しさに伴い、その飛沫は広がりを増す。



7. 球根
最高潮となった空気に鳴らされるイントロ、そして吉井和哉が唄い出した瞬間に、またひとつ息を呑む。

このアレンジ、それは再集結をして行われたアリーナツアーを彷彿とさせる。それは同時に映画「オトトキ」のエピソードにも繋がる。

根は命である。広がる朱い飛沫は、まるで土の中に広がる命のようにも見える。菊地兄弟がツアー中に乗り越えた悲しみ、父親の死。それを乗り越え神戸で鳴らした"球根"が忘れられないと言った。


悲しいだけ根を増やせ


命とは記憶なのだ。だからこそ根は受け継がれ、また花は咲く。







メンバーがセンターステージに集まる。


ロビン:12月28日は「メカラ・ウロコ」として毎年やってきたんですけど、去年がファイナルとして。それでも、大切な日なので、こうしてまたやっています。
名古屋は大好きな場所なんですけど、「Greatful Spoonful」ツアーで回れていなかったので、今回名古屋が選ばれました。

ロビン:「メカラ・ウロコ」は終わったんですけど、その名残りを残しつつ、やっていきたいのですが。名古屋といえば中日ドラゴンズに鯱に竜、ドラゴンですよね。ドラゴンといえば、ウロコということで。知ってます?竜の顎のところにはひとつだけ逆さに付いたウロコがあって、それに触ると竜がとても怒る「逆鱗(げきりん)」って言いますよね。ということでウロコ繋がりで、今日のタイトルを勝手に「ドラゴンの逆鱗」と呼んでます。……言うんじゃなかった。


ロビン:名古屋は大切な場所で。30年前にこのメンバーで初めてライヴをしたのですが、僕は歌が上手くなかった。そうしたら、ギターのエマさんが「バンドを辞める」と言ったんです。
それでも「もう少しやってくれ」とお願いをして、彼(エマ)は優しいからツアーを回ってくれました。
それで名古屋で、当時はヒーセがマネージャーのような役割で、宿とかの手配もやってくれていて。
でも、名古屋でホテルの手配が上手くいかなかったんだよね?

ヒーセ:うん。ホテルとったはずが……取れてなかったんだよね
ロビン:それで、なんとか民宿?を慌てて取ってくれたんだけど、どれくらいの広さでしっけ?10畳くらい?
ヒーセ:12畳くらいだよね
吉井:そこでエマさんに「ところで正式にメンバーになってもらったってことでいいんですか?」って聞いたら、「あーそうだね」って
エマ:というか「あーそうじゃない?」って感じで
ロビン:優しい人なんです。ということで、THE YELLOW MONKEYが今のメンバーになった正式な場所は、名古屋なんです!…あれ?なんか反応薄い?

ロビン:そんなエマが初めてTHE YELLOW MONKEYに書いた曲を聴いてもらおうと思います。"This Is For You"。


8. This Is For You
大好きで、とても聴きたかった曲。だからこそ、曲名が告げられた瞬間に、叫びそうになった。

菊地英昭の曲にある優しさは、人柄の表れなのだろうか。互いの気持ちも、残酷ささえもピュアに唄われる。だからこそどこまでもピュアな「This Is For You」という想いが、胸を打つのだ。


そして、もうひとつの始まりの曲。


9. LOVERS ON BACKSTREET
見届ける後ろ姿。こうして、演奏するバンドを後ろからずっと見守ることは、そうない。時折振り向き弟を目を合わせる菊地英昭の視線をそのまま感じれる。そんな視線の先にいる菊地英二。センターステージが近いだけに、初めて体感できたことがひとつある。

ドラムの生の音色がそのまま届いてくるのだ。そのPAを通さない生々しいサウンドが、そこでまさにライヴが起きているのだと教えてくれる。

30年という月日がその背中に、演奏に説得力を与える。
壊れそうだから繋がり、繋がるからこそ壊れていく、それはただcrazyなだけかもしれない。しかし、それこそが2時25分の路地裏に生きていることを教えてくれる。


ロビン:THE YELLOW MONKEYは「THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE(夜行性のかたつむり達とプラスチックのブギー)」という長ったらしいタイトルの1stアルバムを出します。オリコン初登場5◯◯位(失念)!
THE YELLOW MONKEYはグラムロックをベースにしているんですけど、ブギな曲を2曲聴いてもらいます。


10. Foxy Blue Love
11. SLEEPLESS IMAGINATION
"Foxy Blue Love"聴きたいけれど、聴く機会はないだろうなと思っていたので、聴けて本当に嬉しい。

"SLEEPLESS IMAGINATION"は事前に会員限定動画でも昔のライヴ映像がアップされていたので、やるのではと話してはいたけれど、やはり嬉しい。

センターステージに注目していたから最初は気づかなかったけど、メインステージのスクリーンには過去の様々なライヴ映像が流れていた。


ロビン:それからTHE YELLOW MONKEYは一度解散をして、今年16年ぶりのアルバム「9999」をリリースしました。その中から1曲。


12. I don't know
一気に最新曲へシフト。廣瀬洋一の太いベースが鳴り響き、菊地英昭のテレキャスターがカッティングからのギターリフを鳴らす。

未来など誰にもわからなくて、ならばたしかなことは歩んできた道と、今この瞬間しかない。たしかなものさえ忘れなければ、それはいつかたしかな過去となる。


13. BURN
14. LOVE LOVE SHOW
そして鉄板とも呼べる2曲が立て続けに披露される。
メンバーたちはセンターステージを縦横無尽に動き回り、サービスしてくれる。

センターステージからローディー用の階段が設置されていて、吉井和哉がまずそこを降りた、しかし地面までは降りてはいけないようで、階段途中で止まって唄っていた。のちに菊地英昭も呼び2人で楽しげに演奏していた。

センターステージから360°全てに喜びが舞っている。


ロビン:長い間やってきて、辞めてしまったり、亡くなってしまった人たちもいて。THE YELLOW MONKEYの代表曲かどうかわからないのですが、当時どうしてもこの曲でいきたいとワガママを言って、長い曲、スローテンポのロックンロールがあります。


15. JAM
菊地英二のカウントから鳴り響くイントロ。前日に出演したミュージック・ステーションの映像のように、赤い柱のような照明が上へと伸びる。

スクリーンにはおそらくメンバーの姿も映っていたが、それでも後ろ姿のメンバーたちに見入ってしまった。いや、目をそらせなかった。

一音一音に魂を込めるように、願いを込めるように、祈りを込めるように、音を紡ぐ。それはきっと僕ら一人ひとりへ、そして、赤い光線の伸びる先に行ってしまった人々へ捧げられた音。

その中の一人は間違いなく中原繁という男だっただろう。


センターステージの流れが終わり、暗転すると初期デモに入っていた未発表曲”PENITENT”が流れ、今までのライヴの軌跡が映像で流れた。








センターステージ周辺がざわつく。
通路に現れたのは、あの人たち。

映像が終わり彼らがステージに上がっていくと、左右両方から、ステージの左右からもその姿が現れる。

現れたのは、チンドン屋さん。


16. DAN DAN
ドラムが奏でるリズムにホーンが被る。それだけで、お祭りムードがリミッターを超えて高まっていく。
初めて聴いた時「どんな夢も叶えるバンドができたよ」という歌詞で、このテーマだったのかと気づいた瞬間に泣けてしまった。

もしかしたら生で聴いても同様に泣いてしまうかと構えていたけれど、それよりも圧倒的な多幸感に包まれたのだった。おそらく2番のAメロで廣瀬洋一が叫んだ「助けてー」という言葉にどうしようもなく笑ってしまったからかもしれない(最初はなんて叫んだろうと思いながらも笑ってしまって、あとからちゃんとその意味合いを知ってまた笑った)

ライヴとは、なんて楽しくて素敵な空間なのだろう。この年の瀬に遠征をして訪れてしまう、それだけの魅力がこの場所に詰まっている。
偶然なのかもしれないけど、出雲の方では「だんだん」は「ありがとう」という意味もあるらしい。東京で「だんだん」と聞くと「少しずつ」という意味合いの他に谷中の「夕焼けだんだん」にように階段のだんというイメージが湧く。

長い歴史で沢山のことがアップダウンして、ありがとうを重ねてきた。それが東西の中間にある名古屋という土地で披露されたというのが興味深い(初めての方へ説明しておくと、当ブログはこうしたこじつけが時折混じります)。

それを祝うかのように、小さな打ち上げ花火がステージから上がった。


17. パンチドランカー
18. 天道虫
ドラム、ベース、ギターと音が重なっていく。バンドの喜びが詰まったようなイントロ。"パンチドランカー"を聴くだけで脈拍が上がっていくような気持ちになる。


まだまだまだ見えないまだわからない
まだまだまだ消えないまだ倒れない
まだまだまだやめないまだ眠れない


そう未来は、先は「I don't know」なのだ。
そこで次に吉井和哉が叫ぶ言葉、それは。


GO GO GO GO GO!!


進むしかない。

剥き出しになった感情を伝えるのは、心を見せること。「裸のボクサー」というフレーズには「裸の僕さ」というニュアンスも込められているだろう。

熱をそのままに"天道虫"へ。この流れで聴くと、未来へ真っ直ぐ進んでいても、時に同じ場所を何度もたしかめるように回っている瞬間も人生にあるのだと思わされる。
それを「変わらないもの」といえば耳触りはいいが、呪縛とも言い換えられる。それでもだからこそ僕らは何度も同じ曲を聴き返してしまうし、その衝動を思い出すのだ。クルクルと回りながら、僕らは踊ってしまう。



19. "I"
かなり意外な選曲と展開だった。ハードでありながらも、「歌うハレルヤ」のフレーズになると開放感さえも感じさせる。まさに歌詞にある「自由」のように。自由を謳歌しているようで、主人公を最後までしばっている存在こそが「"I"(=自分であり愛)」なのだ。

やりだい音楽とメジャー音楽との葛藤が詰まったのが「smile」というアルバムならば、今回のライヴの骨格ともなった「jaguar hard pain」やデビューアルバム「THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE (夜行性のかたつむり達とプラスチックのブギー」のメカラらしいマニアックな楽曲と、「横綱」と呼んだ代表曲たちの詰まったライヴを表すかのようだ。



20. SUCK OF LIFE
必殺とも呼べるナンバー。「30年分の絡みを」という吉井和哉と菊池英昭の姿に笑ってしまう。というよりも、それを見ている菊地英二にまた笑ってしまう。

どんなライヴも、こういう瞬間を見るたび、こんな気持ちになりたくてライヴに行くのだと思える。幸せを噛みしめる。


ステージ上に星が煌めく。


21. Horizon
22. Father
その音がなった瞬間に呼吸さえ忘れた。展開的に"Stars"になるかと勝手に思っていたからだ。
好きな曲というだけではない、大切な1曲"Horizon"。そしてそこからの"Father"。

思い出すのは映画「オトトキ」。





だとするならば、序盤で披露された"球根"を思い出さずにはいられない。

「オトトキ」で中盤に描かれるのが「父親」というテーマだ。菊地兄弟の父親の死、廣瀬洋一は父親としての自分を語り、吉井和哉は幼い頃に亡くなった父親の面影を追想する。

そうした時に、吉井和哉の父親は旅芸人であり風貌を思えばチンドン屋さんと同じように「派手な着物」を纏った姿かもしれない。そして、”DAN DAN”の最後に上がったのが通常の打ち上がる花火ではなく、ちゃんと花が咲く花火であったこと。そうすると。


打ち上げ花火の向こうでは皆が待っている


という歌詞であった時。最後の花火の向こうにいたのは、僕ら観客でもあるのだ。
そして、その向こうに待っているのは「愛」と絆であり、そこへ向けて菊池英昭が紡いだ言葉が。


We must go on!


こんなに鮮やかな展開があるだろうか。それを30周年のドームという舞台でやったTHE YELLOW MONKEY。
しかし、それだけでも十分に素晴らしいのに、さらにそれを超えてくる。


ロビン:THE YELLOW MONKEYという名前を付けて。これは主に欧米とかで日本人を侮蔑する言葉なんですけど。本来ロックも欧米から入ってきたもので、それに日本人なりの要素を入れてやれればと思ってTHE YELLOW MONKEYと付けました。昔はバンド名についてあれこれ言われてバカにされたんですけど、自分ではとても気に入っています。

ロビン:THE YELLOW MONKEYには直接的な言葉の応援曲みたいなのはありません。それは僕はいつも現実を歌わなくてはいけないと思っていて。僕の祖母とか親戚の中には戦争を経験してきた人たちがたくさんいて、その言葉を聞いて育ってきました。僕は現実と目に見えないものを結ぶ架け橋がロックだと思ってやっています。そうした時に、自分の中に祖母とか、他の女性とかそういう人がいて。その人のことを唄ったりもしています。最後に聴いてもらうのは、大好きな2枚目のアルバムに入っている曲で、マリーさんという女性の歌です。再集結してからは、初めて演奏します。



23. シルクスカーフに帽子のマダム
そう、このライヴは”SECOND CRY”から始まった。それをこの曲で閉じたのだ。
なんて残酷で美しい、鮮やかで円環なのだろう。

ここまで23曲唄ってきた吉井和哉だが、一つ呼吸を整えて唄い出した瞬間にまた違う表情を見せる。
様々な表情を見せた曲たち、それだけでも多彩なヴォーカルを見せてきた。MCを受けてということもあるが、その瞬間まさにマリーが吉井和哉という身体を通して言葉を伝えているように感じたのだ。


魔の海を越えて異国の空の下で死んだ恋人を想い、フランス行きの船へ乗るマリー。

「Good bye」と別れを告げて。





アンコールへ。


ロビン:年末ということで、これをやらないわけにはいきません。今夜は長丁場です。いつものように1人ずつやると朝になってしまいます。なので、皆一緒に唄いたいと思います。


24. おそそブギウギ
さっきまでマリーの言葉を切々と唄っていたとは思えなくなるが、だからこそアンコールらしい。
それと、2019〜2020年への期間はとにかく年末年始感がなかったのだけど、思い返すとやはり最もこれが年末感を一番感じた瞬間だ。


25. アバンギャルドで行こうよ
これだけの曲数を超えてなお、歌も演奏も、跳ね返すレスポンスも衰えない。
「アバンギャルド」という言葉はもはや死語に近いが、2019年年末にこんな誇らしい気持ちで受け止められるなんて。

跳ねるようなリズムとともに、終わらないお祭り騒ぎを奏でる。アンコールになるとライヴの終わりが見えてしまうが、だからこそ心残りないように燃え尽きようと意志が働くのかもしれない。



26. バラ色の日々
27. ALRIGHT
再集結してからのライヴで特に重要な2曲。今回は最初の語りがなくなり、そのまま演奏に突入した”バラ色の日々”。

「雨の中を」「幾つもの星が流れていた」という歌詞たちは思えば、ここまでの曲たちを思い出すようなフレーズでもある。
そして、最後に問いかけられるのが。


ARE YOU A BELIEVER?


僕は浅いファンなので、それを語る資格はない。
けれど大好きなミュージシャンの20周年を見届けた。だから、30周年を迎えたこの瞬間の尊さは全部ではなくともわかるつもりだ。

それでも、一度は活動の足を止め、解散を乗り越えたファンたちの気持ちは、計り知れない。
この場にいる多くのファンたちが、それぞれの日々を乗り越えて、信じていたからこそ迎えた30周年なのだ。

そんな気持ちを突き抜けるような“ALRIGHT”のイントロが切り裂く。
ライヴ前にも何度か話していたのだが、再集結の時に見た“ALRIGHT”の歌詞は少しストレートすぎるように思えていたが、ライヴで演奏されるたびに大きな存在になっていく。特に2017年の東京ドーム公演「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017」の”ALRIGHT”でそれを強く感じた。


何よりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ
命はいつか絶えるだろう だけど 最高の出会いが
月日は流れて 力を集めて
ひとつに集めて


「奇跡」という言葉はとても綺麗な響きだけれど、奇跡を奇跡と思える心は、決して生易しいものではない。
絶望の中で一筋射し込む光こそが奇跡であり、それは信じていたからこそ訪れる、とは限らないのだ。

むしろ奇跡など願っても起きないことが当たり前で、だからこそ奇跡は「奇跡」なのだ。

全てを越え、今この瞬間がある。


28. 悲しきASIAN BOY
28曲という大ボリュームのライヴの最後は、やはりこれ。

大きくスクリーンに掲げられる「THE YELLOW MONKEY」の文字。
センターステージへの花道に飛び散る金の紙吹雪。

もう言うことない。

解散を乗り越え、蛹からより強固となった絆とともに生まれ変わったTHE YELLOW MONKEY。
何より、仲の良さそうなメンバーたちの姿が何度も見られて、こんな30周年の舞台が待っているとは、何人が願っていたのだろう。

それにしても挨拶の時の、

ロビン:アニー、センターステージと3往復!

に笑ってしまった。


遠征した名古屋という場所で、この瞬間に立ち会えたことが、とても嬉しい。

この記憶は決して指から零れ落ちることのない、バラ色の中の記憶となるだろう。


そして最後に未発表であり、バンドが再集結時に制作された”未来は見ないで”が流れた。

ライヴ中何度か触れた未知という未来を唄う。
どこか甘酸っぱささえ感じる、切ないミディアムナンバーは、夜の名古屋を歩く心にいつまでも灯り続けた。


【セットリスト】
01.SECOND CRY
02.ROCK STAR
03.SPARK
04.Balloon Balloon
05.A HENな飴玉
06.追憶のマーメイド
07.球根
08.This Is For You
09.LOVERS ON BACKSTREET
10.Foxy Blue Love
11.SLEEPLESS IMAGINATION
12.I don’t know
13.BURN
14.LOVE LOVE SHOW
15.JAM
16.DANDAN
17.パンチドランカー
18.天道虫
19.”I”
20.SUCK OF LIFE
21.Horizon
22.Father
23.シルクスカーフに帽子のマダム

EN-1.おそそブギウギ
EN-2.アバンギャルドで行こうよ
EN-3.バラ色の日々
EN-4.ALRIGHT
EN-5.悲しきASIAN BOY


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