2024年1月15日月曜日

【完全ネタバレ】19thツアー「PG wasn't built in a day」 ポートメッセなごやDay 1+セットリスト








※本記事はポルノグラフィティ19thライヴサーキット「PG wasn't built in a day」のネタバレを含みます。これから参戦される方はご注意ください



ポルノグラフィティ19回目のツアーが始まった。

今年はデビュー25周年の節目にあたるので、このツアーを皮切りに、9月に向けて色々なことが仕掛けられるだろう。
というか、後述するけど最近公式が先手で仕掛けてくるので、本当に油断ならない。

そんなツアー初日を見届けたので、ここに記録を残すこととする。

本当に、初日終わった夜に最高の気持ちでホテルの大浴場でホカって、部屋で部屋着にビール片手に、なんで僕はキーボードを打っているのだろう。MacBookなんて買うんじゃなかった。
※好きでやってます

ということで、ツアーは始まったばかり、完全なネタバレもあるのでこれから参戦の方はすぐに引き返すように。


※改めてネタバレ注意+SNSでの取り扱いにご注意ください





ツアー初日、12時のグッズ販売を待ち構えたように名古屋では雨が降り始めた。
ちなみに一方の僕は名古屋駅の昼飲みできるお店で飲んだくれていた。お刺身美味しくて昼から日本酒飲んじゃった。

駅周辺からすでにポルノファンを結構見かけて、久しぶりのツアーということで、各地から集まってきているのだなと実感する。

ホテルにチェックインして荷物を預け、会場へは16時過ぎに到着した。

前回はホールツアーだったので、久々にアリーナツアー規模のポルノファンの"圧"を体感した。

ポートメッセなごやは初めて行った会場だったけど、海沿いということもあって海風が吹き荒れてとても冷える。


今回は17thライヴサーキットの「UNFADED」と同じく、入場時に座席がわかる仕組みである。
この手法当日までドキドキできるし、みんな席が気になって入場が早まるので、やっぱり有りだと思う。

そして引いた座席は「ブリージア」と書かれていた。なんだ?イエモンの曲か?
結果的にスタンド席のことで、まぁまぁ後ろの端の方の席であった。いつものことである。

ステージは大きなスクリーンと、センターには花道が設けられている。
ロマポルではよくあるけど、アリーナツアーでセンターステージってそんなに多くなかった気がする。

今回は久しぶりに常軌を逸したナビゲートキャラ「真実のクチ所長」が爆誕したので、開演前の客いじりも復活した。
ただ、僕はトイレお花を摘みに行っていたこともあり、ちゃんと見られなかったのが残念。さいたままで楽しみにとっておく。

開演時間の5分前くらいから手拍子が巻き起こり、みんな息が荒くなっている。

もちろん僕も平静なフリをしてるけど、内心は心臓はバクバクしているし、なんか血の気が引いてくるし、ゾクゾクソワソワが止まらないしで、いつもの幸せな焦燥感に浸っていた。

ほぼ定刻で暗転。

スクリーンにはコロッセオのような壁が映し出され、ファンファーレが鳴り響く。
サポートメンバーが板付き、スクリーン中央の柵の門が開くと中央から新藤晴一、岡野昭仁が登場。

ファンファーレはいつしかお馴染みのメロディとなり、その音色にざわつく場内はすぐに一体感を持って叫ぶ。

Fu-Fu-

センター花道を悠々と歩くメンバー2人に、その声がしっかりと響いていく。

ボルテージはもう、マックスを振り切っている。


1. Century Lovers

そのままイントロが流れて曲へ。
いきなり銀テープが舞う。当然ブリージア後方の僕には届かなかった。

新藤晴一はレスポールカスタム。相変わらず3PUがめちゃくちゃカッコイイ。

ライヴ定番曲ではあるけど、こうして1曲目にくるのとても新鮮。
フロアとか男女別の煽りは入らず、曲をそのまま演奏するスタイルだった。

緊張さえも巻き込んで、一気にポルノグラフィティに引き込まれる。一発目からこれで、もはやペース配分がわからない。

ステージメンバーも久しぶりに浴びた「Fu-Fu-」に、とても嬉しそうな顔をしていた。さすがポルノグラフィティ唯一のパーティチューン。


SEで「Fu-Fu-」が響くなか、叩かれたドラムの音色に場内から悲鳴に近い歓声が上がる。


2. テーマソング

冒頭ではスクリーンに歌詞が出て、岡野昭仁が観客を歌わせる。

ほら 見上げれば空があって 泣きたくなるほどの青空
ほら 雲のようなスニーカーで 高く高く登ってゆけ

「やっと歌えたよ!」という岡野昭仁の声が追い打ちをかける。もう、ここで涙腺がやられてしまって。

正直絶対やると思ってたし、声出しが解禁になってから初めての"テーマソング"で感動しない訳がないというのも分かっていたけど、とにかく泣けてしまった。

自分は全然歌えない人間なんだけど(だからギター趣味してる)、それでも歌わずにいられなかった。どんなに下手でも、この声の一つになれる喜びが勝ったから。

コロナ禍というものが、それだけ辛く、長くて暗いトンネルだったのだ。
まだ感染者の方もいるので克服したとはとても言えないが、それでも僕らは少しずつ日常を取り戻してきた。

その一歩一歩が、今日に繋がったのだ。
これまで聴いてきた"テーマソング"が、遂にここに完成したのだ。


続いても岡野昭仁のコール&レスポンス。


3. キング&クイーン

2019年の東京ドームでも披露されたけど、自分としては「BUTTERFLY EFFECT」ツアー本編最後の曲という印象が強い。
それぞれホールとドームだけど、今回でアリーナクラスのライヴにとても合うなって思えた。

泣きたくなるほどの青空を、どこまでも真っ直ぐな思いが突き抜けていく。
まさに「塞ぎ込んだ空気」を振り払うように。

ちなみにギターは前曲のヴィンテージのテレキャスターから、またレスポールカスタムに持ち替えていた。

ちなみに僕は曲前のコール&レスポンスで、直前の"テーマソング"で頭がバグってたのか、「"メジャー"か?」とトンチンカンな間違えをしていたのを白状しておく。全然違うのにな。



4. Mugen

もうここまで来ると否応なしに「観客に声を出させる」ブロックなんだと悟る。
みんなこれでもかと声を張り上げるけど、1番喉を酷使しているのは他ならぬ岡野昭仁である。なんでこのペースで喉平気なのこの人。
4曲目にしてクラマックスのような盛り上がり。

感慨すら飲み込んで、観客はただ一心に酔っていく。あぁそうだ、これがポルノグラフィティのライヴなのだ。


MC

昭仁:どうもこんばんは! 名古屋盛り上がってますか!
2024年、明けました! 今年もよろしく!
わしらがポルノグラフィティじゃ!

昭仁:19thライヴサーキット「PG wasn't built in a day」へようこそ。今日が初日です!
初日なんですけど、ごめんね。なんで雨が降るんだろう? 今は晴れてますけど、帰り降ってたら、ごめんね。
さぁさぁ、初日にしてこの空気。この空気のままいければ、このツアーはきっとうまく行きます!
ギター新藤晴一!

晴一:私事ですが
昭仁:おぅ?
晴一:今日はじめて、コンタクトでライヴに臨んでいて。
すごいゴロゴロするのね。50(歳)近くで目に異物を入れてライヴするのは……
でも今までなんとなく見えていた、一応「後ろまでぼやっと見えてるよ」って言ってたよりも、もうちょっと見えるようになりました。今日はみんなのツアー初日で、僕らのツアー初日で、そして僕のコンタクト初日でもあります。
とにかく、最後までよろしくお願いします。


昭仁:さぁここまで4曲やったわけなんですけど、この4年半コロナもあって声が出せない状況が続いてました。しかし、ようやく解禁になって皆さん思う存分声が出せるようになりました。ぜひでっかい声で歌ってください。君たちが頑張って耐えてきたからこそ、今に繋がっているんですよ。
でも、中には初めてだしとか、もっと静かに……静止して聴きたいという人もいると思います。それでも良いんです。大切なのは、ここにいる全員が楽しむということです。思い思いの方法で楽しんでください。

昭仁:2024年明けたわけですけど、早々に大変な出来事が元旦にありました。能登半島で大きな地震があり、被災された方に改めてお見舞い申し上げます。
ここにいる方達の中にも、知り合いが被災したとか、友達が被災したとか、もしかしたらご自身が被災されたという方もいるかもしれません。
そういう時に僕らエンターテイメントに携わる人間ができることは限られていて。皆さんに今日という日を楽しんでもらうことしかできません。そうして蓄えた力で、帰ってから被災地の方へエールを届けていただければと思います。
だから今日は存分に楽しんで帰ってください。
そのために、大いにセレブレーションしましょう。
次の曲を聴いてください、"REUNION"。


5. REUNION

会場にどよめきが巻き起こる。そうきたか。
「セレブレーション」ってフェイク前振りやめい。ビックリしちゃう。

やってほしいと思っていた反面、多分やらないだろうなと考えていたので、タイトルが告げられた瞬間、崩れ落ちそうになった。

コロナ禍におけるポルノグラフィティ初のライヴとなったライヴのために書き下ろされた楽曲。
その"再会"がようやく果たされたのだ。

にしても、この曲ってカップリング扱いなのが意味がわからないくらい、マジでカッコイイな。



6. 俺たちのセレブレーション

と思ったらちゃんとやるんかい。ビックリしちゃう。
正直なところ音源だとそこまでなんだけど、ライヴで聴くとこの曲やっぱりめちゃくちゃ楽しいんだよな。元々「見んさい」の曲だからか?

この曲のクランチなギターサウンドが好きなんですよ。聴いててとても気持ちいい。

サビ途中の腕を振るところ、いつもリズムの表で合わせるか、裏で合わせるかで迷う(基本は裏にしてる)。

この曲か次の曲か忘れてしまったんだけど、スクリーンに過去のライヴ映像がパッチワークで流れていてとてもいい演出だった。


7. アニマロッサ

イントロで横の男二人組が、聴きたいけどやると思ってなかったのか、「おぉ」「まさか」と小さく溢していた。良かったね。俺も嬉しい。

前回は2018年にしまなみの雨空の下で聴いたけど、改めて見ると屋内でバキバキに照明を効かせた方が映える曲だなとも思った。

ギターソロのところが山口寛雄→皆川真人→新藤晴一というリレーでソロをやるアレンジになっていて凄く良かった。


続いて八拍子のクラップから岡野昭仁が、山口寛雄の名を叫ぶ。そして鳴ったベースイントロに、歓喜の雄叫びが舞い飛ぶ。


8. メリッサ

本当にいつ聴いても会場の空気を一瞬で掻っ攫う強さがある。
ここまでシングルが多めでありながら、一般的な知名度ではマイナー気味なシングルが多かったので、反応がさらに大きくなったように感じた。

ライヴレポだと「めっちゃ楽しい」っていつも流し気味に書いてしまうんだけど、今回はこの後の展開もあって、ちょっと狙った選曲なのかなと思えた。
ちなみに書き忘れたけど"Mugen"も同様。


MC

昭仁:さぁ、最初でも行きましたが、ステージの真ん中には道があります。これは「PG wasn't built in a day」ということで、これまで僕らが歩んできた道を表しています。
ここから数曲は真ん中で演奏したいと思います。セッティングお願いします。
※真ん中でスタッフが楽器などのセッティングを始める

昭仁:そちら(スタッフ)ではなく、こちらのおじさんたちを見ててくださいね。

晴一:みるみるマイクとかセットされてく。プロの技じゃね
昭仁:プロの技ですね
晴一:ケーブルも全然絡まんし、うちのPS5なんて酷いことになってんのに。プロじゃね。
昭仁:プロじゃね

昭仁:間を埋めなきゃいけないわけですけど。お正月なにしてました?
晴一:お正月、因島に帰ってましたよ。君もでしょ?
昭仁:そうじゃね。ワシも因島に帰ってました。
晴一:会ってはないよ?
昭仁:会ってはないですね。新藤とは高校からの友人なんじゃけど、ワシは今回は小中学校の友人たちと会うだけでした
晴一:知り合いから連絡きたもん「あっきんも帰ってきてるみたいよ」って
昭仁:知り合いって誰よ?
晴一:○※くん。なんか、居酒屋で一緒に写真撮ったでしょ? それが送られてきた
昭仁:あぁ、あれか!

昭仁:ワシはその友人たちとサッカーをして、飲みに行っていたわけですけど。
聞いてください。サッカーでは50歳手前にして2ゴール1アシスト1メガネという成績でした
晴一:メガネ?
昭仁:その、人数が足らんくて。急遽ギター……ギターじゃないわ、キーパーをやってくれたのが初心者だったんよ。そいつの顔に当ててしまってメガネが割れてしまいました、という話でした
※キーパーとギター間違えたところスゲー笑った

昭仁:まぁとても楽しいお正月でしたよ。眼鏡割れたやつは、そうでもなかったかもしれないけど

割った張本人が、これである。


晴一:そうしているうちに準備できたみたいだね
昭仁:そうみたいですね。じゃあ、みんな行きましょう!

センターステージにはアコースティック編成のセッティングが完了している。

昭仁:久しぶりのライヴということで、ペース配分が全然わからんくなってます。
さぁ、少し近くには来たけど、それでも後ろの方は遠いですね。それでも楽しんでくれれば、その熱が前の方に波状に伝わってくると思いますので、頑張って楽しんでください。
では、みんな準備はいいですか?
まず聴いてもらうのは"Sheep 〜song of teenage love soldier〜"です。


9. Sheep 〜song of teenage love soldier〜

人気あるレア曲だけに、曲名が告げられた瞬間から大歓声。

アコースティック編成だとまた曲が違って聴こえる。原曲のフレンチポップ感よりもさらに等身大な印象が強い感覚になっていたと思う。

甘く優しいサウンドが会場に溶けてゆく。


昭仁:"Sheep~"を聴いていただきました。この50手前のおっさんが、ティーンエイジャーの気持ちを歌うというのはどうかと思うのですが。この曲を書いた30歳くらいの時よりどうかと思いましたが、それでもこうして歌えることが、音楽の素晴らしいところです。


むしろ、最近の岡野昭仁の歌の表現力の青天井さからしたら、今のポルノグラフィティの奏でるティーンの歌が過去以上に瑞々しく聴こえるんだけど。なんで。


昭仁:さて、続いて聞いてもらうのは、"ジョバイロ"です。


10. ジョバイロ

冒頭は岡野昭仁のアカペラの歌声。
新藤晴一のガットギターと、tasukuの小気味いいアコギのカッティングが心地良い。

この曲をあえてセンターステージで演奏することによって「舞台の真ん中に躍り出るほどの、役どころじゃないと自分がわかっている」という歌詞が際立っていた。

MVでもあるけど、センターステージの光景が、主人公の願いを投影した幻影でもあったかのような、そんな錯覚。

サビ以外はみんな控えめに手拍子していたけど、サビになると流石にみんな身体が無条件に動くらしく、バッチリの揃い方。たぶん3割くらいの人は本能で叩いてる。


暗転し、スクリーンには映像が流れる。

映像はたんぽぽの花と、その下で雨宿りするバッタのアニメーションが映し出される。
この映像とバックで鳴っているサウンドから、次の曲の想像がつくが、まさかここでやるのかという驚きで頭の理解を受け付けてくれなかった。
そして遂にピアノのイントロが流れる。


11, フラワー

しばらく演奏しなそうなシングル枠かと思っていたのでビックリした。意外な選曲だけでいえば、今回かなり上位の曲だと思う。

今でも変わらず、演奏が始まるとグッと足を踏ん張ってしまう曲だ。
身体も心も、この曲の世界に引き摺り込まれる感覚。

あともう一つビックリしたのが、新藤晴一がこの曲を黒テレで弾いていたこと。
※ギターソロ含めてハムバッカーのギターのイメージが強い曲なので


ライヴ中盤のバラード枠は何かと自分にとって地雷原なんだけど、次の曲のイントロで身体が爆散した。

 

12. 夜間飛行


待て待て待て待て待て待て待て。

待て待て待て待て待て待て待て。


本気でイントロで崩れ落ちた。まさかやるなんて微塵も思ってなかった曲なので、闇討ちにも程がある。
マジで心臓が萎縮したのを感じて、そのまま止まってしまうかと思えるレベルだった。



スクリーンには滑走を模した映像や、美しい空撮の夜景映像が流れている。

そういえば岡野昭仁の歌が、サビの後半のフレーズで歌い方を少しだけ変えていたのが印象的だった。ちょっとだけ言葉を前のめりにさせるような歌い方。こういうアレンジもまた……美しい……

ここばかりはどうしても平静でいられなかった。
ありがとうポルノグラフィティ、一生大好き。


岡野昭仁が一度ステージからはけ、残ったメンバーで即興演奏の時間へ。

新藤晴一はボコーダー(NaNaNaのあれ)を使っていたのが印象的。
いつものごとくインスト曲を言葉にできない人なので解説めいたことはできないけど。所謂ロックっぽい部分もありつつ、時折ボコーダーの効果がシティポップっぽい雰囲気もあったりして、楽しいインプロだったな。


13. オレ、天使

お着替えした岡野昭仁は背中に天使の羽を背負っていた。
攻撃的な赤い照明が印象的だった。

「UNFADED」のオープニングでも印象的だったけど、改めて強く心に訴えかけてくる曲だ。

後付け論的にもなるけど、この後の流れを知ってからここに"オレ、天使"があることを考えると、一気に色々なことが繋がる。そこは後述します。



14. 170828-29

イントロで驚いた。なんとなく立ち位置として、アルバムツアー以外であまりやらなくなりそうな枠の曲だと思っていたからだ。

ステージでは炎が交わるように飛び交い、スクリーンには爆撃を受けて壊れる神殿などが映される。
赤いレーザー光線の照明が、さらに拍車をかける。

あの国のミサイルについての曲だけど、それだけでなく今も世界では血を血で洗うような紛争が続いている。

そんな悲惨な光景が、現地の人々の写真や動画で世界に伝わっている。

ここは誰が望んだ世界か?

そんな情勢下で聴くと「BUTTERFLY EFFECT」ツアーよりさらに、生々しく残酷にこのメッセージが響く。

僕らができることなど、ほとんどない。∠RECEIVERとして受け入れるだけでも辛く哀しい現実。

それでも僕らは1人ひとりの力で、この手でピースサインを掲げる。



15. アビが鳴く

あぁ、この流れで来るか……
ポルノグラフィティ、怖ぇ……

スクリーンには歌詞がスクロール式に表示されていた。

花道には赤い照明があって。漠然と自分の中で"アビが鳴く"って青のイメージが強かったんだけど、ちょっと意外だった。でも、改めて振り切るとあの赤い照明は血脈のようでもあったなって。

受け継がれてきた願い、そして祈り。繰り返されるもの。

正直"170828-29"がなんで選曲されたんだろう? って演奏中は不思議に思っていたんだけど、このイントロが流れた瞬間に"オレ、天使"からの流れ全てが繋がった。そしてその前に"フラワー"があることの意味も。

"夜間飛行"はわからないけど、とりあえず俺を殺すために入れたんじゃないかな。

新藤晴一が書いた命と平和の曲、その中には人間の愚かさが含まれている。その円環構造の中で、それでも変わらない祈りがある。そこに咲いた命のために。


これだけでもかなりやられていたのに、次の新藤晴一の言葉で更に追い打ちをかけられる。






晴一:新曲を。


こ、この状況で……新曲を???
最近はアンコールで新曲披露パターンが多かったので、ここも完全に油断してた。ロバート・マッコールかお前らは。


晴一:1995年?くらいからアマチュアバンドとしてやってきたんだけど。この活動してきた期間っていうのは日本の「失われた30年」ってのとピッタリ重なるの。
ここまで演奏してきた中にも「背中を押す」とか「明日」みたいなことを書いてきた曲もあるし、それが響けばいいんだけど。
けど、かといって今日を全部なかったことにして明日に希望を持つっていうのも違う気がして。今こうしているからこそ、何か少しでもいいことがあればと思っていますし、「明日」とか「ここじゃないどこか」だけじゃなくても良いんじゃないかという曲をつくって来ました。曲名は"解放区"と言います。

※曲で記憶が飛んだので細かいニュアンスは違うと思うけど許して


16. 解放区

新曲ヤバい、どうしよう。好きなもんしか詰まってない。
もうやだ。今のポルノグラフィティの本気怖い。

出だしの歌詞一発からクリティカルでヒットマークしか出ない。
岡野昭仁の曲もまた良いし、特にサビのメロディライン好きだなぁ。

Cメロがとても印象的で、早くフルで聴き直したい。

自分が直球すぎる応援ソングが苦手というのは、しばしば書いてきた。そんな自分を優しく肯定してくれたのが、"ギフト"や"ブレス"における新藤晴一の言葉だった。

そんなメッセージソングとして、現時点での最高到達点にまでいったと思う。

何より「夜の国」って概念も最高だし、「夜が明ける」が常套句の応援ソングに「そのまま夜のままだっていいんだよ」っていうメッセージを持ってくるの、堪らなくない? 新藤晴一が描く夜部門が騒然となる曲がまた来てしまったよ。

25周年になろうとしてるのに、まだ僕はこの人の言葉に酔わされている。

しかしながらこれ以上歌詞を掘り出すと大変なことになるので、配信などされたら改めて掘りたい。
あと某所の有料文章を読んでいたこともあり、この曲の解像度が最初からめちゃくちゃ高かったんだよな。気になる方はハートランドを奢ってあげよう。

ライヴの流れでいくと、最後の方で「頭の上にあるクラウン」的な歌詞があったと思うんだけど、これって"キング&クイーン"の「我らはもうキング&クイーン」という歌詞と良い意味で対になっていると思う。

さらには"メリッサ"の「明日が来るはずの空」、"Mugen"の「今日の次にある明日を求めるから」まで繋がってくるのよ。怖い。

とりあえず公式がワンコーラス置いておいてくれてるけど、本当にフルが素晴らしいと思うので、早くフルで聞き直したい。




昭仁:さぁ名古屋、盛り上がってますか!
新曲"解放区"を聴いていただきました。この曲が皆さんに長く愛される曲になってもらえればと思います。
さぁ、名古屋まだまだいきますよ!準備はいいですか!

いや、僕もうHPないす。



17. 空想科学少年

イントロが長めにアレンジされていて、その間にメンバーはセンターの花道を歩いていた。

ここでもレーザーのような照明の効果がとても効いている。

結構ライヴの鉄板曲のイメージでありながら、すごく久しぶりな気がする。いや、でも最近聴いた気がするって。
調べてみたら2018年のアミューズフェス(未参戦)でやってたが、単独になると2011年のつま恋ロマンスポルノまで遡るようだ。

あれ、俺なんか幻影かなんか見てたか?

それはともかく、楽しい曲でありながら、このシニカルなテーマは、今の時代で更にメッセージ性が強まっていると思う。

そんな流れが次の曲で一気に変わる。


18. ミュージック・アワー

「こっからはテーマとか考えないでめちゃくちゃ盛り上がれ」をさせたらNo.1ソングだと思う。
有無言わさず、空気を全部染め上げてしまう。さぁ、お祭りの開幕だ。

外がどれだけ寒かろうと、一瞬で会場を真夏に沸騰させてくれる。

あぁ楽しいな。ライヴって本当に楽しいな。
緊張と緩和の狭間を一瞬で駆け抜け、ライヴは終盤に向けて怒涛の追い込みを見せてゆく。


19. アポロ

発射音に会場からまた一段と高い歓声が挙がる。

サビでは岡野昭仁が会場にマイクを向け「歌え!」と煽る。
以前のライヴでは突如振られてビックリした記憶があるけど。この時の僕は「絶対歌を振られる」と確信があったし、なんなら待ち望んでいた。

もうライヴが終盤に近づいていることを感じているからか、会場はまだまだ熱を増していく。この時間を少しでも記憶に焼きつけようとしているかのように。

"アポロ"について、一つすごく穿ったこじつけの考察が思い浮かんでしまう。

それは「BUTTERFLY EFFECT」のツアーで"170828-29"のイントロが、あえて"アポロ"に近いイントロにアレンジされていたことである。
たしか意図的に狙ってやったアレンジだったと思うんだけど、今回その2曲がセットリストに揃ったということで、それがとても意味深に思えた。

ミサイルとアポロの宇宙船の皮肉な対比でもあるから。そんな事をふと考えてしまった。


センターの花道で岡野昭仁にスポットライトが当たり1人歌い出す。


20. サウダージ

まだまだ水を入れれば沸騰してしまいそうなほどの熱が、ステージから僕らを焦がしてゆく。

アリーナツアーだからこそ、可能な限り誰も置いていかない、そんな決意を込めた"サウダージ"だったと思う。

個人的に1番熱量が高かった"サウダージ"は、2009年の東京ドームだったんだけど、それに負けないくらいの熱だったと思う。
思えばあれも本編ラスト前の演奏だったな。


昭仁:ありがとうございます。名古屋ここまで盛り上がっていますか?
ここまで沢山大きな声を出して、痛くなるくらい手を叩いたと思います。でも最後にもう一度、皆で大きな声で歌って一つになりましょう。最後の曲です。

※この辺のMCが1番記憶が怪しい


21. オー!リバル

いつもの癖ですが新藤晴一がガットギター持ってるし、tasukuがエレキだったので"オー!リバル"だなとMC中からぼんやり考えていた。
それでもイントロが鳴らされると「はあぁん」みたいな声が出てしまう。

もう振り続けてきた右腕がすっごく痛いんだけど、それでも心が腕を動かし続ける。
ここだけユートピアの機械の身体くれませんか。

この4年半を埋めるように、声を絞り出す。
もっと、もっと大きな声を。

このライヴを通して「人の声ってこんな力になるんだ」と考えていた。

1人ひとりの声は限られているのに、それが集まるとこんな広い会場に響く声になる。

それはただ大きな声を出しているからではない。この場所で、想いを一つにして声を出しているからだ。この声は、想いの大きさでもある。

このツアーはそれを確認するためのツアーだったんだなって思った。


アンコール

ポルノグラフィティの2人がステージへ。
2人ともアコギを構える。

昭仁:アンコールありがとうございます。
デッカイ声で叫びよった? そういえばあのボイスストラップも使ってもええんよ? 活用して自由に楽しんでください。

昭仁:さて、アンコールですが、2人で演奏してみたいと思います。必死に演奏して歌いますので、皆さんもタオルを回したり、叫んでみたり自由に楽しんでください。
アコースティックで音が少ないので、君たちのその盛り上がりがよりリアルに伝わるんじゃないかという試みです。
聴いてもらうのは"ハネウマライダー"。


22. ハネウマライダー

アコースティックな"ハネウマライダー"は過去にも何度か経験あるけど、またそれとも違った印象を受けた。

たぶんアコースティックながら、かなりアグレッシヴな演奏だったからだと思うんだけど、ちょっと言語化できない。

"解放区"を聴いた今だからこそ「明日の忘れ物は今日にある」というメッセージが、より強く響く。

最近、記事を書くたびにマンガ『ジャンケットバンク』の話題を持ち出して申し訳ないが、とあるキャラのセリフで。

今は未来から見た過去じゃない

というものがあるんだけど、まさにそんな感じ。

今を諦めてしまうこともできる。しかし、漠然と期待する"未来"も、いつか"今"となってしまう。


メンバー紹介

昭仁:ここでワシらを強力に支えてくれるサポートメンバーを呼び込みましょう。

玉田豊夢→山口寛雄→皆川真人→tasukuの順番でステージに呼び込まれる。


昭仁:さて、残った2人がポルノグラフィティという訳なんですけど。久しぶりですね、まずはギタリストの名を呼んであげてください!onギター!
観客:晴一!
昭仁:このやり方で合ってたよね? 大丈夫だよね?

晴一:ありがとう。一昨日ここでゲネプロやってね。ゲネプロって本番と同じようにステージ組んで照明もつけて、頭から演奏するやつがあるの。
そこでスタッフに言われたんだけどさ。「晴一さん、お正月感ありますね」て
昭仁:お正月感?
晴一:お腹周りがちょっと……って意味で。そりゃ少しはあれかもしれないけど……厳しくない?ポルノグラフィティ。
昭仁:そりゃ……しょうがないです
晴一:えー厳しくない?
昭仁:しょうがないです。餅は太りますしね
晴一:なんて?
昭仁:餅ですよ
晴一:あー餅ね
昭仁:餅です。ライス……ねちゃねちゃ

今日からお餅は英語で「rice cake」ではなく「ライスねちゃねちゃ」と呼びましょう。
このくだり、今年1番笑った。


晴一:それはそうとして。まぁこれからも続けていきますし、次に会うときにはもう少し、シュッとした姿になれたらと思います。今日はありがとう!

この後はいつもの流れで岡野〜昭仁く〜ん紹介。


昭仁:ありがとうございます。
えー「PG wasn't built in a day」ということで、今まで歴史を振り返ってきたんですけど。
例えが、ピラミッドになってしまうけど、ピラミッドみたいな大きいものがあるとして。
それは大きな石を1つひとつ、人の力で引っ張って下に木を敷いてテコで転がるようにして、一所懸命に築きあげたって言うよね。
ポルノグラフィティでいうと、僕らはそれを監督するというか、「ここに運んで」とか指示するような役割でいるようなつもりでいたんです。
けど、実際は違って、僕らもみんなと同じように、石を引っ張って運んでいたんだなということに気づきました。
そうしていたのは、皆で協力して「良い景色が見たい」とかそういう想いでつくり上げてきたんだと思います。
僕ら2人だけだと考えが凝り固まったりしてしまうんだけど、そういう時に君たちの声があって、どうすればいいか見えてくるんです。
これからも皆と一緒に良い景色が見られるように、頑張っていきますのでよろしくお願いします。

※この辺りも記憶が定かでないので、要訳の意訳みたいになってしまったけど、伝えたいニュアンスは書けてると思う


昭仁:ではここで、アナウンスがあったかと思いますが。初めての試みとして、撮影OKにしてみたいと思います。お手持ちのスマホなどご準備ください。勿体ぶってようやくかい!って感じだと思いますが。
ヘッドストラップも使ってくださいね。……誰も使っとらんじゃないか。

昭仁:さぁ準備は大丈夫でしょうか。撮影してもいいですけど、ちゃんと盛り上がってくださいね? 最後の曲ですので。名古屋、ラスト1曲盛り上がる準備はできてますか?
では行ってみましょう! ラスト1曲"ジレンマ"!


23. ジレンマ

自分も一応動画撮りながらやってみたけど、撮りながら盛り上がるのすごく難しい。
特にラスト1曲目で思い残しがないようにする場面だと、完全燃焼しきれない部分もあったかなと思う。これはこれで面白い試みだと思うけど。

周りも撮りたい気持ちと盛り上がりたい気持ちのせめぎ合いで困惑した雰囲気だった。
ヘッドストラップも結局ヘルメット被るかどうかの議論があったので、ちょっと難しいところだしね。

それでもやっぱりみんな思い残すことがないように、それぞれのやり方で盛り上がってたと思う。

ちなみに皆川真人はソロ回しの時に"まほろば◯△"をイントロフレーズをさらっと弾いていた。

色々書いたけど、結局どうやったって「ライヴ終わるの寂しい」しか感情が残らないんだけどね。
それでも、いつもの「自信持っていけ」「胸張っていけ」に心を貫かれ、今この瞬間を生きている喜びを噛みしめる。

生声
晴一:ツアーに、行ってきます
昭仁:今日はありがとう! みんな次に会うときまで元気でね!


こうして19回目のツアー初日が終わった。

駅のキャパの関係で規制退場の待ち時間が結構あったので、これに書いてきたレポのメモ書きを書き殴ったり、TLを見ていたんだけど。

そうしたら突然"解放区"がシングル発売されることが発表されてマジでビビった。そういうパターン、あるんだ……周りすごいザワツイてた。

そう考えると多少無理しても何とかツアー初日の、あの瞬間に立ち会えて行けて良かったなと思えた。
ていうかシングルに「第一弾」って書いてあるのが、1番怖いんだけど。弾が一発でも当たりどころが悪いと人って死んじゃうんだよ……?


"道"とは「道路」の意味もあるし、「道理」とかそういう意味も持つ。

岡野昭仁は謙遜するけど、この2人が歩いてきた道だからこそ、ここは僕らの道にもなったのだ。

自分の人生を顧みても、その道のあちこちにポルノグラフィティがいた。

ポルノグラフィティがいた一日一日が積み重なって、今の僕がいる。

今この瞬間のためだからこそ、ライヴは「LIVE」と書くのではないだろうか。

翌日の名古屋の空はどこまでも澄み切って晴れ渡っていた。

そんな空の下、新しい一歩をまた歩き出す。

雲のような白いスニーカーではないけど、一緒に歩んできた古びたスニーカーと共に。


【セットリスト】
01. Century Lovers
02. テーマソング
03. キング&クイーン
04. Mugen
05. REUNION
06. 俺たちのセレブレーション
07. アニマロッサ
08. メリッサ
09. Sheep 〜song of teenage love soldier〜
10, ジョバイロ
11. フラワー
12. 夜間飛行
13. オレ、天使
14. 170828-29
15, アビが鳴く
16. 解放区(新曲)
17. 空想科学少年
18. ミュージック・アワー
19. アポロ
20. サウダージ
21. オー!リバル

EN-1. ハネウマライダー
EN-2. ジレンマ

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夜間飛行 歌詞解釈〜「偶然は愛のようにひとを束縛する」




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