25周年としてキャリアを総括しつつ、新たなポルノグラフィティを示す、とてつもないツアーであった。
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
        
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
    
  
  
    
      
      
      
      
      
      
    
  
  
  
        
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
        
        
  
  
  
ポルノグラフィティ20周年→25周年を振り返る
  
新藤晴一の距離感と生きていく
「ポルノグラフィティがどんな曲を出してもついて行きますか?」
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そのツアーの中で岡野昭仁はこう語った。
  「これまでのキャリアを振り返ると、順風満帆でした」
  
    この言葉について、改めて一つ思い出したことがあったので、ここに記録として残しておきたい。
  
  順風満帆
このMCについて、改めて当時の自分のライヴレポから言葉を引用しよう。
  昭仁:25年やってきて、よくインタビューでも「活動を続けてきて」みたいに聞かれるんです。
そこで「紆余曲折がありました」とか「山あり谷ありでした」とか言えたら良かったじゃけど。
思い返すとね……「順風満帆」だったんです。
もちろん細かいところでは山あり谷ありもありましたが、全体を見れば順風満帆だったなって。
それがなんでかって言ったら、やっばり君たちなんよ。僕ら2人だけだと、進む道が半透明みたいになって、どこを進んだらいいか、こっちの道でいいか迷うことがあるんです。
その時、君たちが「行け!」とか声を届けてくれるんです。だから僕らは進んでいけるんです。
    ファンにとって、この25年間でポルノグラフィティがくれた喜びは大きいものだ。
  
  
    この「君たちが進む道を示してくれた」という旨の言葉は、特に20周年前後辺りからよく言われているので、頷くファンも多いことと思う。
  
  このことは僕も当時、色々と書いていた。
  
    同時に、このMCの「順風満帆」という言葉にとても引っかかりも覚えていた。
  
  
    それは、やっぱりファンだからこそ、様々な紆余曲折を経験してきているからだ。
  
  ちょっと古参ファンぶった言い方になってしまうのはご容赦いただきたい。
  
    でも、たとえ最近ファンになった方であっても、これからのポルノグラフィティのキャリアを見ていくうえで思うことにもなるかもしれない。
  
  まったく、面倒なファン心理である。
  
    僕は音楽が好きなので、本当に多くのミュージシャンを見てきた。
そのいくつかには「喪失」という言葉がつきまとうし、中には「末路」と呼べるものも少なからず付きまとう。
  
  
    そう思えばポルノグラフィティのファンでいることは、本当に幸せだったと思う。
  
  
    ある程度定期的に作品リリースをしてくれて、コンスタントにライヴもしてくれて、決して懐メロバンドにとどまらない姿勢を見せつけてくれる。
  
  「昔聴いてたよ」という言葉も相変わらず聞くけど、それでもポルノグラフィティに対して多くの人が好意的に捉えてくれているのは有り難い。
  
ただ、これだけ多くの作品をリリースしているからこそ、決して順風満帆だったかと言われると、考え込んでしまう。
  
    これは僕の過剰な自意識の問題だが、決して手放しに嬉しくてファンとして人に勧めたいような曲でなかったものも、自分にはある。
  
  もとより全人類が納得できる曲はないことはわかってる。
  けど、ファンとしてもどかしいと思っていた時期も、正直ある。
それでも色々なことを受け止めて、ファンを続けてきた。
  
    だから、「UNFADED」ツアーだったかな、MCで「運命共同体」と言われた時に、すごく腑に落ちたのを覚えてる。
  
  
    それを踏まえてからの、ここ最近のポルノグラフィティの躍進の凄まじさは言うまでもない。
  
人に押し付けるほどオススメしまくっている。
最近のポルノグラフィティはヤバいぞって。
  
  まぁ、そんな経緯があって。
  
    で、ようやく本題になるんだけど、この「順風満帆」という言葉に受けた引っかかり。
  
  
    これは、もしかしたら自分が感じていた紆余曲折とは全く別だったのかもしれない。
  
それでも、ある時にふと、前に聞いたある言葉と繋がったのだ。
素っ頓狂
10数年前のある日、夜中に突然幼馴染から電話が入った。そこで言われたのは「最近どうだ?仕事は大変じゃないか?」という言葉。それに対して岡野昭仁は「大変なこともあるけど、好きなことをしているから、楽しいよ」と答えたそうだ。
実はその幼馴染は仕事で深夜まで働いて帰る途中に、車を停めて電話してきたそうだ。
落ち込んだ気持ちのまま、妻と子どもが寝ている家へ帰れない心境になっていた。そこで岡野昭仁に「仕事大変だよ」と言ってもらいたくて、2人で慰め合うようなつもりで電話したという。
しかし岡野昭仁は天然さから、素っ頓狂(本人談)に「楽しいよ」と言ってしまった。しかし、その友人はその言葉で「アイツのように俺も仕事を好きになれるくらい頑張ってみよう」と逆に気持ちがスッキリしたという。
それは2019年の秋。
  故郷の因島からの生中継。
  そこで岡野昭仁は"そらいろ"の演奏前にこんなエピソードを披露した。
  
    なんとなく「ワズビル」ツアーで聞いた「順風満帆」という言葉が、ここで幼馴染が「楽しいよ」と言われたときと似た気持ちだったんじゃないかなって思えたのだ。
  
  
    なんとなく文脈から「色々あって大変でしたけど──」的な流れを想像したので、「順風満帆でした」って言われて面喰らった部分があったのだ。
  
  
    でも、その素っ頓狂さ(本人はそんなつもりないだろうに申し訳ない)に、ちょっと救われた気持ちになった。
  
  
    自分はポルノグラフィティのライヴに行くたび、日常を忘れさせてくれる時間に酔いしれる。
  
  
    やっぱり現実には忘れさせてくれる場所であって、それこそまさに「解放区」となってくれている。
  
  
    ミュージシャンとしての活動が決して楽ではないことは、慮る必要もない事実だろう。
  
  
    同時にファンクラブの会報とかを読んでいても、ライヴという解放区を創るため、本当に多くの人が時間と熱意を注ぎ込んでいることが伝わってくる。
  
  
    そんなエンターテイメントを支えてくれる人たちのおかげで、僕らは無邪気に非日常に浸ることができる。
  
  それで、何が言いたいのかというと、だ。
  人生って意外と、そんなもんじゃないかなって。
  人生とは清濁も苦楽も悲喜も綯い交ぜにして呑み干していくものだ。
  "幸せについて本気出して考えてみた"の歌詞にも通ずる。
  考えたくはないけど、いつか人には終わりが訪れる。
  少なくとも自分は、自分の人生を振り返ってポルノグラフィティを好きで良かったなと思うだろう。
  辛かったこと、悲しかったことも沢山あったけど、ポルノグラフィティのくれた喜びは僕の人生を勝ち越しさせてくれた。
  順風満帆って「追い風いっぱい」という意味だけど、人生は得てして向かい風ばかりを感じるものだ。
そんなことを思いながらポルノグラフィティを聴いていたら、気づいた。
あぁなんだ。
彼らはもう、その答えをくれているではないか。
向かい風は後ろ向けば追い風になる視線向けた方角には明日があると信じる 〜"ブレス"
  向かい風も追い風も味方につけて、ポルノグラフィティはこれからもきっとキャリアを羽ばたかせるだろう。
「逆境に陥ったら思い出せ。 飛行機は向かい風があって飛び立てるのであって、追い風に運ばれるわけではないのだ。」〜ヘンリー・フォード(実業家)
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