2018年10月10日水曜日

ハルカトミユキ"17才" の歌詞を読みとく アニメ「色づく世界の明日から」主題歌








少女はむかし、自分に魔法をかけた。
”わたしは幸せになってはいけない”

『色づく世界の明日から』














「青春」という言葉がある。

「若く元気な時代」を指していて、中国の五行思想では春に青が当てられていることから「青春」となった。

青は草木が芽生え生い茂っていくということから当てられている。転じて「青さ」「青二才」など、まだ大人にならない未熟さと幼さを示すような言葉に使われている。

日本では成人を18歳に引き下げる動きがあるが、子どもでも大人でもない、その狭間にいる、それが「17才」という年齢ではないだろか。


ハルカトミユキの新曲の"17才"

タイトルと楽曲が発表された渋谷のクラブクアトロで聴き、帰り道考えたことはそんなことだった。

ハルカトミユキ史上でも類を見ないほど爽やかなメロディ、それでも聴こえてくる言葉の端々は間違いなくハルカトミユキが歌い続けてきたテーマそのものだ。

ライヴで初披露された後、退場時にも音源が掛かっていて、それをライヴ終わりの満たされた心の隙間にまだ染み込んでいった。

アニメのオープニングテーマということで、初めて名前を知ったという人も多いと思う。
※初回はエンディングで流れた

そんな方へ、曲の爽やかさだけでなく、歌詞についても考えるキッカケになっていただければ幸いだ。
後半ではハルカトミユキファンの方向けに書くことにする。






ハルカトミユキ"17才"の歌詞を読みとく
アニメ「色づく世界の明日から」主題歌



歌詞




"17才"


たとえば今日までの僕が壊された夜
誰にも愛されていないと感じた夜
ただまっすぐに透き通る明日を
信じることができたならば

眩しくて 眩しすぎて
瞳 凝らしていた
君の心の色さえ
解らないから

新しい季節と誰かのサイン
見逃さないように僕らは走る
遠くても遠くても それは祈りのように
輝きを探してる 雨上がり
虹が架かるよ

たとえば夕陽さえ色褪せてしまった日は
誰かの勇気まで疑ってしまう日は
また声もなく泣きそうな自分を
目を閉じて許してみて

いつまでも いつまででも
笑っていたかった
君の涙の色さえ
気付かないから

変わらない景色と別れの後で
現在を振りほどいて僕らは走る
階段を駆け上がり
汗で滲む未来
その窓を開けたなら
すべて今キャンバスになる

空はまた晴れていく
雲はただ流れてく
本当に綺麗なもの
まだ解らないけど
とまどいも悔しさも
すべてが絵の具になるから
下手くそだって消さないで

新しい季節と誰かのサイン
見逃さないように僕らは走る
遠くても遠くても それは祈りのように
輝きを探してる 雨上がり
虹が架かるよ


歌詞ないと書いていることが分かりづらいので、すべて引用した。







ハルカトミユキ×色づく世界の明日から




ハルカトミユキの音楽は、怒りの音楽だ。

社会に、周囲の人間に、日々に、そして自分に。
共感の時代に脅威の言葉を並べ歌い上げる、そんなアーティストだ。

ハルカの言葉が中心にあるからこそ、その音楽性は自由に広まるばかりである。初期のオルタナティブ色の強い楽曲から、ミユキの作曲の幅は広がり、今回の"17才"のような爽やかな曲まで遂には生まれた。

ハルカトミユキの長年のファンかこの曲の持つ爽やかさに驚いたように、この曲でハルカトミユキに初めて触れたは、他の曲を聴いて驚くことだろう。

それでもハルカトミユキの音楽はどんなに広がろうと、ポップに着地もするというバランスだ。いや、一部ミユキ作曲のインスト曲は除く

どんな曲であろうとハルカの言葉は鋭利で、共感でない言葉に共感を求める。それは端々から溢れる同調への怒りから来ている。そしてそこから生まれる孤独を唄うのだ。

そんな視点で"17才"の歌詞を聴いて欲しい。

※知ったようなことを書いているが本人からしたら絶対「分かってねーなぁ」と言われると毎度思っている


たとえば今日までの僕が壊された夜
誰にも愛されていないと感じた夜


確かにこれほど爽やかな曲はなかったが、それでもこの出だしは決して今までのハルカトミユキと変わることはない。

「17才」という大人と子供の狭間。たとえばこれが「17歳」という表記だったらまた印象が違うだろう。

誰からも愛されてないと思いながら、誰かを愛せない自分。


それこそが、


少女はむかし、自分に魔法をかけた。
”わたしは幸せになってはいけない”


魔法という名の、呪い。

アニメとのタイアップということで、本編と歌詞の符合についても語っておこう。

アニメには疎いので、それは詳しい方にお願いするとしても、1話の作画はイクニ(幾原邦彦)作品しか見てない僕でも分かるほど鮮やかなものだったと思う。TVのクオリティではない。


主人公の月白瞳美は幼い頃から色を失っている。
ある時に祖母から理不尽なまでに強引に60年前の世界へ飛ばされてしまう。

しかし、その取っ掛かりとなるのが「私は幸せになってはならない」という言葉だろう。

瞳美は心を閉ざしながらも、飛ばされた60年前の世界である少年が描く世界に色を見ることで世界が動き出す、というところで1話は終わる。

瞳美がなぜ心を閉ざしているのか、なぜ色を失ってしまったのか、それはこれから先の物語で語られることだろう。


曲とのリンクのキーとなるのは「窓」。60年前の葵の部屋へ飛ばされた瞳美は悪戦苦闘しながらも、部屋の窓を開けてそこから、世界へ飛び出す。

ハルカトミユキにおいても「窓」は度々歌詞に用いられる。窓とはつまり、社会と自分を繋げるもの、そして隔てるもの。

そうして物語は動き出し、世界は始まる。

謎が多い物語なので、展開によって曲の印象もまた変わっていくことだろう。

曲について、フルで聴くと曲に広がりが出てくるので、是非フルで聴いて欲しい。


では、ここから重症患者のためのステージに移ろう。









"17才"深読み編




さて、ここからはハルカトミユキの楽曲をよく知る方でないとついてこれないマニアックなステージに入る。

初めて"17才"を聴いて、僕は"君はまだ知らない"を思い返した。

思春期、空、そして雨上がり。

先日メッセージもいただいたけど、"君はまだ知らない"はCoccoの"Raining"を彷彿とさせる。髪を切ること、そして雨。"Raining"では雨の中「とても晴れた日」を回想する。血にまみれた腕で踊っていた日を。

"君はまだ知らない"は、まるでそのアンサーソングのように「奇跡なんてないよ 生きるしかないよ」という問い掛けが唄われる。

そして"17才"で唄われる「とまどいも 悔しさも すべてが絵の具になるから」というフレーズ。僕はそれが真っ赤な絵の具に見えた。まるで、腕から滴る血のような。

それでもその先には青空が広がって虹が掛かっていた。

その虹もいつかは消えていくが、そこには誰かの願いが種として蒔かれている。いつしかその願いは別の未来に広がった空へ祈りとなって届けられるのではないだろうか。それを受け取った誰かがきっと。


愛という手紙に変えて。


変わらない日々景色を飛び出した先には世界があって。そこで、寄り添う言葉は、甘やかす言葉。


「生きているだけで 意味があるだろう」



そんな飛び出した世界は雨上がりで、空には虹が掛かっている。

そして、どうしても浮かべてしまうのは「青」の色。
初期のハルカトミユキが持つそのイメージ。

空や青春、そこにある青さ。まさにシアノタイプ「青写真」

僕の好きな言葉がある。

ポルノグラフィティがライヴで語った言葉。


「青春とは、巡るもの。だから季節を示す言葉が使われてるんじゃないですか」


そう。


「新しい季節と誰かのサイン」


「色づく世界の明日から」がめぐり巡る過去と未来の話であるならば、これからどんな展開になるのか、楽しみに待とう。


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