2018年11月25日日曜日

病的ファンが選ぶ「ポルノグラフィティ 歌詞 いい曲」12選







ちょっと調べものをしようと検索画面に「ポルノグラフィティ」と打ち込んだ。

そうするとサジェストが出て、その中にタイトルの検索項目が出てきた。

このブログでは当初の機材紹介なんて目的も忘れ、散々ポルノグラフィティの歌詞について、書いてきた。

しかし、あらためて考えるとかなりファン向けのものが多い。
1曲について深く考えることも、好きなフレーズを考えることも。

もちろん好きなフレーズを書くことも「歌詞がいい曲」を選ぶ要素の1つではあるが、あれはあくまでも僕個人が好きでたまらないフレーズを紹介するというものだ。そことはちょっと違う目線で書いてみたい。


なぜポルノグラフィティの歌詞は素晴らしいのか、「情景描写が素晴らしい曲」「比喩表現が素晴らしい曲」に分けて考えてみよう。

シングルだけに搾ろうかと思ったが、全曲配信もしているということで、特に搾らないことにした。

歌詞で曲が気になった方は是非聴いて欲しい。


病的ファンが選ぶ「ポルノグラフィティ 歌詞 いい曲」12選









情景描写が素晴らしい曲




そもそも「歌詞がいい曲」とはなんだろうか。
何を持って「歌詞がいい」とするのか、それは千差万別で、人によって異なるだろう。

僕の中でもいくつかあるが、一般的にまず「歌詞がいい」とされるのが「情緒的」というものがあるだろう。

以前いしわたり淳治が阿久悠が手がけた石川さゆりの"津軽海峡 冬景色"について「上野発の夜行列車降りた時から」という言葉でばっと映像が浮かぶ。今の歌詞で映像的なものは少ないと指摘していた。

言葉から映像がいかに浮かぶか、そこに情緒が生まれ、曲の世界観が多角的になる。
そしてその情景に心理描写を重ねることで、それが深みとなるのだ。

ということで、ポルノグラフィティでそんな映像が浮かぶような歌詞を紹介しよう。


土生港から 海ぞいの道を
初恋を乗せて ペダル踏んでた
乱れた呼吸 さとられないように
246から渋谷にぬける今の僕と何が違うの?
そう考えると ずいぶん遠くへ来たみたい

〜"Jazz up"



あの急な坂登りきったら青影トンネルだ
車の排気ガスで煙いのを少しだけ我慢すれば
目の前が広くなった先に目指す海が見えるよ
そしたら機嫌直してね

〜"Aokage"



どちらもポルノグラフィティの故郷である因島を歌っている。
両曲とも自転車で故郷を走る姿が描かれる。

"Jazz up"はまさに情事の真っ最中を歌っている曲だが、その途中でこのシーンが登場する。故郷から都会へ、自転車は車へ。あの頃と違うのは何か、自分に問いかける。それは故郷と東京の距離であり、あの日の自分と今の自分の心の距離でもある。

"Aokage"は故郷の青春を歌う。待ち合わせに遅刻した僕を怒るように先に走っていってしまう君。青影トンネルを抜けて海が見えてくる景色は実際のものだが、主人公の心の移り変わりとも重ねられる。


汽車道の橋で欄干にのぼってみせて
果てもない夢の話 こんな結末じゃなかったはずよ

〜"横浜リリー"


こちらも実際に横浜の汽車道を描いている。リリーと呼ばれた女と、鉄砲玉のような男の物語。
実際に知っている方からすると、ちょっと荒唐無稽な感じもするのではないだろうか。しかし、だからこそ主人公が愛した男の無邪気さ、語った果てもない、まさに夢のような話とも重なるのだ。


茜色の空 闇夜の月 地球のどこかで産まれる命
宇宙の法則の上を歩く 小さ過ぎる僕達

〜"ロスト"


言葉が区切り区切りに歌われ、カット割りのようにその映像が次々浮かぶ。
それが描くのは自然が創り上げた雄大な景色。そこに生まれ、生きる僕らは小さな存在にすぎない。空も月も宇宙さえ、変化を続ける。そこでできることは抗うことではなく、記憶を繋いでいくことなのだ。



誰もが君の笑顔見つめ
僕だけうつむき君のスニーカー見つめる
それでもそばにいられるなら 微妙な距離さえ愛おしくて

〜"ライン"


君を想うあまり、君を直視できない主人公。
その情景はすぐに浮かぶが、さらに絶妙なのが「スニーカー」である。この言葉だけで年齢やそこから想像されるまだ始まったばかりの青春が思い浮かべることができる。「ローファー」でも「パンプス」でも「ヒール」でもない、「スニーカー」というチョイスが素晴らしい。



君の前では流せなかった涙が今ごろ頬をつたう
風もない静かな夜だからそのまま涙は足元に落ちた

〜"夕陽と星空と僕"


たびたび好きなフレーズにも挙げるが、これを挙げないわけにはいかないだろう。
ただ、そこで起きたこと。それに対して一切言葉を足したり引いたりもせずありのままを書いている。それなのに、この2行から計り知れないほどの想いが溢れてしまう。



では、次に「比喩表現が素晴らしい曲」を取り上げよう。
比喩フェチとして、多くの人に届いて欲しいと願う。










比喩表現が素晴らしい曲




「ラブソングというのは詰まるところ「愛してる」をどう表現するかの大喜利のようなものだ」というのは、これもまたいしわたり淳治の言葉である。作詞家として多くのラブソングを手がける一方、それは違う表現を模索し続けることでもある。
というかこのブログも似たようなものだなと我ながら思う。

そこで作詞をする者たちは、その想いをいかに違う言葉に言い換えられるかとの戦いなのだ。
ラブソングに限らず、その状況を何かの比喩に例えることは、作詞家のスキルが問われるポイントだろう。

上記の言葉ではいしわたり淳治は西野カナの曲の歌詞「恋をしていると なぜか身体が 心で温もる」を取り上げ「言われてすぐに意味がわかるのに、今までにはあまり聞いたことがない言い回し」と評している。

そしてポルノグラフィティの歌詞にも素晴らしいと思える比喩が多くある。


だって知っている言葉はほんのちょっとで
感じれることはそれよりも多くて
無理やり 窮屈な服着せてるみたい

〜"パレット"


誰しもこんな経験があるのではないだろうか。たとえば、僕がいつも長々記事を書くが、まさにこんな想いで窮屈な服を着せるように言葉を紡いでゆく。
人の想いを全て言葉にするのは不可能だと思う。そこに言葉にはしきれないほどの感動がある限り。それでも僕はこれから先も窮屈な服を着せ続けることだろう。

パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの


海面を突き破って獲物を捕らえる鮫のように
わたしを喰い千切る
核心を飲み込んだら 欺瞞と虚言の臓器で
消化して 姿を変えて街へ放つ

〜"Fade away"


近年の風潮を描いたのが"Fade away"のテーマである。
ある種の魔女狩りのように、言葉狩りのように、獲物を狙う鮫たち。「核心を飲み込んだら 欺瞞と虚言の臓器で 消化して」というフレーズは、たびたび取り上げるが、あらためて本当にお見事だと思う。



まるで冷蔵庫 僕の頭 全部冷え切ってて 干からびたものばかり
凍えたピザ 乾いたハム 涙 古い記憶 純情のようなもの

〜"MICROWAVE"


「僕の頭の中は冷蔵庫」というだけでかなり"キて"いるのに、そこから並ぶ言葉たちまでかなり"キて"いる。
そしてタイトルである"MICROWAVE"(電子レンジ)で温めて欲しいと願う。これだけ見ると前衛的すぎる歌詞だが、あのダンサンブルな曲調と岡野昭仁の声で歌われると、不思議と受け入れてしまう。

MICROWAVE歌詞解釈〜Believe when I say "I want it that way"


人は誰も哀れな星 瞬いては流れてゆく
燃え尽きると知りながらも誰かに気付いて欲しかった

〜"ジョバイロ"


修羅場を演じる時代劇の ど真ん中に立ってるみたいだ
襲ってくる刀を避けて「2012」の街に生きる

〜"2012Spark"


比喩フェチとして興奮が止まらない曲が何曲かあるが、その中でも間違いなく秀逸な比喩がたくさん詰まっているのが"ジョバイロ"と"2012Spark"である。
"ジョバイロ"も"2012Spark"もこの出だしのフレーズから撃ち抜かれるような快感である。

「修羅場を演じる時代劇」というフレーズだけで異化効果のような感覚に陥る。2012年を越えて、まさにそんな時代が始まったのかもしれない。

どちらの曲も秀逸なメタファ詰まっているので、とにかくフルで歌詞を見ながら味わって欲しい。



あなたの口から嘘が零れるたび
僕はそれを舌で綺麗に拭った
シルクを爪先で裂いたような
密やかな声は本当?

〜"LiAR"


新藤晴一が作詞家の森雪之丞氏のインターネットラジオにゲスト出演した際に雪之丞氏より絶賛されたフレーズである。当然ながら僕も大好き。
嘘を拭う僕の想いは優しさなのだろうか、それとも愚かさなのだろうか。


以上である。「言われてすぐに意味がわかるのに、今までにはあまり聞いたことがない言い回し」を若干飛び越しまくっている気もするが、それこそが何度も聴いてしまう魅力でもある。

これだけ病的に好きな僕のような人間からすると、これでも泣く泣く紹介できなかった曲とフレーズがまだまだある。
叶うなら記憶を消して、もう一度初めて出逢った衝撃を味わいたいものばかりだ。

つまり、これからポルノグラフィティの曲と初めて出逢えるという人が、羨ましくて仕方ないということである。

しかし、あえて触れなかったが、今年もそんな衝撃に満ちた新曲たちが、次々届けられている。

これから先も「ポルノグラフィティ 歌詞 いい曲」は増えていくことだろう。

そんな未来、楽しみでしかないではないか。



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2 件のコメント:

  1. Aokageの「あのタバコ屋さんを・・・君が顔出し笑ってる」の部分、
    アニメ「アルプスの少女ハイジ」とか、
    ジブリのワンシーンを見ているような歌詞だと感じました。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      確かに分かります。特にジブリっぽさは感じますね。聴くたびにこんな青春送ってみたかったとも…

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