結末まで触れているので、単行本派の方や未読勢はご注意を。
本誌が朔主任多忙のせいで3週休みということになったので、のんびり書いていこう。
自分が無堂会長だったら「要君、私です。ふと思ったんだが、私はジャンケットバンクを毎週読みたい」と言っていただろう。
しかしながら現実的に、あの量のイベントグッズのカラー描き下ろしやったら、田中先生そりゃキツイわなと思う。ご自愛ください。
要君はデアゴスティーニでいいので。
デッドマンズ・キャンドルライト
最初に白状すると、実は今回のゲーム終盤まではそこまで熱を上げてなかった。
それは獅子神敬一vs叶黎明という構図が1番にあって。
組み合わせを見た時点で「これどっちも死なねぇな」と俺の中の暗黒主任が叫んだからだ。
アイツが言えっていいました。
もちろん勝敗とか展開に期待してないという訳ではないし、実際に期待をあっさり上回ってきたのか怖すぎる。
上回ってきたのがどの辺りかと言えば主に2箇所あって、159話でロウソクが消えたこと、166話でそのロウソクに再点火してから167話で決着をつけた展開である。
159話のほうはその展開に向け、実はしっかりロウソクの火の大きさの変遷が描かれてきていたことが判り、あまりに伏線の巧妙さに柏手を打ってしまった。
引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
ゲームの考察はかなり白熱していたけれど、ここを指摘していた人はそう多くないというか、ほとんどいなかったと思う。
こうした「相手との実力差を埋める」ためのゲームの裏設定があることも絶妙だ。
しかもさ、この賭けに出られた理由が獅子神さんが暗黒金持ちの表情を読み取ったからというのが熱いよね。
無堂様ならおくびにも顔に出さないはず 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
暗黒金持ちの気質にも濃淡があるんだなと思う。
ふと疑問に思ったことなんだけど。
ゲームの選定って、誰がやっているのだろう。
組み合わせから選ばれたゲームであるだけに、誰が「デッドマンズ・キャンドルライト」を選んだのだろうか。
引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
2巻のやり取りからしても、ゲームの決定権を持つポジションが銀行にあると思うんだよね。
特2は作る専任で、たぶん違うと思ってる。実力差ある場合を想定したゲームつくってねって無茶ぶりされてそう。
そして決着について。
ここが最も鮮やかだったと思う。
自分としてはゲームのオチで今回のゲームの感想が全て決まると思っていたので、その期待にしっかり応えてくれた。250%増しくらいで。
かねてから「実は部屋から普通に出られるのでは?」と言われていたけど、そのオチだったらちょっとなぁと思っていたのだ。
勝手に未来を予想して失望するな、俺。
部屋出られるオチだったらなぁ、と思ったのは言うまでもなくシヴァリング・ファイアを彷彿とさせるからである。
だって、扉開きそうじゃん 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
この辺の匂わせ(ミスリード)が巧みだったと思う。本当にやるもん、このマンガ。
しかしながら、やっぱりそんな予想の範疇に収まらないのがジャンケットバンクなのだ。
166話の展開で本当に興奮したところで、しっかりと167話で爽やかなオチをつける。
ちょっともうこのマンガ、人生賭けていいくらい好き。関谷仁さんの。
獅子神 敬一
今回の名言① 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
身も蓋もない話であるが、このゲームの目的は獅子神敬一のレベリングのための試合である。
たぶん宇佐美主任って負けまで織り込み済で、獅子神さんのレベルアップをさせたんじゃないかな。もちろん負ける前提ではなくて、負けるとしてもタダでは負けないという意味でね。
それは別記事にも書いた、ここで2本スケルトンキー手に入れてもどうせ真経津さんが捨てるだろうからって理由なんだけど。
宇佐美主任もそれくらいは想像してそうじゃん。
考察にも書いたけど、お互い1本ずつ持っていれば、それを使用するタイミングの駆け引きが生まれると思うんですよ。
もっと言うと、たぶん相手(飛行機の男)が完璧と思われたタイミングでスケルトンキーを使用するけど、真経津さんが逆手にとってピカソすらあると思ってる。
そうしたら「獅子神さんが負けてくれたおかげで強敵に勝てたよ」とかイジりそうじゃん、真経津さん。
獅子神さんに話を戻すけど、このゲームのテーマもまたピーキー・ピッグ・パレスと同じく愛の話だった。愛がすべてさ。
獅子神さんにとっては、自己愛と向き合うことであった。
(これ、全部正論では……?) 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
自分を認めきれない獅子神さん。それは間違いでもなくて。
敗北したり、自分を負かした相手に呼び出されて来たら要らないと言われたり、容赦ない医者に現実と電撃を叩きつけられたり。
でも彼が強くなる時はいつも自分の弱さを認めた時なんだよね。
弱さとか甘えみたいなものがあるから弱いのではなくて、そのワガママすら押し通せるのが強さでありピカピカという落としどころは、ちょっと凄い感動してしまった。
試合前の真経津晨さんの「君は君らしく、君のままで強くなりなよ」って台詞に対するアンサーとしてお見事。
これは獅子神さん"羽化"(レインボウ)からのラスボスあるで。
何か分からない人は作者の前々作を読もう。前作じゃないからな。
ていうか、獅子神さんケーキつくるだけで黎明の視聴者を魅了するくらいピカピカなんだからギャンブルしなくて良くない?
そういえば、獅子神さんがこのゲームで目指した「負けたくないし、友達を殺したくない」って感情さ、電卓が目指す「ギャンブラーが死ぬ時は気高く見送りたい」にも通ずるワガママじゃないかと思う。
だからこの2人の求めるものが、意外と未来で交わることもあるんじゃないかな。
そうなったら本気でワンヘッドで相手を殺さずに勝つ獅子神さんが生まれるかもしれない。いや、ワンヘッド行かないでよ。
ワンヘッドとか行かれたら暗黒読者のお姉様たちが心配で眠れなくなっちゃうだろうから程々にしてほしい。
ところで、これ書いてる自分自身が自己肯定感をマックスでマイナスベットしてる人間なので、獅子神さんの葛藤のシーンは胸をえぐられる気持ちだった。
ちょっと凄く、ウルッときた 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
だからこそ、この狐のシーンがえぐった胸に微かな希望に似たものを残してくれたんだけど。
獅子神さんの最後にアドバイスを求めたことに対する黎明の言葉が最高だよね。
今回の名言② 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
ジャンケットバンクがあれば自己啓発本なんて要らん。
獅子神さん、みんなに愛され過ぎだよ。
では、そんな黎明の話へ。
叶 黎明
銀行から毒を摂取する愛を受け続ける男 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
このゲームも愛がテーマと書いたけど、黎明にとってはどうか。
叶黎明とは常に他者から見られ、愛されているかを意識している。
あの獅子神さんが見出したロウソク封じからの時間稼ぎが仇にあるのが、本当に絶妙。
叶黎明が見せた「自分を見る目を見つめる」シーン。
引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
普段髪で片目しか見えない黎明だからこそ、この
"両の目"になった瞬間のインパクトは凄まじい。
それをもってしても騙しきった真経津さん、やっぱり狂ってるよ……
PPP編の感想で村雨の"目"は今まで見てきた患者たちの目でもあるのではないかと考察した。
だとすると黎明はこれまで自分を見てきた人々の目が力になっているとも考えられる。
人に見られるということは、それだけ自分をどう見られるか意識するということである。
そして人にどう見られるかを意識することは、同時に人の思考を如何に支配するかということでもあるからだ。
だからこそ叶黎明は終始、自分を魅力的に見せること、自分が魅せられるものを求める続けている。
ちょっと邪な考察なんだけど、黎明って展開的にワンヘッド上がって負けて死ぬとかあると思うんだよね。
その相手と真経津さんが対戦することになるとかさ。
※別記事にも書いたけど自分は作者がそれが正解と信じて書くなら主要キャラが死んだとしても受け入れられる(動物は除く)
そこまではいかなくとも、もうちょっとスポット当たる回は必ず来るはずで。
今回黎明の過去とかの深掘りくるかなと思っていたんだけど、それがなかったから必ずもう一回は黎明がここまで歩むキッカケになったエピソードは出てくると信じている。
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そういえば黎明はユミピコが村雨をレベルアップさせたことに怒っていたけど、自分はこれだけ丁寧に獅子神さんを余裕綽々に仕上げている辺り、まだ獅子神さんは、これからだ。
そして邪心は村雨礼二vs叶黎明を求めている。ハーフライフにいる間にやって欲しい。
あと小ネタだけど個人的に地味に好きなのが審査役のデカケツ蛇谷絵美里のこの台詞。
引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
元は言わずもがな「男子、三日会わざれば刮目してみよ」だけど「なんかスゴイ感じになる」のざっくり具合に思わず笑ってしまった。
デカいは正義。カワイイ。
さて、では最後に今回のMVPを発表しよう。
MVPはこのお方。
引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
根拠?
引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
さぁ、次はいよいよ大将戦だ。
なんか右手が見えるのは気のせいですかね…… 引用:集英社『ジャンケットバンク』より |
正直ここ2戦がこれだけ盛り上がったので、メタ的に勝利確定のワンヘッドってどう盛り上げるんだろう。
敵(飛行機の男)としては申し分ないけど。
ひとまずは、座して朔主任の復帰を待とう。
そういえば獅子神さんと黎明は帰りは2人揃って真経津さんの家行くのかな?
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