2017年8月24日木曜日

【ネタバレ感想】北野武監督「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」を一気見 いざ最終章へ






東京は久しぶりの快晴。

ようやく夏を思い出したような猛暑の昼下がり。僕は有給で休みであった。


海でも行ったら楽しそうな日であるが、家で北野武監督「アウトレイジ」「アウトレイジ ビヨンド」をまとめて観たぞ、この野郎。


いきなり汚い口調になってしまい申し訳ない。

なんせ2作合わせて、登場人物の8割くらいが強面で「〜だ、この野郎」か「〜だ、バカ野郎」しか喋らないから移ってしまった。


「アウトレイジ ビヨンド」公開からでも、5年経っているので書くか迷ったけど、面白かったし、何より今年(2017年)に3作目であり完結編に当たる(はず)の「アウトレイジ 最終章」が公開されるので、感想を残しておこうと思う。






あらすじ






「アウトレイジ」(2010年)

関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた。








「アウトレイジ ビヨンド」(2012年)

5年前、ヤクザ界での生き残りを懸け壮絶な権力闘争に明け暮れた暴力団「山王会」は関東の頂点を極め、政界にまで勢力を広げていた。彼らの壊滅を目指す刑事の片岡(小日向文世)は、関西最大の「花菱会」と対立させるべく策略を練る。そんな中、遺恨のある木村(中野英雄)に刺されて獄中で死んだはずの大友(ビートたけし)が生きていたという事実が持ち上がる。その後、出所した大友だったが……。









ネタバレ感想




最初に書いた通り強面の大人たちが「なんだこの野郎」と云いながら、揉め合って殺し合っていく映画である。
要はやくざ版「バトル・ロワイヤル」だ。

ちなみに僕は普段全く、「ヤクザ(仁義)もの」は観ない人だ。

でも所謂「任侠もの」を観ない僕でも楽しめたほど、この映画はエンターテイメントに徹している。仁義とか非情さとかはあるものの、ほとんどキャラクタームービーのようなノリで進んでいく。


1作目の椎名桔平の格好良さ、続編で1作目のスマートさが壊れる加瀬亮、小日向文世のパブリックイメージを覆す名演、役者陣たちを褒めればキリがない。
みんな程よく人間臭さがあって、泥臭い人間の魅力がある。

何より、主演のビートたけしの力である。

特に2作目の姿は悲壮感を背負う。宇多丸師匠の批評で指摘されてもいたが、あまりにも本人の姿がオーバーラップする。
(そういえば玉袋筋太郎が指摘したビヨンドにおいて「2人組」が協調されていて、それは芸人のコンビのメタファーというのがなるほどと関心した)






ちょっと余談だが、演出については初日舞台挨拶の「楽屋でマリファナ炊いておいて、後はみんな勝手にやって(演じて)帰っていった」というジョークに最高に吹いた。


『ソナチネ』とかと比較されて、『何も進歩していない』とか言われるのは嫌だから、もうエンターテイメントだ! 観客全員が喜べるようなものを撮ろうってなった。次に思いついた暴力シーンを書き出して、そっからストーリーを逆算したの。コイツはこう来てこう死ぬ、とか、こんな死に方はしないだろって。で、またひっくり返していって、こうなると思ったら大間違いだとか、ここで(観る側を)騙すとか、いろいろ考えて。そしたら完全にエンターテイメントだなって言える作品ができた」


このインタビューでのコメントを観て僕がこのシリーズを好きになった理由が判った。
この「暴力シーン」がまずあって、それを元に組み立てていくというのは完全にホラー映画の創り方なんだよね。

だからこそ本来残酷なはずの殺害や拷問のシーンで笑ってしまうのだ。
2作目の石原(加瀬亮)の最期なんてこんなのコントの領域だよなと思う。

ホラー映画って死ぬ人間は記号的になりがちなんだけど、この映画のやくざ達は人間臭さが強いから、実はホラー映画のフォーマットと相性良いのではと思えてしまう。



もう一つ観ていて考えたのが、よく「正義は一つじゃない」とか「正義の反対は悪ではなくてまた違う正義」などと云われるけど、まさにそれだなと。

人道という意味では裏切ったり、殺し合ったり、何一つ正しいことはない男たち。
それでも各々なりの「正義」を貫き通していく。

そんな正義も「あいつがそう云ってたから」なんてくらいで疑心暗鬼になってネジ曲がってしまう辺りが、人間味を与えている要素だろう。




「アウトレイジ 最終章」




さて、そんな2作を受けて、今年公開される最終章について。あらすじと予告を載せよう。





関東の山王会と関西の花菱会の間で起きたし烈な権力闘争の後、大友(ビートたけし)は韓国に拠点を移す。彼は日本と韓国の裏社会で暗躍する実力者張会長(金田時男)の下にいたが、ある時、韓国に出張中の花菱会の花田(ピエール瀧)が騒ぎを起こし、張会長の部下を殺害してしまう。この事件を発端に、張会長と花菱会の関係は険悪になり……。


舞台はどうやら韓国になるようだ。
韓国ということで、2作目に登場した大物フィクサー張大成(チャン・テソン)が大きく関わってくるようだ。

そして何よりあらすじや予告を観て嬉しかったのが「ピエール滝」の名前があるではないか!
「凶悪」でひたすらに凶暴な姿を見せつけていた滝が登場するとあって、期待である。あらすじの内容だと今回の話で最初の火を点ける役なのだろう。


劇場では観なかったけど、最終章はこれは劇場で観るしかないぞこの野郎。



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