2018年11月18日日曜日

フラワー配信決定記念 ポルノグラフィティの歌詞に登場する花を振り返ろう







ポルノグラフィティの新曲"フラワー"が配信販売される。

先日カフェイン11でフルオンエアされて、感想を書き始めたが、なかでポルノグラフィティが今まで曲に登場させた花を振り返ろうと思った。

しかし、考えるとそれだけでかなり長くなってしまうので、先に振り返るという意味でも別の記事にしてまとめることにした。

ポルノグラフィティが花に込めてきた想いをここに見ていこう。
本物の花や抽象的な意味で使われる花もあるが、思い付く限り紹介される。ちなみに「花火」と「火花」と「はなむけ」辺りはキリがなくなるので外している。また最後にも触れるがなるべく多く曲を出したが見落としだったりもあるかもしれないが、全曲挙げることが目的ではないので、ご了承いただきたい。





■Love,too Death,too



一輪として名も無い花などなくて
色とりどりの名前に誇らしく咲く
星だって鳥だって たとえ僕が知らなくても
恋だって そう あなたが気付かなくても



まず最初に思い浮かんだのは、2008年発売の26thシングル「Love,too Death,too」である。

大好きな歌詞だ。
あまりに美しい言葉の並びで、芸術品だと思う。

ありとあらゆるものに名前が付けられているのに、恋には名前がないのか。いや、気づいてないだけだよ、という歌詞は新藤晴一らしいフレーズだ。

どんな花にも個性があって、色とりどりのそれに存在の証明として名が付けられている。これってずっと世界そのものでないかと思っていて。"世界にひとつだけの花"とは違って、1人1人ではなく人種とか、肌の色とか、そういったことと重ねてしまう。



■ROLL


めぐりめぐる君を辿る 僕がすべて抱いてあげる
そしてここにふたりで集め咲かせよう 名も 知らぬ花でもいい 枯れぬように
優しく包んでずっと咲かせる


"Love,too Death,too"ではどんな花にも名前がある、というフレーズが登場するが、岡野昭仁という人を表すのにこんなにピタリと当てはまるフレーズはないのではないか。



■ワンモアタイム


こぼれた涙を拾って
未来の種へと注いで
あなたと花が咲くのを待とう どんな色だろう?


東日本の震災を受けて書かれたのが"ワンモアタイム"。そのメッセージは、ヴォーカリストだからこそ書ける力強いものだ。
これが「微笑みの花よ 平和の花よ 真実の花よ」というフレーズに続く。生命には水が必要で、たとえ涙でもそれは次の命に繋がるための糧となる。




詩的な花といえば「薔薇」であろう。
音楽界で薔薇がモチーフの名曲はたくさんあり、ポルノグラフィティにももちろん多くの薔薇が登場するので紹介していこう。



■ジョバイロ


胸に挿した一輪の薔薇が赤い蜥蜴に変る夜
冷たく濡れた舌に探りあてられた孤独に慣れた心


未だに全く意味がわからない。しかし納得してしまうという、不思議な感覚に落とされる歌詞。
ひとつひとつの言葉は知ってるのに、それがこうして組み合わさると、見たことのない世界の景色を見ているような気持ちになる。




■カメレオン・レンズ


深紅のバラもワインも 色を失くし泣いてるの?
君がいるこの世界は こんなに鮮やかなのに


歌詞によく出てくるのが人以外の物に感情を持たせること。
それは自分の心をそこに映しているから。
バラもワインもただそこにあるだけ、色を消してしまっているのは、自分自身。



■アニマロッサ


喜びも悲しみも僕たちには選べない
ならば君の涙にも微笑にも花を添えよう
その気持ちきっと忘れない 僕とともに焼き付けよう


岡野昭仁にとって、花と涙はとりわけ結びつく特別なものがあるのだろう。
あらためて見ると「僕とともに」の揺るぎない押し付けがましさを全く感じさせず、説得力を持たせていることができる男なのだ、只者ではない。



■タネウマライダー


口づけと薔薇の花 先にどっちが欲しい?
この箱を開けてごらん Pearlの耳飾り


あらためて凄いタイトルだ。
こちらは贈られる意味での花束。

酒も飲めないし、ピアスもあいてない、けれど薔薇の花束はしっかり受け取っている、けれどたぶんそれで殴られる。



■シスター


この季節咲き誇る白い花を摘んで
波の間にあずけようあなたに届けばいい


どんな花かは明言されないが、おそらくユリかなと思っている。キリスト教では白いユリ(マドンナリリー)は聖母マリアを象徴する。



■クリシェ



もし時を戻すことができて 胸にたくさんの花束を抱いて
あなたの前に立った姿を描く 幸せな眠り 訪れるように


こちらも別れと花だが、意味はほぼ正反対である。
叶うことのない願いだからこそ、その幸せな姿は僕を絞めつける苦しみと哀しみになる。



■サボテン


何処に行くの?こんな雨の中
僕の気持ち見つかった
僕らきっとうまくやれるはず
ほら薄日も射してきた
小さな花を咲かそう


最後に咲く小さな花。それは君との恋の証でもあり、終わってしまったその恋を受け止めて未来に歩きだすための小さな希望でもある。










■ダリア


ダリアの花が咲いていたとさ
赤紫がとてもお綺麗
お花畑を歩き過ぎたら
匂いにむせてひと休み


タイトルのとおりダリアの花が全編に渡って登場する。

後半に登場するのはダリアの花言葉が「移り気」であるというフレーズで、花言葉と心情を結びつけることも、歌詞では時折登場する。

お花畑が明らかに脳内のことを指しているように感じるところが大好き。



■くちびるにうた


くちびるにうたを灯そう優しいうた 愛のうた 世界中のメロディで
心を抱いてあげましょうやわらかな言の葉の花束をそっと添えて


花ではないがあまりに好きなフレーズなので紹介する。「言の葉の花言葉」というのが、もう新藤晴一らしくて大好きだ。

その言の葉たちはきっと美しい花たちなのだろう。



■My wedding song


言葉だけじゃ足りないから My wedding song
花束に添え 唄っているよ メロディが羽ばたいている


もちろん幸せな花束もある。
人生で最も美しい瞬間を彩る花たち。

きっとそこにはたくさんの祝いの言の葉の花束もあることだろう。



■青春花道


青春に咲く花の散り様 散り様こそ花の命
日陰に咲いたこと嘆くな 格好つかない日々こそ我らの花道


こちらも「花」とは付くが少し意味合いが違う。

青春らしい青春を送らなくとも、日陰にも花は先、同じように散ってゆく。それは、どこに咲いても変わらない命を映すようだ。



■ひとひら


心にひとひら 桜の花びら
心に一粒 美しい涙
あれは桜舞う 春の真ん中で
あれは飽きもせず 聞き返したメロディ


モチーフとして使われる花といえば桜。

15周年にしてポルノグラフィティは所謂「桜ソング」に挑んだ。
シングルのオールタイムベストに新曲として収録された"ひとひら"は歌詞のように、過去を振り返ること、そして今を噛み締める結末で終わる。

過去があるから今があり、今があるから未来が生まれる。
春になる度にその花を咲かせるように。



■愛が呼ぶほうへ


花が空に伸びゆくように 海を越える旅人のように
いつも導かれているのでしょう 愛が呼ぶほうへ


最後はどうしてもこれにしたかった。

動けないけれど、空に向かって伸びてゆく花。
そしてどこにでも行ける旅人。

その対比はどこか"フラワー"にも繋がっているように感じていて。花に人生を重ねることが"フラワー"の歌詞だ。



正直まだまだある。"あなたがここにいたら"や"デッサン#2 春光"などにも花という言葉は出てくるし、"グッドニュース"には「蒔いた種が芽を出しました」などの歌詞もある。まだ僕が見落としてるのもあることだろう。

しかしながら、すべて列挙するのが目的ではないし、これだけ書けば十分であろう(疲れた)


人は想いを花に重ね、時にそれに想いを込める。

人生に彩りを加えるものが花であるが、花は何も変わらない。ただそこで咲き続けているだけなのである。

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