2018年5月8日火曜日

ポルノ全シングルレビュー 10th「渦」







カタツムリの歩む速度で書いているポルノグラフィティのシングルレビューシリーズ。

この度ようやく10枚目のシングルとなった。
「カメレオン・レンズ」が何枚目のシングルかは言わないでください。


いきなり余談だが、僕の買った「渦」のシングルはレーベルゲートCD(CCCD)方式のため、いまだPCに取り込めなくてストレスとなっている。
なんなら僕はレーベルゲートCDのせいでiPodで聴けない。この後のベストの新曲や、シングルのカップリングをiTunesでわざわざ買い直している。

いいか。世の中正直者がバカをみるんだ。

無償交換してくれや。


余談ついでにもうひとつ。
次に紹介する3曲はライヴ作品である「幕張ロマンスポルノ’11 〜DAYS OF WONDER〜」に全て収録されている。

どれもアレンジが素晴らしいので、全てのファンにオススメしたい。






では各曲を見ていこう。


10thシングル「渦」








1. 渦



テレビ朝日系 金曜ナイトドラマ「スカイハイ」主題歌


ダークでミステリアス。その重いサウンドはポルノグラフィティのシングルの中でも"異質"な仕上がりの曲、それが"渦"である。

乾いたスネアのサウンド、排水溝を蠢くようなベース、悲鳴のように鋭く鳴くギター、そして甘くエロティックなヴォーカル。

作曲はTama、作詞は新藤晴一である。

こうしたヘビーなサウンドはTamaならではのもので、これまでは主にカップリングやアルバム曲で垣間見えていたものが、とうとうシングルとしてリリースされたのだ。

初期のポルノグラフィティにおいては、ソングライティングのメイン基軸として本間光昭とTamaの曲が両輪を担っていた。大雑把に分類するとポップソングとしてのアプローチは本間昭光、ロック寄りのちょっとひねくれてたサウンドはTamaという住み分けのイメージが強いのではないだろうか。

世間一般には"サウダージ"や"アゲハ蝶"のようなサウンドが"ポルノらしい"と云われるが、ファンにとってはこうしたロックなサウンドもポルノグラフィティの一面であるとしっかり認知されていて、世間にも気づいて欲しいと思っているのである。また余談だが、こうした両輪がなくなった今もメンバー2人で奮闘するポルノグラフィティ、ファンとしてこんなに嬉しい姿はない。

曲の話に戻ろう。そんなポルノグラフィティのロックな一面をしっかり打ち出した"渦"という楽曲はセールスの数字以上に世間に浸透していると云えるだろう。

ドラマ「スカイハイ」のオープニングとしてかかっていたこともあり、意外と言っては失礼だが、思ったよりもファン以外の人から「これ知ってる!」と言ってもらえる楽曲ではないだろうか。

そうしたこともあってか2017年のROCK IN JAPAN FESでこの曲が披露された時には、ファンはもちろん、ファンではない観客も驚きに似た反応を示していたように思う。その演奏は圧巻であった。

ファンとしてはそういう姿を見せたことで「どうだポルノグラフィティはカッコイイだろう」と勝手に鼻高々となった瞬間だったのである。

この曲が持っている"艶やかさ"はなんだろうか。ポルノグラフィティがポルノグラフィティしている。

もちろん新藤晴一の歌詞がそうさせていることも大きいが、サウンドだけ聴いても醸し出しているその"エロさ"に引きずりこまれてしまう。

楽曲の持っている"湿度"がそうさせているのだろうか。

歌詞の解釈については、ここでやりだすと終わらなくなるので書かないが、後に書こうと思う。しかし、前からやろうと思い立っては挫折してきた因縁の曲である。
いつか、必ず。

本当に何度聴いても惚れ惚れしてしまう格好良さを持つ曲だ。


【追記】

歌詞解釈書きました。

「渦」歌詞解釈~合わせた指先が繋ぎ止めてしまったもの









2. ワールド☆サタデーグラフティ




NHK「ポップジャム」エンディングテーマ


軽快なメロディとは裏腹に切ない歌詞が印象的な曲である。
カップリングでありながらタイアップがついている。

イントロのオクターブ進行のギターからしてもう心地好い。

アレンジもやたらとキラキラとしていて、左右を行き交うシンセの音だったり、時折入るピヨンピヨンとしたシンセも、細かな音のチョイスが面白くて、聞き返す度に新たな発見があったりする。

この曲が一筋縄でいかないのは、果たして物語の語り部は誰なのかというのが分からない点にある。

少し俯瞰した視点と"訳知り顔"な発言。実はこんな不思議な存在について、僕は前にも考えたことがある。それこそが"パレット"の歌詞を解釈した際に出てきた「僕」という存在だ。


パレット歌詞解釈~泣いた月と唄う鳥の示すもの



この"ワールド☆サタデーグラフティ"においても、同じなのではないだろうか。「愛そのもの」なのか「ちょっとシニカルな天使」か。それは受け手によって異なるだろう。よちろん影には真のストーリーテラーである新藤晴一がいる訳だが。

サビでは上海、東京、NYなど様々な都市が並ぶ。
上海のニハオや、NYのハロウと同列に東京を"ロンリ"と持ってきてしまう辺りが「流石」と思わされてしまう。

ドラマの中で結ばれたあの人はすぐに遠い国へと旅立ってしまう。東京は夜。そこに残ったのは"私好みじゃないパフューム"かもしれない。

それでも空はどこへでも繋がっている。そんな空のように、寂しい週末も、いつか結ばれる大切な"あの人"へ通じているのかもしれない。

もしかしたら、本当の語り部はそんな空をよく知った、いや"自分で染め上げた"人かもしれない。なんてね。ただ、しかめっ面な彼には「LADY」なんて似合わないか。

他にも"雨"や"サボテン"というモチーフの使い方、曲の"サボテン"との対比だったりと、歌詞に関しては好きなポイントを挙げると枚挙に暇がない。

つまり、これ以上やると終わらなくなる。




3. 蝙蝠




今更ながら、漠然とこの曲はTama作曲のものだと思ってた。
新藤晴一作曲だったことに気づかなかった。前に"空想科学少年"も同様の勘違いをしていたが、本当に恥ずかしい。


「渦」のシングルレビューをやる上で困っていたのは、どれも歌詞が素晴らしすぎて、深追いしたくなるからである。

これも歌詞解釈やりだすと、この辺りが前半戦になるくらい長くなる。つまり3曲ともそれくらい濃い曲たちなのだ。

この"蝙蝠"はファンから熱烈な支持を受けている曲だ。甲高いシンセのサウンドがクセになる。

僕は常々「色」をテーマにした歌詞が好きなのだが、ご多分に漏れずこの"蝙蝠"も大好きな曲である。

蝙蝠をテーマにしているだけに"黒"がテーマカラーとなっている。一応書いておくが「蝙蝠(こうもり)」である。僕は昔「かげろう」と読んでるファンを見たことがある。

"あなた"の過去、様々な色たちは混じり合い哀しみを伴った"黒"となってしまった。"あなた"が経験してきたこと、それは鮮やかな色ばかりではない。

"あなた"がどんな人物像か、僕は『僕だけがいない街』の雛月を想像した。










Bメロの"雨"についての対比が見事である。
あなたの抱えている過去、それはもはやどんな雨でも、涙でも流せないものとなっている。

しかしそんな過去も、現在も、未来さえも受け止めてあげよう。主人公はそう誓う。その決意は「触れてもいいかな? 」という一文に込められている。

あなたに触れること、つまり「あなたの触れられたくない過去に触れる」こと。それこそが本当の意味で「分かち合う」ということ。どんな過去でも受け止めよう、その決意は非常に強固なものだ。

たとえば"アゲハ蝶"における自己犠牲的な愛情、つまり「あなたが望むのなら この身など/いつでも差し出していい」という決意とは異なる。

なぜなら最後に明かされるのは、


僕"ら"は今更 白い鳥じゃない


そう、僕自身もまた不実な色を重ねた"黒"を持っている。だからこそ、あなたが抱える全ての色、"黒"を受け止めることができるのだ。ある意味究極の共感ともいえるだろう。

そんな2人はひっそりと闇を泳ぐ。

それは、まるで。


愛は誰かに見せたり まして誇るようなものではなくて
どんな形 どんな色 そっと秘めたまま
"ルーズ"より



★シングルレビュー


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