2019年6月29日土曜日

ポルノ全シングルレビュー16th「黄昏ロマンス」






シングルレビューもいよいよ第16弾となった。

あとたった26作である。
※「THE DAY」辺りからは書いてるため

先が見えてきたといっていいだろう。

さて、なのだが今回の「黄昏ロマンス」に関しては、とてつもなく大好きで思い入れが深いので、書くのにそれ相応の決意が必要である。

しかし、先に進むためにも意を決しよう。



ポルノ全シングルレビュー16th「黄昏ロマンス」











シングルについて




Tamaが脱退して2人体制になったポルノグラフィティがリリースした2枚目のシングルである。

新藤晴一作詞作曲はこれが初のA面曲となる。

メインでソングライディングをしていたTamaが脱退したことで、新藤晴一が歌詞だけでなく作曲をする機会がここから増えていくことになる。

ジャケットは新宿ゴールデン街で撮影された。
隣の路地では斉藤和義の"歌うたいのバラッド"の新録ver.のMVロケ地なので、新宿に行く機会があれば是非立ち寄って欲しい。






尚、僕は毎日通勤で新宿使ってるのに未だに行っていない。

なお、CD盤面では2人が焼肉を食べているというストリーミングでは味わえない貴重なショットが見れる。
めちゃくちゃ焼肉食べたい。

MVでは当時のサポートメンバーがそのまま出演している。

そのためメンバーも普段以上にリラックスした表情をしている。そしていつも以上にあたたかい雰囲気なのは間違いなくポンプさんの笑顔のためである。

ライヴDVD「Purple's」の副音声でも、この時の撮影が思い出深かったと語っている。




1. 黄昏ロマンス

作詞・作曲:新藤晴一 / 編曲:ak.homma、ポルノグラフィティ
ドラマ「一番大切な人は誰ですか?」主題歌







アコースティックギターを主体に秋らしい、あたたかみのあるサウンドに、トランペットが華を添える。

どこまでも、優しい曲だ。自分も32歳となり、まだ何も成し遂げられてはいない。"黄昏ロマンス"を聴く度に、それでも焦ることはないと教えてくれる。

自分にとって大切な人たちがいて。その人たちに自分は、何ができただろう。恥ずかしいくらい、助けられることばかりが一人前になってしまった。振り返ると、そんな思い出ばかりが浮かぶ。

それでも、もしかしたら。何も残ってなかった気がする自分の足跡にも、何か残っているのかもしれない。


君にとっての幸せがいったいどこにあったのか
ひとつくらいは増やせてあげられたかな


この歌詞に触れる度に、いつも考えてしまう。

音楽を聴く喜び、それは年齢や自分の気持ち、経験によって印象が変わっていくことにある。

たとえば青春を思い出させるような曲。2008年の東京ドーム公演で、

「青春は終わるものではなく、繰り返すもので」
「だから季節の字が使われているのだと思いませんか?」
「そう考えると愛と青春の日々はこれからも続くと思いませんか?」

と語ったポルノグラフィティ。

そう思えた時に黄昏は、斜陽は終わりではない。夜の先に、また新しい朝はやってくる。

そう、青春は何度もやってくる。

日々は、続いていく。









2. Sheep 〜song of teenage love soldier〜

作詞・作曲:岡野昭仁 / 編曲:ak.homma、ポルノグラフィティ



そんな青春のど真ん中みたいな曲がカップリングに来る。
にしてもタイトル、長いわ。

軽快なフレンチポップ※で、ギターのカッティングが気持ち良い。
※フレンチポップは、"オー・シャンゼリゼ"とか思い浮かべればいいかもしれない(厳密にいうとシャンソンかもしれないけど、あくまでイメージで)

フレンチポップは実は結構難しくて、一歩間違えればレトロな感じになってしまうし、一歩間違えれば気取りすぎになってしまう。

そこに「君が好き」ということに一生懸命になる男子を主人公にしてしまうところが岡野昭仁の凄いところだ。フレンチポップがこんなポカリスエットみたない青春と相性がいいとは。

teenage=10代にとって、恋は戦争だ。
男は何歳になってもバカだが(とりあえず僕は32年間アホなままでいる)、10代の男のバカさといったら人類の中でわりと群を抜いている部類である。

大袈裟に言ってしまえば、恋愛の成就は天下であり世界の王になる、失恋は世界の終わりとなるくらい、恋愛というものに対してバロメーターを振り切っている。

そして、本当に大切なのはその先にある「"Keep on lovin' you"」という気持ちそのものなのだ。



3. 小説のように

作詞:岡野昭仁 / 作曲:ak.homma / 編曲:ak.homma、ポルノグラフィティ



またその青春と表裏となるようなピアノを主体にした、失恋のバラード。
数少ない岡野昭仁×本間昭光の組み合わせ。

愛が失われていく様、あなたを想うほどにあなたの中の自分は失われていく。

恋愛はバランスを取ることだと思う。
どんな2人にも"ちょうどいい"バランスがあって、たとえば"サボテン"の注ぎ過ぎた愛情(水)のように、それは失われてしまう。

生きていく間に人と人の間には様々なことがあって、その度にお互いが補いあって、だからこそ2人は一緒に時を超えていける。

そして人は、失われるものにこそ、強い想いを重ねてしまう。

雨は僕の心であり、君への想いを育むための存在でもある。だからこそ、降り続け欲しいと願う心は、与え過ぎてしまった愛情に繋がってしまう。


嗚呼 あなたに愛される事で
僕は輪郭を縁取られ色が付いてここにいる
そして僕もまたあなたを色付けて行く事が出来るはず
だから聞いてよ 僕が生きる理由を


このフレーズは、とても秀逸で。ストレートに受け取れば君への強い想いを伝えているように見える。しかし、歌詞の中であなたの想いは、全く出てこない。つまり、全ては僕の願望である。

もしあなたの心がそうでなかったとしたら。

それは僕の一方的な想いを君に押し付けることになってしまわないだろうか。あなたを色付けるのではなく、あなたの色に僕の想いを上塗りしてしまうような。


永遠という文字が 何より似合うのは
「 さよなら」や「後悔」だけなのかな
一度壊れた愛は戻らないと
綻びのないルールがある
~"ルーズ"


形あるものは「いつか」「なぜか」脆く壊れてしまう

ルーズな世界はそうやって回っている。

そして、雨はまた上がってしまう。

★シングルレビュー


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