ポルノグラフィティの中で好きな曲だけどあと一歩歌詞が掴みきれていなかった曲がある。
そんな曲を今回は取り上げてみようと思う。
ハート/ポルノグラフィティ
曲について
3rdアルバム「雲をも掴む民」に収録されている。さらに、後に発売したベストにも収録されるほどファンからも支持が高い曲である。
僕は"アゲハ蝶"でポルノのファンになったくらいの世代なので、この「雲をも掴む民」というアルバムには、とても強い思い入れがある。
バラードである"ハート"はとてもセンチメンタルな曲である。
メロディを聴くだけでも切なさが滲み出ているような曲で、特に僕はこの曲のギターソロはポルノの中でもかなり上位に入れたいほど好きである。
最後のチョーキングのフレーズは胸が締め付けられてしまう。
最近では「BUTTERFLY EFFECT」ツアーで岡野昭仁の弾き語りで披露され、また新たな魅力が生まれた。
僕のハート
僕から君へ語りかけるストーリーである。
君への強い想いが歌われている。
その象徴として用いられているのが「ハート」というモチーフである。
僕のハートは赤く腫れてしまっている。
得てして人は、恋によって心を狂わされる。
たとえば恋に落ちる瞬間、それは自分では制御することはできない。
それを僕は「まるで幼い妹」と例える。ちょっとワガママだけど、心はとても純真無垢、そんな。
君への想いを抑えきれないハート。
この曲が内包している切なさは、主人公である僕はこの恋が報われないものだとわかっていながらも、離れられないものであるところにある。
傷つくのは怖い。だからこそ、人は恋に走ることに臆病になる。
「もし」が怖くなってしまう。
人を想う時。
「もし、あの人も自分を好きでいてくれたら」
「もしかしたら、あの人は自分を好きではないとしたら」
大抵は後者を考えてしまう。想いが強いほど、逆に傷は深くなって、いつまでも消えない痕となる。
傷つくことが怖くて想いを打ち明けられない、そんな人が多くいるだろう。
主人公の抱く悲しみは、駄々をこねる子のように純真無垢な君への想いが、遂に叶うことはなかったからである。
頭では分かっていても、心は決して云うことを聞き入れてはくれない。
僕の傷ついたハートを見せられたら、君の心は変わるだろうか。いや、変わることはない。
「やっぱり無理だろうね」という言葉にそれが全て詰め込まれていて、無理だと分かっている諦めがありながらも、君への強い想いを少しでも伝えたくて、主人公は傷ついたハートを君に見せたいと願う。
君はそれに応えてはくれないと知っていながら。
でもね 君に見せてあげられない
1人で見るのが夢だなんてさ
自分の夢を他の人に見せられないように、今の僕の気持ちは自分以外は誰も分からない。
ほら
そして、一番印象的なフレーズが登場する。
朝と夜がこれからも交互に来るとして
その間で僕たちは出逢ったとしたら
ほら
僕はここがずっと疑問であった。「ほら」の後には何が続くのか、しっくりくる答えが出なかったのだ。
朝と夜が交互に来ること、それは当たり前の日常の繰り返し、しかしここでは「として」という仮定が使われている。
「これからも変わらぬ日々が続く」限り、君の心が変わることはない、ということではないだろうか。
同時に、僕の君への想いも変わることはない、ということでもある。
最後のサビでの十字架を真似る。十字架が示すものは、贖罪だろうか。
主人公の恋が君によって裁かれてしまったかのようだ。
その主人公の姿は決して強くはないように映る。だが、その弱さを認められる主人公は決して弱くもない。
それでも、君を想ってしまう、純真な想いは朝も夜も消えることはない。
「もう大人にならなくちゃ」というフレーズ、欲しいもの、望むものが必ず手に入るわけではない、そんな時に"諦める"こと。それが"大人らしさ"だとするならば。
多くの"大人"は、様々なことを我慢して、諦めて生きている。
昔は何でもなく口にできた夢さえも。
大人になるとは、そういうことなのだろうか。
そんなことを考えて切ない気持ちになったりもした。
別れの辛さに馴れることは決してありません。
幾度繰り返しても、
別れは辛く苦しいものです。
それでも、
私たちは死ぬまで人を愛さずにはいられません。
それが人間なのです。
- 瀬戸内寂聴 -
Broken Heart
さて、ここからは余談である。
Motion City Soundtrackというアメリカ出身のバンドの代表曲に"Broken Heart"という曲がある。
この曲もまさに失恋した"ハート"を歌った曲である。曲も素晴らしいがMVがとても印象的な曲である。
ストーリーはなんとなくは追えるはずなので、是非見てほしい。
※最初に微グロシーンがあるので、苦手な人は30秒くらいから見てください
ハッピーエンドか?というのはさておき、僕はこれを聴くといつも"ハート"が頭に浮かんでしまう。
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